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*以下は、2002年1月24日付読売新聞朝刊の「論点」に掲載されたベネマン米国農務長官の原稿を、読売新聞社の許可を得て掲載したものです。

貿易自由化は世界に利益

アン・M・ベネマン
米農務長官

  昨年11月、140を超える世界貿易機関(WTO)の加盟国が、カタールの首都ドーハに集まり、多国間貿易交渉の新ラウンドを立ち上げる閣僚宣言に合意した。貿易は経済成長を刺激し、世界の一層の安定と繁栄につながる。新ラウンドは、国際貿易を制限し、経済成長を抑制し続ける貿易障壁などのゆがみに取り組もうというものだ。

 交渉は農業が中心となるだろう。農業は、米国、日本、そして世界中のほとんどの国の経済の重要部分である。食品と農業分野の成長回復は一層の貿易自由化に依存している。新ラウンドは農業貿易自由化をさらに促進するために、明確で野心的な権限を確立するものである。

 WTO加盟国は、交渉が関税を大幅に削減し、市場へのアクセスを拡大することを認識している。その上、しばしば高くつくことになる余剰農産物を生み出しがちな貿易をゆがめる国内支援策を減らすことにつながるということで合意した。

 そして、世界の中で最も食料品価格の高い国の一つである日本の消費者は、食品や農産物分野の貿易をゆがめるような支援策や保護を削減するための今回の新ラウンドから得るものは大きいはずである。

 農業貿易において、日本と米国は特別な関係にある。常に、日本は米国にとって食品と農産物の最大の市場である。米国農家は、日本市場を重視し、日本の消費者のニーズを満たすべく懸命に働いている。また、米国食肉加工業者は、日本の牛丼に最適の肉のカットの仕方を学び、植物交配業者は納豆に適した小粒の大豆を開発した。

 日本の消費者が米国の農家に依存しているのと同様に、米国の農家は日本の消費者に依存している。農業貿易における日米両国の特別な関係には、信頼すべき供給国となろうとする米国の決意も含まれている。WTOの規則は、効率の良い生産者による安定供給を奨励し、輸入制限措置を削減する明確な規定を定めることで、日本のような食糧輸入国の要求が確実に満たされるようにするものである。

 米国の日本との関係は、貿易にとどまらない。両国には、世界規模の食糧需要を満たし、食品の安全性を確保し、子供たちのためにより良い環境を作り上げるという共通の関心がある。

 両国共通の目標は、野心的なものだ。日米が協力して取り組むのにはそれなりの確かな理由がある。一層の貿易自由化と強力な国際貿易システムは、米国と日本、そして世界中のあらゆる人々に影響をもたらす。

 まず第一に、貿易は選択の幅を広げる。品質と価格の選択範囲が広がることで、消費者は衣料品、家庭用品、食品など要求と予算に合った商品を選ぶことができる。最高級の米国産ステーキ、イタリアのパスタ、タイのフルーツを自宅で楽しむこともできるのである。

 第二に、貿易は競争を促し、競争はより良い品質で低価格の品物を生み出すよう国内産業を刺激する。例えば、日本の自動車産業が生産した車の品質と価値に匹敵すべく米国の自動車メーカーが努めたことで、米国の消費者は恩恵を受けてきた。

 そして第三に、貿易は経済発展を支える。今日エレクトロニクスや繊維の輸出は東南アジアの至る所で多くの雇用を生み出し、経済の発展を支えている。1950−60年代の日本で、これらの製品の輸出が、生活水準の向上をもたらしたのと同様だ。新たな雇用で子供たちの教育が可能になり、食生活が向上し、消費が拡大し、地域の長期的な成長へとつながる。

 世界の二大経済国として、日米は世界経済の拡大と活性化のために重要な役割を果たすことができる。新ラウンド交渉を成功に導くために両国が協力することが不可欠である。一層の貿易の自由化は世界の農家と消費者にとって望ましいことだ。



 カリフォルニア州生まれ。弁護士、農務省副長官、同州食糧農業局長など歴任。52歳。