
米国国務省民主主義・人権・労働局発表
2006年4月5日
(抜粋)
今日、世界各地で、ますます多くの人々が、自らの権利が尊重されること、政府が迅速に反応すること、自らの意見が聞かれ、自らの1票が意味を持つこと、そして公正な法律と司法が万人に適用されることを要求している。また、民主主義が、長期的には、尊厳と自由と平等を求める市民の要求に応える最良の統治形態であるとの認識も広まっている。
ブッシュ大統領が2期目の就任演説で述べたように、「この世界における圧制に終止符を打つという最終的な目標に向けて、あらゆる国家と文化において、民主主義運動および制度の発展を求め、支援することが、米国の政策である」。
拡大中東では、この1年間に、民主改革を求める住民の要求、政治的多元主義の萌芽、前例のない選挙、そして女性や少数民族に対する、ある程度の新たな保護が見られている。イラクでは、暴力行為の多発にもかかわらず、国民が3回にわたって投票し、民主主義の針路を守った。アフガニスタンでは、政府が各県の中枢に対する権限の拡張に苦労する一方で、国民は、1969年以来初めて行われた自由な全国議会選挙で、それぞれの1票を投じた。
リベリアでは、内戦後初の選挙が行われ、アフリカで初めての公選による女性国家元首が誕生し、リベリアにとっては、内戦から民主主義への移行における画期的な出来事となった。中南米およびカリブ海諸国の民主主義国家は、引き続き、脆弱(ぜいじゃく)な制度の強化、汚職との闘い、そして社会的不平等の是正といった課題に直面した。ウクライナの新政府は、民主主義を求める人民の意志を反映して、人権問題の実績を顕著に改善した。そして、イスラム教徒が多数を占める国家の中で最も人口の多いインドネシアでは、市・県・州レベルで、初めて国民が直接指導者を選出し、民主的制度の構造が強化された。
一方、ビルマからベラルーシ、中国からキューバ、北朝鮮からシリア、そしてイランからジンバブエまで、世界各地で、勇敢な男女が、表現・結社・集会・移動の自由という基本的な自由を行使したために迫害されながらも、引き続き平和的変革のために困難な状況の下で活動を続けた。
この報告書は、世界各地の市民や政府が人権と民主主義に対する要求の増大を実際の行動計画につなげる上で、米国の外交政策が、さまざまな手段で、どのように貢献したかを述べたものである。
国務長官
コンドリーザ・ライス
米国は、世界各地で、人権と民主主義を支援するために多種多様な外交手段を採用している。この報告書では、各地域における米国の戦略の概要を述べ、米国がこの1年間に、95カ国における改革活動をどのように支援したかを説明する。
ブッシュ大統領が2005年1月に述べたように、「本来自由とは、市民によって選ばれ、守られ、法の支配と少数民族の保護によって維持されなければならない。(中略)米国は、わが国の政府の様式を、望まない国に押し付けはしない。われわれの目標は、他の国々が自らの意見を持ち、自らの自由を獲得し、そして自らの道を進むための援助を提供することである」。
この目標を推進するために、米国は、改革を求める人々の活動を支援することによって、個人的・政治的により一層の自由を求める世界的な要求の増大に対応した。われわれは、自らの権利を行使したために抑圧的な政権によって弾圧された世界中の勇敢な人々と連帯した。政府関係者、市民団体、そして個人との現地での交流によって、また地域および世界レベルでの多国間関与を通じて、われわれは国際人権基準を守り、民主主義の原則を推進した。
他の民主主義国家が、それぞれの国民に民主主義の恩恵をより良く提供できるようにするため、それらの国々が統治の諸制度を強化し、法の支配をより深く根付かせることができるようわれわれは援助した。われわれは、女性や少数民族を含むすべての市民が、それぞれの国の市民生活に全面的に参加することを奨励した。人民の意志の勝利を確実にするため、われわれは、各国の選挙が国際的基準を満たすように、政治的多元主義を促進し、公平な競争条件づくりに貢献した。また、民主的に選出された政府が民主的な統治を行わなかった場合には、その責任を追求した。そして、独立メディアや非政府機関(NGO)が各地で攻撃にさらされる中で、こうした組織による民主主義への極めて重要な貢献を擁護した。
2005会計年度に、米国は、人権および民主主義活動計画に14億ドルの予算を計上した。またわれわれは、ミレニアム・チャレンジ・アカウント(MCA)のような、的を絞った開発援助を通じて、民主主義改革を促進した。MCAは、各国の統治の実績に応じて貧困救済資金援助の受給資格を決める、革新的な制度である。同時に米国は、ビルマやキューバの政権のように、組織的に人権侵害を犯す国に対しては、引き続き経済制裁措置を適用し続けた。米国は、先進主要8カ国(G8)および地域の各国政府やNGOと協調して、拡大中東および北アフリカ諸国による改革を促進するための2つの新たな機関、すなわち市民団体を支援する「未来のための財団」と、投資を支援する「未来のための基金」を発足させた。そして最後に、米国は、国際機関が人権と民主主義をより効果的に保護し支援できるようにする努力をした。そのため米国は2005会計年度に、国連民主主義基金に1000万ドルを提供し、最も悪質な違反国を除外した人権理事会を国連に新設することを強く要求した。
人権と民主主義を推進するためのこうした努力のすべてにおいて、米国は、他の政府とのパートナーシップを歓迎し、また市民1人ずつ、1組織ずつ、そして1カ国ずつを対象に、日々人権保護と民主主義構築の困難な作業に取り組んでいるNGOのアイデアや専門知識を求めた。
「今、この時から、私は自由であり、誰とでも話をすることができ、誰とでも会うことができる。私は、より大きな足取りで街路を歩くことができる。親族を抱き締めることができる。私の子どもたちにキスをすることができる。同胞にほほ笑みかけることができる。私は、同胞のために働き・・・残りの人生を通じて、自分の歴史を作ることができる」――レビヤ・カディール
米国は、抑圧的な独裁国家における自由を要求することから、過渡的な段階にある民主主義国家を強化することまで、アジア各地で民主主義の促進を確約している。アジアには、機能している民主主義諸国と、世界有数の抑圧的な独裁政権とが共存している。多種多様な政治体制の存在と、民主化への前進は、この地域の多様性を反映するものである。インドネシアなどの諸国では、好ましい民主主義の発展が見られ、同国が現在世界で3番目に大きい民主主義国家となっている一方で、ビルマ、中国、北朝鮮などでは、人権侵害と自由の欠如が継続している。一部の国では、法の支配の弱体、汚職の横行、そして脆弱(ぜいじゃく)な民主主義制度が、前進を制限している一方、他の国では、活気ある市民社会と報道の自由が、改革の前進に貢献している。
米国は、ビルマの民主主義運動に対する揺るぎない支援を続けており、制裁措置を維持するとともに、アウン・サン・スー・チー氏をはじめとする政治犯の釈放と、信頼できる政治的プロセスの導入を、引き続き要求している。米国は、引き続き同盟国および国連と協力し、暫定軍事政権に対して民主主義改革と人権尊重を強く求めた。12月16日に行われた国連安全保障理事会の討議は、ビルマにおける人権と民主主義の無残な実績などの差し迫った問題に注意を促すという点で、真の成功を収めた。国連は、ビルマの状況をひとつの迫りつつある人道的危機と表現した。米国は引き続き、国連の制度内で、ビルマに対する注意深い監視と措置を支持する。
この地域では、過去1年間に、インドネシアやベトナムなど数カ国で前進が見られている。米国は、インドネシアにおいて、軍事改革、説明責任の強化、人権の尊重、汚職対策、および法の支配など、民主主義の強化を支援している。米国は、2004年の津波被害に対する援助の後も、アチェの和平プロセス、特に自由アチェ運動の闘士の復員のために、大規模な支援を継続した。2005年5月に、ベトナムと米国は、信教の自由に関する、拘束力を持つ初の合意の調印を発表した。これは、宗教団体の登録において透明な手続きを確保するものである。ベトナム政府による最近の好ましい諸措置の結果、2006年2月には、2002年以降停止されていた人権に関する対話が再開された。
しかし一方で、米国は引き続き、中国や北朝鮮など他の諸国において前進がないことを懸念している。米国は、中国で人権、民主主義、および法の支配を促進するために、2国間の会合で人権と民主主義の課題を取り上げ、国連その他の多国間フォーラムで国際社会の注意を中国に集中させ、ベルン・プロセスを通じて人権に関する中国の他の対話の相手と協議をし、また中国における市民社会、法の支配、および国民の参加を奨励するための助成制度を実施するなど、複数の戦略を採用した。北朝鮮政権によるほぼ完全な統制が引き続き深く懸念されている。2004年の北朝鮮人権法に定められている、北朝鮮人権特使の任命は、この世界有数の孤立した抑圧的国家における民主主義と人権の推進を、米国が極めて重視していることを表すものである。
米国は、大統領のアジアにおける「自由計画」の実行に力を入れている。米国は今後も、2国間外交、多国間協調、国連のメカニズム、そして人権・民主主義プロジェクトへの支援を通じて、アジアにおける自由を推進していく。


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