
米国国務省報道官室
2005年7月28日
ビエンチャン(ラオス)
同席者:アレキサンダー・ダウナー外務大臣(オーストラリア)、劉永興駐ラオス大使(中国)、ラオ・インデルジット・シン外務大臣(インド)、西宮伸一外務省アジア大洋州局審議官(日本)、潘基文(バン・キムン)外交通商大臣(韓国)
ゼーリック国務副長官:ダウナー外相、ありがとうございます。まず始めに、皆さま、本日はご出席ありがとうございます。ここで、5カ国の代表とともに、クリーンエネルギー開発と気候変動に関する新たなパートナーシップについてこのビジョン・ステートメントを発表できることを大変うれしく思います。他の代表も強調しましたが、私たちは今回の発表を国連の「気候変動に関する枠組み条約」と「京都議定書」に代わるものではなく、これを補完するものであると考えています。私は、1991年と気候変動に関する国連枠組み条約を制定した92年の国連会議に米国代表団を率いていましたが、条約の柔軟性からみて実現できるのではと期待していたのがまさに今回のような構想でした。こういった問題では、先進国と途上国が一致協力することが不可欠だからです。
ダウナー外相が指摘されたように、今回、ここに集まった6カ国は世界の経済、人口、エネルギー消費、そして温室効果ガス排出量の半分以上を占める国々です。世界貿易機関(WTO)とかかわった4年間の経験から申し上げられるのは、グローバルな課題に取り組もうとするのであれば、先進国と途上国の共通の利益に基づくことが不可欠であり、その際、問題解決を可能にするには、どうすれば共通の利益を持つことができるかを知るために途上国の声を注意深く聞ことです。
したがって、このビジョン・ステートメントはそうした共通の利益を理解するところから始めたいと思います。ビジョン・ステートメントが重視しているのはエネルギー、それもエネルギーの安全保障とエネルギー効率の両方です。開発におけるエネルギーの極めて重要な役割に加え、気候変動の問題にも焦点を当てています。よりクリーンで効率的な技術の開発、普及、移転の可能性を広げるものです。すぐに利用できるものとしては、クリーンコール技術や液化天然ガス、メタンガスの採集・利用、再生可能燃料などがありますが、より長期的には、温室効果ガスインテンシティー(対GDPの温室効果ガス排出量)の削減に関して水素燃料や核融合、先端バイオテクノロジー、ナノテクノロジーといったテーマがあります。90年代後半、大臣と一緒に訪問する機会がありましたが、アデレードという美しい町で今年後半、閣僚級会合をホストしてくださることになったオーストラリアの仲間に、特に感謝したいと思います。私は、鍵となるのは今回のビジョンが示した柔軟性だと考えています。今回の目標が、問題の現実的な解決によって他の合意や活動を補完しようとする試みだからです。このようなネットワークやパートナーシップが必要となり、私たちもエネルギーの安全保障と効率性、また温室効果ガス排出の問題に関する実際の作業を状況に応じて策定することができるようになると考えています。ご清聴、ありがとうございます。
質問(エイミー・カスミン、フィナンシャルタイムズ紙):そうした活動にどの程度の予算が組まれていますか。また、この分野の革新的技術を開発、普及させる上で現在、支障となっている点をお聞かせください。
ゼーリック国務副長官:最初の質問に簡単にお答えしますと、私の記憶では米国は気候変動の問題に年間50億ドル以上を当て、その大部分は技術開発だと思います。科学的分析と研究に費やされているとも聞いています。しかし、今回のパートナーシップが良い例だといえるのは、米国はこの分野に多額の資金を費やしていますが、そうした先端的な技術や知識を広く普及させ、実際に使えるような形に移転するためには一連のネットワークを活用しなければならないからです。2番目の質問ですが、この問題は部分的には市場原理かもしれません、価格に左右されるものです。製品を市場経済に持ち込み、広く販売できるかどうかというビジネスネットワークの有無に関わってくるものもあります。しかし、科学や学問の世界ではあり得る、単なる技術・知識の移転に関わる部分もあります。しかし、先進国と途上国が手を携えることの重要な意味は、この分野に大きな力を尽くしてきた一部の先進国、日本が莫大な投資を行ってきたことを私は承知していますが、技術活用の拡大を可能にする方法を知るために、こうした国々が途上国の個別の問題についてよく話を聞くことだと考えています。特に、インドと中国は開発上の大きな課題を抱えており、その中でエネルギー問題は重要な要素となっています。したがって、今回のパートナーシップは私たちが技術を提供するためだけのものではありません。途上国にとっては自ら直面する問題と、いくつかの開発計画をよりよく理解し、私たちがそうした問題や計画を効率的なネットワークの中にどう組み込んでいけるかを知ることにもなります。
質問(AP通信):今回の合意に拘束力がないとすれば、実現の行方をどう考えればいいのでしょうか。また、今回の合意はパートナーシップであり、代案ではない、またこれは補完していくものであって、京都議定書に代わるものにはならないと言われました。米国が京都議定書を批准していないのに、どのように補完するというのでしょう。
ゼーリック国務副長官:ひとことで言うと、ダウナー外相の意見に賛成です。つまり、最初の質問についてですが、エネルギー、環境、気候変動という複合問題への対応は、共通の利益と動機に配慮して行えば、より効率的になる、というのがこのグループの考え方です。エネルギーにかかわる開発上の大きな問題がいくつかあり、私の開発に関する通商面での経験を述べたいと思います。物事は、ただ他の人に命令するだけでは動きません。命令だけしても、効果は上がりません。そこで、共通の利益と動機を作るのです。先ほど申し上げたように、米国は92年に採択された気候変動枠組み条約の締約国です。米国は京都議定書とは異なる立場を取っていますが、この問題全般に対する私たちの独自の取り組みを挙げますと、ブッシュ大統領政権下の米国は当初3年で二酸化炭素の排出量を0.3%削減しました。対照的に、米国以外のG8諸国では同期間の排出量が増えました。例えば、EU15カ国は3.6%、EU25カ国は3.4%増加しています。ですから、米国のこの問題への取り組みは真剣だということです。私たちは、京都議定書の排出削減基準より優れた方法があると考えていますが、議定書を批准した国々には敬意を払っており、基準達成への努力を理解しています。
私が先ほど触れた、少し具体的な例を挙げてみましょう。私たちが検討している構想のひとつに、「メタン・ツー・マーケット・イニシアチブ」があります。先ほど二酸化炭素の排出量について話しましたが、2番目に影響の大きい温室効果ガスがメタンであることは明らかです。そのまま放置すれば世界の気候変動をさらに深刻化させるこのメタンが、各国のエネルギー需要、特に途上国のエネルギー需要を満たすのに役立つかも知れないという興味深い可能性があるのです。
したがって、エネルギー需要を満たしながら気候変動の問題に対応する方法を見つけ出そうという良い例なのです。クリーンコール技術のことですが、中国のエネルギー開発に目を向けると、依然として石炭への依存度が高いものです。中国の経済成長は貧困の軽減と開発にとって重要であり、周辺地域だけでなく世界の成長にとっても重要です。しかし、私たちはクリーンコール技術の開発に対する中国側の関心がきわめて強いことを知りました。したがってこの活動は、他の合意や条約によるコミットメントを補完できるばかりか、エネルギー問題と開発問題を、気候変動の問題と関連づけようという共通の関心をさらに推し進めるやり方であると、少なくとも私たちは信じています。


駐日米国大使