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*下記の日本語文書は参考のための仮翻訳で、正文は英文です。

拡散安全保障イニシアティブの重要性を強調

ロバート・C・ボナー局長
国土安全保障省
米国税関・国境警備局
2005年9月14日、カリフォルニア州ロサンゼルス


 おはようございます。故郷のロサンゼルスに戻り大変うれしく存じます。

 大量破壊兵器の拡散安全保障イニシアティブ(PSI)の加盟国であり、専門家作業グループの一部でもある多くの国々から、また世界各国の航空業界から、この航空貨物ワークショップのため当地にお集まり頂き、光栄に存じます。このPSI会議は軍事・国防専門家、税関・警察専門家、保安業界専門家の集まる場所です。

 世界最大の輸送拠点であり、米国で最も利用者と貨物取扱量の多い輸送拠点であるここロサンゼルスは、この会議にふさわしい場所だと思います。事実、ロサンゼルス国際空港(LAX)は米国で2番目に利用者の多い空港です。毎年800万人近くの旅客がLAXを通過して旅行し、フリーウェイを下った先のロサンゼルス・ロングビーチ港では、400万個以上の貨物専用コンテナが到着し、米国内に輸送されます。これは米国の海港で荷揚げされるコンテナの約45%にあたり、第2位のニューヨーク港を大きく引き離しています。

PSIの重要性

 歴史的、商業的な理由により米国の主要な海港、空港のほとんどが、海外と同様に、最も人口の多い都市圏の中心部に位置しています。これは商業や旅行には便利ですが、航空機や貨物専用コンテナのひとつでも大量破壊兵器、核爆弾を運んでいれば、それが災害を引き起こし、おそらく何万、何十万という大勢の犠牲者を出す可能性もあります。ロサンゼルス上空で核爆弾が爆発すれば大惨事になることでしょう。ロサンゼルス盆地には1600万から1700万人もの住民がいるのです。

 9・11以降、この世界的テロの時代においては、大量破壊兵器の拡散安全保障イニシアティブ、つまり組立済みの核兵器、その組立に必要な核分裂物質・部品、運搬システムを阻止する世界規模のイニシアティブの重要性は強調してもし過ぎることはなく、これらの物質が世界規模のテロリストや無法国家の手に届かないようにするためにPSIが必要なのです。

 ご存知のように、ブッシュ大統領は大量破壊兵器の拡散、輸送、運搬システムに対して増大する懸念に応えて、PSIを2003年5月に発表しました。PSIは11カ国で発足し、現在60カ国が、大量破壊兵器や兵器用部品を停止、阻止、押収することで、大量破壊兵器の拡散が悪の手に落ちることを防止する取り組みに参加しています。

 簡潔に言えば、米国とPSI参加60カ国は、そうした兵器へのテロリストのアクセスを阻止し拒絶するためにあらゆることをしなければなりません。私たちは、無法国家が核兵器あるいは特殊核物質を供給し、あるいは供給されることを防止しなければなりません。しかしこれは政府だけの仕事ではありません。私たちがここに集まっているのは、民間部門、とりわけ貨物輸送会社はサプライチェーンを理解しているからです。海運貨物会社であれ、国際航空貨物会社あるいは通運会社であれ、PSIによる拡散阻止達成のために役割を果たすべきだからです。

 私たちがここに今日集まったのは、私たちの航空機の安全をさらに確実にするための方法、つまり航空貨物がPSI型の物質拡散手段になり、さらに悪いことに、敵に利用される「運搬システム」となることの防止策を探るためです。さらに、PSIによる検査・阻止が実行できるよう、貨物輸送機の貨物、あるいはPSI型物質を運搬している、あるいは運搬していると思われる航空機自体のリコールを、いつどうやって実行するかも議論する必要があります。いかに実行するか、それを皆様から教えてもらわなければなりません。

 航空機を迂回させる必要があるのか、あるいは荷物のみ返送させるべきなのでしょうか? それを皆様にお任せできるのでしょうか? そのための追跡システムはありますか?

CBPとはどんな組織で何をするのか?

 これは9・11以降、米国税関・国境警備局(CBP)が考え、対処しようとしてきた問題です。実際、CBPのイニシアティブの多くは、PSI型物質を国境で、そして国境に到着するかなり前で防止、探知、阻止することに関するものです。おそらく、私たちの最終防衛線とは、国境、公式の入国地点でしょう。そして最終防衛線の前の防衛線はどこでしょうか。コンテナ・セキュリティー・イニシアティブ(CSI)を考えてみてください。大規模な港を考えてください。そして、国務省と合同の、EXPS(テロリストとその兵器を米国本土到着以前に阻止する輸出安全保障プログラム)で、防衛線はさらに後退し、外部への動きを監視するためのロシアとその近隣諸国での、外国へ向かう放射線の探知でした。ナン・ルーガー計画それ自体が最初の防衛線です。

 米国税関・国境警備局の最優先任務は、テロリストとその兵器の米国への入国を阻止することです。

 ですから、CBPは、PSI物質、究極的にはPSI兵器の拡散と移動を食い止めるために、多くの様々な段階で他の部門と関わっています。

 他国の税関あるいは国境管理機関も、PSI物質から通商活動を守る必要性に敏感になってきており、PSI物質を合法的な貨物運送会社を使って移動あるいは運搬するのを成功させるのはますます困難になっています。

 CBPは米国の前線にある国境管理機関です。CBPは、入国、出国、通過を含め、わが国の国境の現場警備および米国民の保護に関する、国境における法的権限の全権を有しています。

 CBPは2年半前に国土安全保障省再編の一環で誕生した比較的新しい連邦政府機関です。聴衆の方のなかには私たちがどういう組織で、何をしているのかをご存知ない方もおられるかもしれません。簡単にCBPの概略をご説明いたしましょう。

 CBPは米国政府のすべての前線国境機関を1カ所に集結した国境機関です。私の考えでは、国土安全保障省再編構想の中で最も重要なものの1つは、米国政府の国境管理機関を1つ創設すること、つまり税関、入国管理、農業保護、そして重点的には反テロリズムなどすべての目的のために、わが国の国境とすべての入国地点、そしてその両者間を、管理し、統制し、安全を確保するための1機関を国土安全保障省内に創設することだったのです。

 その機関が、米国税関・国境警備局、略して「CBP」なのです。

 税関・国境警備局には4万2000人の職員がおり、国土安全保障省(DHS)の全職員のおよそ4分の1です。私たちの優先任務は国土の安全保障、つまりはテロリストとその武器が米国に侵入するのを防止することなのです。

 CBP以上に重要な任務を持つ機関は、米国政府には他にありません。なぜなら米国内でテロリストによる攻撃を防止する最善の方法は、テロリストとその兵器が米国に侵入するのをまず防止することだからです。これには、大量破壊兵器、つまり核爆弾が入り込むのを防止することも当然含まれます。

 注目すべき重要点は、CBPは米国の前線国境機関であるため、私たちは米国政府のどの法執行機関よりも幅広い法的権限を持っていることです。国境を越えようとする者は誰であれ、停止させ質問する権限、あらゆる個人、乗物、航空機あるいは貨物の積荷を、令状、理由あるいは容疑なしに捜査する幅広い税関検査権限、潜在的なテロリストの脅威を持つ外国人の入国を誰であれ拒絶する権限など、旧機関が持っていたすべての権限を持つのです。

 このように幅広い法執行権限は、他のどこの組織も持っていません。CBP以外のいかなる組織も持っていないのです。

脅威

 それでは脅威についてお話しますが、この脅威を歴史的に見てみましょう。

 前世紀の半分を私たちは核による壊滅の脅威に耐えてきました。40年余の冷戦の間、何千という強力な核兵器が長距離弾道ミサイルで数分以内に発射される態勢にあり、世界は大量破壊の瀬戸際にありました。私たちは「MAD」(相互確証破壊)や先制攻撃、などの言葉と共に暮らしてきました。

 チャーチルはそれを「恐怖の均衡」と呼びました。

 実際、20世紀後半は核兵器の拡散と潜在的使用には極めて危険な時代でしたが、同時に核という魔物の抑止に向けて多くの立派な成果が上がった時代でもありました。何人かの米国大統領、世界中の数多くの外交官の努力によって、核不拡散条約、包括的核実験禁止条約のような国際協定ができました。

 ソビエト連邦が80年代後半に崩壊した時、私たちの多くは核の脅威はほぼ過ぎ去ったと思いましたが、多くの意味で私たちの世界はさらに危険になってきました。危険は主として1945年当時の核技術が取得可能になったことと、国家の中の危険集団、とりわけ組織犯罪者、狂信的信者、世界規模のテロリスト組織、アルカイダやその関連のテロ組織の増加が原因です。

 今日のテロリストの脅威は、まったく異なる種類のテロリズムで、その野望と範囲は世界的規模なのです。非対称的戦争というものを理解し、どの民族国家もできなかった方法で非対称的戦争に関わっているテロなのです。そして9・11は大量破壊兵器、特に核兵器の不拡散を確実にすることの計り知れない重要性をあらためて浮き彫りにしました。これは常に重要でしたが、世界規模のテロリズムの時代において、これは絶対的に欠くべからざることです。

 9・11以降の私たちの課題、そしてこの会議の課題は、9・11以降の世界における不拡散安全保障の要件を理解することです。協力して国際秩序を形作り、世界規模のテロリストによる大量破壊兵器の取得、運搬を防止することができるような、強固で連帯性の強い世界規模のシステムを構築する方法を見つけることです。

 大統領が述べたように、私たちは戦争状態にあります。それは世界規模のテロリズムに対する戦争であり、私たちの敵はアルカイダとアルカイダに関連するテロリスト組織であり、時計の針を巻き戻し、世界を10世紀前のアラブが支配するカリフ体制に戻したいと考えるイスラム原理主義者の聖戦戦士たちです。アルカイダはアラブ世界から欧米の影響力のすべて、グローバリゼーションの力、民主化の力、改革の力を排除したいと願っているのです。

 そして彼らは原理主義者、イスラム過激主義者を募り訓練し、罪もない市民を殺して世界経済を混乱させるために大がかりな世界規模のテロリスト攻撃を実行しようと聖戦戦士を配備してきたし、これからもそうするでしょう。

 作家トム・クランシーの言葉である「恐怖の総和」とは、海洋を航行するコンテナ貨物船であれ、航空貨物専用コンテナであれ、「核兵器の箱」なのです。

 それらのコンテナは簡単に、大きなミサイルになりえます。粗雑ですが、いずれにせよミサイル運搬システムであることは変わりありません。PSIはいわば対ミサイル防衛システムなのです。

 人騒がせな人間になりたくはありませんが、公開されている報告書から以下のことが明らかになっています。

1.[オサマ]ビン・ラディンは、過去6年間にわたって核爆弾あるいは核分裂性物質を手に入れようとしてきた。

2.彼は何年か前、パキスタン人の核科学者に会ったことがあると伝えられている。

3.私たちは今やカーン博士も金で買えるということを知っている。

  現実には、たとえアルカイダが現在核兵器を所有していないとしても、彼らが核兵器、あるいは核兵器をつくるためのSNM(特殊核物質)を入手することがないようにPSIと安全保障システムを構築しなければなりません。そして私たちは彼らが核兵器、あるいはSNMを運搬することも阻止しなければなりません。PSIにとってこれ以上重要なことはありません。国土安全保障と、世界経済の安全保障にとってこれ以上重要なことはありません。

 その結果、たとえリスクは小さいとしても、私たちは、すべての輸送手段がこれらのテロリストグループによって恐怖の究極的な道具を供給する手段として使用されること、あるいはそれを標的に向けて運搬することを阻止する安全戦略を開発するため、最善を尽くす以外ないのです。そして私たちは、米国が標的であろうことを知っています。しかしその結果は、すべての人々に深刻な影響を与えるでしょう。

 今日私たちは、航空貨物と空輸ネットワークを保護するためにいかにしてよりよいシステムを構築できるかを話し合うためにここに集まりました。

 私の考えでは、現在のところ少なくとも総合的システムとしては、適切なシステムは導入されてはいません。昨年PSIはコペンハーゲンで会議を開き、海上輸送貨物の保安、PSI型物質の海洋貨物船上への搭載阻止あるいは禁止について話し合いました。会議を終え、私たちは海運業界の業務について理解を深めました。マイケル・チャートフ国土安全保障省長官が提唱する(貨物の詳細を把握する)「安全保障の包み」を創設することでは、民間航空貨物分野よりも国際海上輸送航路分野のほうが進んでいます。

 9・11以降、CBPは、他の諸国、その多くは今日ここに出席していますが、そして民間企業と協力して、海運保安戦略を開発し、導入しました。

  航空貨物、通運業界が、6時間か6日かというような「時間」の問題など特有の問題を抱えていることは知っていますが、ある程度修正すれば、陸海空のどの運輸形態の安全保障にでも置きかえられる原則を中心に海運戦略は構築されていると私は思います。

通商の安全確保と通商促進戦略

 それでは移動を不当に妨害あるいは遅らせることなく貨物の安全を確保する戦略についてお話ししましょう。適切に策定された戦略は、私が「双子の目標」と呼んできた両方の目標を達成できると私は信じています。

 この戦略は、部分的には、私たちの国境を広げるという原則に基づいています。つまり私たちの保安区域を外側に押し出すことで、実際の国境を、最初ではなく最後の防衛線とするのです。入国地点から離れたところで多くのことができれば、入国地点や国境ですべきことは減り、これら入国地点での貨物の移動がより速く、効率的に行えるのです。

 ですから国境拡張戦略は、安全性を高め、PSI物質の導入あるいは越境移動を阻止する戦略の重要な部分ですが、そうしながらも、合法的貨物の流通を妨害してはなりません。

 この戦略は4つの相互関連イニシアティブで構成されています。

· 先進的な電子積荷目録あるいは貨物運送状情報。海上輸送貨物の場合は24時間規則、航空貨物その他の形態の場合は通商法による規則

· 潜在的テロリストリスクを引き起こす貨物積荷を特定するための、全米ターゲティングセンターの設立および自動ターゲティングシステムの構築

· 海上輸送貨物専用コンテナのためのコンテナ・セキュリティー・イニシアティブ(CSI)

· 海上輸送貨物と航空貨物、および商用トラックや鉄道によって輸送される国際貨物のサプライチェーンのための対テロリズム税関‐通商パートナーシップ(C‐TPAT)

  これらのイニシアティブが海上輸送貨物にどう影響するかです。

24時間規則

 まず9・11以降、24時間規則と2002年通商法規則に基づき、米国に輸送し、あるいは米国から輸送されるすべての貨物専用コンテナには、事前電子情報を米国税関・国境警備局に提出することを、義務づけています。つまり本国向け海上輸送では、積荷が米国に向けて外国の海港を出発する24時間前に、CBPが情報を得るということを意味します。

 この規則によって、米国に向かっている積荷に関して私たちはより明確な状況がわかり、コンテナの積荷が引き起す可能性がある潜在的リスクを判断できます。

 私たちは、空輸の積荷に関する情報にも事前電子情報を求めています。航空業界ではこの規則はまだ完全には導入されてはいませんが、米国到着の4時間前までに、貨物航空機が北米圏内から出発する場合には離陸以前に、事前積荷目録データを電子的に求めています。事前情報の要求は、リスクの決定は、可能な限り、到着のかなり前になされるべきであるという原則を前提としています。

 事前情報は自動ターゲティングシステムを通して処理し、到着時に非侵襲(NII)検査、X線・放射線安全検査にかけるべき危険な航空貨物の積荷を選別します。

リスクターゲティング‐ATS

 次に、戦略的パラダイムの2番目のリスク管理です。すなわち貨物の積荷それぞれについて、テロリストによる武器隠匿のリスク評価をします。リスクに関する事前電子情報、とりわけテロリストのリスクを評価するために、私たちは自動ターゲティングシステム(ATS)を構築し、CBPの全米ターゲティングセンターに設置しました。

 私たちのターゲティング規則は戦略情報と異常解析、あるいはその両方に基づいています。海上輸送コンテナの場合は、米国の海港に向かう貨物船に荷積みされる前にこの評価を行い、その結果からリスクスコアを作成します。

 コンテナはテロリストの脅威があるという作戦情報(稀ですが)を受けると、私は長官として、海上輸送船や汽船会社に「積載禁止」を言い渡す権限があり、船にはそのコンテナを積み込みません。CSIがあれば、NII[非侵襲技術]を利用した検査と放射線探知が、米国の到着港ではなく、シンガポール、あるいはロッテルダムという出国港あるいは積替え港で行われます。

 航空貨物にはこれに類するものはまったくありません。私たちは事前の出発前情報を得られません。わが国の通商法の下でも、航空貨物に関しては事前積荷目録情報を受け取りません。そしてもちろん航空貨物のためのCSIはありません。もしもPSI物質に関する作戦情報があれば、事実上航空機に積荷禁止を出すことはできると私は思っています。世界税関機構(WCO)の世界貿易安全促進基準の枠組みの大5基準の下で、私たちは外国税関あるいは治安当局に、当該航空貨物について出航時検査をしてもらうことはできるのではないかと思っています。

CSI

  戦略の第3は、他の諸国のパートナーと提携して2002年1月に私たちが提案したCSI、コンテナ・セキュリティー・イニシアティブです。[関連記事参照]
具体的に、CSIは以下の3つを行うことを意図しています。

  まず、すべての米国向け海上輸送コンテナに対し、CSI港で積載される前にテロリズムのリスク評価を行います。

 第2に、テロリストの攻撃が起きた場合でも、テロに耐えられる貨物保安システムであり、海上輸送貨物が継続的に流れてCSI港を通過し米国に確実に到着するようにします。これは保険証券の側面です。CSIは、攻撃と周囲の情報の性格を査定するため輸送を短時間中断しなければならなくても、迅速に回復する安全ネットワークなのです。

 第3にCSIは、出航元の税関当局と協力して、潜在的テロリスト・リスクをもたらすと判別されたすべてのコンテナを、米国に向けて出航する前に検査することで、コンテナ貨物の移動と、CSI港と米国海港をつなぐ貿易航路を守ります。

 CSIはさらに、CSI港で行われた保安検査を米国の到着先海港で再び行う必要がないので、CSI港発あるいは経由で移動する貨物の移動と予測可能性を向上させます。CSI港を出航するすべてのコンテナは、米国の海港到着時に保安検査を受ける必要がある場合に比べて、コンテナの動きが速く、その動きはより予測しやすくなります。

 現在CBPはロッテルダム、ハンブルグ、シンガポール、上海、横浜のような世界の大海港38カ所に人員を配備しています。

 このようなCSI港が存在する国と協力して、リスクの高いコンテナを米国に向けて荷積みされる前に、外国の海港で評価し、特定し、検査します。海上輸送貨物ではCSIとPSIの共通部分は明らかで、CSI加盟12カ国は同時にPSI加盟国でもあります。

  CSIを通じて、既に述べたように、CBPの検査官はすでに数百人おり、主としてターゲッター(調査すべき貨物の選別をする係官)ですが、情報分析官とICE調査員もおり、24カ国と38海港で受入国の検査官と協力しています。今秋コロンボ、スリランカ、ブラジルのサントスでもCSIは業務開始を予定しており、CSI港は間もなく40になる見込みです。CSIに基づき、私たちはパートナーと協力して大量破壊兵器の貨物を探します。私たちはリスクの高いコンテナへの、X線検査や放射線スキャン検査を監視することができます。私たちはこれらの国々や、私たちが要請に応じて、外国向けあるいは積替え貨物のコンテナを差し止め、拘留し、検査する権限を有する受入国の税関のパートナーと、強力な関係を持っています。ここが重要な点です。

C‐TPAT

  第4のイニシアティブは、対テロリズム税関・通商パートナーシップです。これは民間部門とのパートナーシップで、主要な輸入会社、多国籍企業などですが、外国の主要な製造会社や運送業者も含まれており、端的にいえば、これは国際的なサプライチェーンの所有者あるいは主要当事者とのパートナーシップです。

 C‐TPATのもとでは、民間会社、例えば大手の輸入会社が自社のサプライチェーンの安全確保のために、文字通り外国業者の積載ドックから米国の到着港まですべての過程に、安全基準であるC‐TPAT基準適用を約束するのです。その代わりに、C‐TPAT認定済み会社から発送される商品に対しては、積荷のリスクは低いので、米国到着地、海港、空港あるいは陸路での入国地点での検査数も少なく、通過処理をより速くしています。

 2001年11月、私たちはパートナーであるわずか7社と対テロリズム税関‐通商パートナーシップを開始しました。今日、C‐TPATプログラムの参加会社は9000社を超えています。C-TPATは、9・11から発生した官民パートナーシップとしては、間違いなく最大規模で最も成功したものであると私は思っています。

 C-TPATの民間部門である輸入会社はCBPの通常権限を超えることで私たちを手助けしてくれます。私たちは事実上外国の民間事業を規制できませんが、私たちの民間パートナーは、C-TPATの安全基準を明記した発注書などを通して、それを実行する手段を持っています。米国の輸入会社が、その海外のサプライヤーは質的水準を満たしていることを明記し証明できれば、C-TPAT安全基準を満たしていると特記できます。C-TPATパートナーがそれを行うのです。

 貨物運送会社も最善の安全対策に参加できます。実際に、C-TPAT認定会社がこの国の安全保障のために何ができるかを示した、航空業界の傑出した2社をご紹介しましょう。航空宅配業界の安全に貢献しているフェデックスとUPSの2社です。

 両社は自費で、アジア、カナダ、ヨーロッパにある国際航空貨物拠点で放射線検出技術を導入し、利用しています。両社ともに、放射線探知・放射線警報解析のための技術、訓練、通知プロトコールに関するCBP基準に適合するという覚書をCBPとの間に調印しています。

 両社は放射線ポータル・モニター(RPMs)と携帯式の放射線アイソトープ判別装置(RIIDs)の両方を使用しています。フェデックスとUPSが行う放射線審査は、国際貨物を米国行きの貨物航空機に積載する前に審査することで、わが国の保安区域を広げようというCBPの取り組みを支援しています。私は、会社、顧客、貨物の保護、そして何よりもわが国と国民の保護に対する両社の協力を感謝します。

 さらに2002年UPSは、ルイスビルにあるUPS最大の国際航空拠点ワールドポートに到着する潜在的なリスクを持つ積荷をCBP検査官が選別、検査するのを手助けする「ターゲット・サーチ」と呼ばれるソフトウエアプログラムを開発、実装しました。フェデックスも高度な自動追跡システムを持ち協力しています。

 これらのシステムは、前もって確実に標的を定め検査すべき積荷を選別するための電子情報をCPB検査官に提供します。

技術

 私たちの戦略のもう1つの重要な部分は、私たちの取り組みの多くを支えるもので、それはわが国の通関手続地での探知技術の飛躍的な向上です。

 9・11の直後に私たちはNII設備の拡大を開始しました。大規模なコンテナ、トラック、X線型画像機械の数を4倍に増やしました。通関手続地で、核および放射線物質兵器をより正確に探知するため、利用できる最高の探知技術を加え、2002年5月からは高感度の放射線ポータル・モニター(RPMs)をわが国の陸上及び海上の通関手続地に設置しています。

 私の述べたこれらの構想は、わが国をテロリストやテロリスト兵器から、より一層の安全を確保するために連携しているもので、9・11以前にはどれも存在していませんでした。

計画の時

 翌2日間に渡り、私たち全員で既存の枠組から離れ、すでに設置されているCSIやC-TPATや私が今述べたような安全対策の中で、航空貨物の安全をPSI型物質から守るために、何がPSI支援に利用できるか考えることを提案します。PSIの疑いのある積荷を、意図された到着地に着く前に停止、阻止、回収するために、いかにしたら最も効果的な方法で貨物追跡システムを上手に利用できるでしょうか。航空機一機を迂回させるよりも、小包1個を検査のために再配達するほうが良いのではないでしょうか?

 私たち全員で起こり得るシナリオを考えてみましょう。「何でもありうる」というシナリオではなく、妥当な領域内にあることを考えるのです。

 もちろん「銃型爆弾」のような初期の核爆弾の製造に十分な核分裂物質の移動は、私たちが対処し阻止すべきものです。それが空路あるいは海路で移動している場合、民間の輸送会社は、私たちが発見し再配送手助けをしてくれます。彼らはフェデックスやUPSの場合のように、その探知を手助けしてくれるかもしれません。

 取り組まなければならない特別の問題があります。それは、悪の手に落ちるよう運命付けられた本物の核爆弾のことです。それは潜在的に甚大な結果をもたらす特別の問題です。絶対に輸送機に載せてはいけません。それを防ぐにはどうしたら良いのでしょうか?

 しかし他のシナリオも考えてください。

 卵のケースほどの大きさのポリスチレン製の容器に1ダースの「冷陰極管」が入っていたとしたらどうしますか? それぞれの管は10セント玉の太さで、1960年代以降のトランジスターのように見えます。このパッケージがヨーロッパのアパートに送られるところです。

 直径50センチ未満で重さは10キログラムで、「検査装置」(ジンバル搭載コンパス)と表示された段ボール箱が、アジアの自由貿易港にある持株会社に送られたとしたらどうしますか?

 透明な液体が入った5リットル入りのプラスチック容器4個が、段ボール箱に収まり、有機リン酸エステルと表示されて中東の大学研究所に輸送されたらどうしますか?

 これらすべては、一見問題がなさそうに思えるかもしれません。

 最初の積荷は陰極管と明示されていますが、実際は12本の冷陰極管、あるいは「クライトロン」です。クライトロンは業界では「核起爆装置」とも呼ばれており、軍民両用で、核兵器を起爆させるために用いられる装置なのです。

 2つ目の積荷は「検査装置」と明示されていますが、ジンバル搭載コンパス、もっと詳しく言うと「ジャイロ・アストロ」コンパスです。この装置をロケットに取り付けると、星や衛星を使ってロケットを宇宙で操作できます。この装置がつくと、弾道ミサイルの前に「大陸間」という名前がついているのです。

 3番目の包みは有機リン酸エステルと表示されていて、これは殺虫剤に用いられる化合物の1種ですが、実際はサリンです。サリン、あるいはGBという名でも知られていますが、これはもちろん神経ガスの1種で1995年東京の地下鉄でテロリストの新興宗教集団が使用したものです。

 これらすべては航空貨物で容易に輸送できます。これらすべては私たちの潜在的なセキュリティー、そしてPSIに加盟している60カ国を含む他の諸国のセキュリティーにも本物の脅威を与えます。そしてこれらのリスクすべてが大量破壊兵器の拡散防止安全保障構想(PSI)の対象になり得るのです。

結論

 半世紀以上に渡って米国は、平和目的に利用するために共有する取り組みと、抑止のための国際敵取り組みにおいて、核技術の先駆者でした。

 今日私たちが直面する核拡散問題はフランケンシュタイン博士と彼がつくり出した怪物によく似ています。というのは、それらはすべて人間の知力の真髄によって生み出されたものだからです。そして残念ながら、フランケンシュタインの怪物のように、私たちは私たちが発明したものと共存する方法を見つけない限り、そして、発明したものが私たちに危害を加える者の手中に入らないようにしない限り、甚大な被害をもたらす可能性があります。そして私たちの世界を、9・11以上に変えてしまうかもしれません。

 この非常に重要な理由から、私たちは敵を阻止する国際的セキュリティー・システムを考案するために最大限の努力を払う以外はなく、PSIは国際社会をこの価値ある崇高な目標に参加させるための、かけがえのない取り組みなのです。