
コンドリーザ・ライス国務長官
町村信孝外務大臣
2005年7月12日
東京
町村外相 ライス長官に外務省にお越しをいただきまして、本年に入って、5回目ということでありますけれど、心から歓迎を申し上げました。まず7月7日のロンドンの卑劣なテロに対しまして、これを強く非難し犠牲を受けた方々に対しまたイギリス政府、イギリス国民に心から哀悼の意をお伝えをしたいと思っております。
今日はいくつものわれわれが直面する問題について、意見交換を行いましたが、まず最初に天皇皇后両陛下のサイパンご訪問について、米政府が大変なお心づかいをしていただいたことに心から感謝を申し上げたところであります。
まず北朝鮮の核の問題について、あるいはミサイルの問題、拉致の問題について話し合ったところでありますが、6者会合が近々再開をされるということを歓迎をし、アメリカをはじめとする関係国の努力に感謝を申し上げました。
特にですね、次回の会合で具体的な進展が必要であること、それから北朝鮮の真剣でかつ建設的な対応を期待していること、さらには日米間の連携が引き続き重要であることを確認をいたしまして、今週後半にソウルで日米間の担当者の協議、佐々江局長、ヒルさん等でありますけれども協議が開催をされることになったわけでございます。また拉致問題についても現状を申し上げ、ライス長官から温かいご理解と支持をいただいたところであります。
国連改革につきましても議論をいたしました。国連改革は安保理改革だけではなくて、人権の問題でありますとか平和創造、構築の問題でありますとか、あるいは事務局の改革でありますとか、幅広い分野でこれを進められなければならないということで認識を共有をしたところであります。また、特に安保理改革につきましては、現在、非常にさまざまな提案が出され、また出されようとしている状況でございまして、今後、日米両国が安保理の実効性を高めるためにどうしたらいいか、改革を進めるために引き続き緊密に協議、協力をしていこうということで意見が一致いたしましたし、また引き続き、米国は日本が常任理事国入りすることについてはサポートをしていただけるというご発言もいただいたところであります。
あと2国間の問題につきましては、在日米軍の兵力構成の見直しについて、精力的に協議を進めていこうと、加速化していこうということを確認をいたしました。また、BSEの問題についても今、日本側の専門家による議論が進められておりまして、本件の重要性にかんがみて、できるだけ早い機会にこの問題が解決をされることが大切である、ということで意見が一致をいたしました。また、さらに閣僚レベルの戦略協議をやろうということを前回、合意しておりますので、これを時間が調整がつけば、9月の国連総会の合い間に、できればいいということで日程調整をしようということになりました。
ライス長官 どうもありがとうございます。町村外務大臣、ご歓迎いただきどうもありがとうございます。日本と米国は、広く深い友好関係を持ち、価値観を共有しています。私にとって、日本を訪れるのは常にうれしいことです。
私たちは、さまざまな課題について、大変良い話し合いをすることができました。2国間の課題については、町村外相が述べられたように、私たちは、軍の態勢、同盟の(聞き取り不能)を継続することの重要性について話し合いました。それは、私たちが、21世紀の問題と課題に対処することのできる近代的な日米防衛同盟を望んでいるからです。私たちは強力な関係を結んでおり、(聞き取り不能)。
町村外相が、米国の牛肉および農産物の対日輸出の状況について最新の情報をご説明くださったことに私は満足しています。そして、日本がこの問題をできる限り迅速に解決しようと努力をなさっていることに対して、お礼を申し上げました。
私たちは、共通の関心事である多くの国際的な課題について、またイラクの状況について話し合いました。言うまでもなく、イラクでは、現地の人道状況および民主的なイラクの将来に、日本が極めて重要な貢献をしています。
そして、もちろん、日本はテロとの戦いの前線における同盟国であり、私たちは、その戦いを継続することの重要性について話し合いました。私たちは、テロとの戦いで前進しているものの、まだ勝利はしていないことを目の当たりにしたばかりです。ロンドンでの恐ろしい出来事は、私たちの直面する敵の決意が固いこと、そして私たち自身がさらに決意を固めて、彼らが私たちの生活を乱したり破壊したりできると思わせないようにしなければならないことを、改めて私たちに認識させるものです。
そして、私たちは引き続き、この惨事の余波に対処しようとしている英国の人々、ロンドンの人々、犠牲者の家族の方々、そして回復しようとしている被害者の方々に、深い同情を禁じえません。
私たちは、国連安全保障理事会の改革と、より広範な国連改革について話し合い、広範な国連改革の必要性があるという点で意見が一致しました。私は、米国が日本の安保理常任理事国入りを支持することを、改めて外相にお伝えしました。もちろん、米国は、現時点でいかなる国家が常任理事国候補となることにも反対していませんが、安保理改革に関する話し合いに十分な時間が与えられ、この極めて重要な課題が十分に検討されて、できる限り広いコンセンサスが得られることを願っています。
最後に、私たちは、間もなく再開される6者協議について、長時間にわたって話し合いました。私たちは、この協議の成功に期待しています。北朝鮮が戦略的な決断を下し、真剣な交渉をする意志を持って協議に臨むことの重要性について話し合いました。もちろん、すでに提案は出されています。私たちは、それに対して何らかの対応があることを望んでいます。米国は、-- そして日本も、真剣な交渉をする意志を固めています。私たちは、この協議を成功させるためにできる限りのことをする準備ができています。
私は、北京での話し合いについて、町村外相にご報告することができました。ご存じのように、次はソウルを訪問します。6者協議における米国の交渉担当者であるヒル国務次官補が、すでに他国の代表と話し合いを行っています。日本、韓国、米国の3カ国による協議が行われる予定です。このように、6者協議の開始前に多くの活動が予定されていますが、最も必要とされているのは、北朝鮮が、真に核兵器廃棄の意志を固めるという戦略的決断を下すことです。それは、その決断がなければ、6者協議の成功はありえないからです。
そして最後に、町村外相が述べられたように、私は、米国が引き続き、拉致問題の望ましい解決に向けた日本の努力を強く支持することをお伝えしました。
町村外務大臣、どうもありがとうございました。私は、ニューヨークでこの戦略的対話を継続することを楽しみにしております。
問 幹事社を代表して日本経済新聞の弟子丸と申します。近く開催されます北朝鮮の核問題をめぐる6カ国協議について、両外務大臣にお尋ねいたします。今回の協議では、先ほど町村大臣からのご指摘もありましたが、どこまでのどういう具体的な進展を必要とされてますでしょうか。それに向けて、韓国と日米両国の政策には差がありますが、違いを埋めるために日米両国が歩み寄ることは、可能なのでしょうか。また、6カ国協議で進展が仮になかった場合に、国連の安全保障理事会で議論を取り扱うこと、その可能性、または6カ国協議での日本人拉致問題への取り扱いについても併せてコメントをお願いいたします。
町村外相 6者協議で実現をされるべきテーマというのは、もとより核の計画の完全な廃棄であるということであります。同時にミサイルの問題、さらには拉致問題をはじめとする人権問題と、こういったことも含めて、この6者協議で実質的な成果を挙げることが大切であると、こういう認識でございます。日米間の連携の重要性は先ほど申し上げたとおりでありまして、今週後半、担当者の方々によるすり合わせが行われることになっております。6者協議がうまくいかない場合という話ですが、今まさにこれが再開されようという時に、うまくいかない話をここで今お話するのは、いかにもタイミングとしてまずいのではないかと思いますから、そういう悪いケースの想定については、この際は、お答えを差し控えさせていただきます。
ライス長官 はい。私も付け加えさせていただければ、私たちは現在、韓国と非常に良い協調関係にあります。私は先週、統一相と会談をしてきました。彼は再び平壌を訪れました。私たちは全員が、北朝鮮は核計画を放棄しなければならないという点で、完全に意見が一致していると思います。北朝鮮と韓国の間で、南北間の対話が行われていることは明らかです。私たちは、それを支持してきました。しかし、私たちは皆、同じ目標に向かっており、その目標を達成する最良の手段について話し合うために、間もなく全員が集まることになっています。
問 6者協議は拉致問題について話し合う場として適切であるとお考えですか。また、韓国が、大規模な食糧援助をはじめとする各種の支援を公表していますが、これは、協議に臨む長官の立場を弱めるものであるとお考えになりますか。
ライス長官 第1に、北朝鮮国民の真に悲惨な人道的状況に対応するという韓国の決断は、いかなる意味でも、協議の効果を弱めるものではありません。米国も最近、北朝鮮に対して5万トンの食糧援助を提供しています。これは今そこで起きている人道上の惨事であり、皆が対応すべきことです。
ただ、どのような問題が提起されているにしても、真の問題は、北朝鮮が進んで核兵器計画を放棄し、その確約を明確に証明するこの機会をとらえるのだろうか、という点であることを、誰もが認識していると思います。
2番目に、6者協議の主な目標は、北朝鮮との間で核問題を解決することですが、私たちは、そのほかにも解決すべき問題があると考えていることを秘密にしたことはありません。ミサイル拡散の問題をいずれ解決しなければなりません。いずれは通常戦力も問題となるでしょう。そして、もちろん、人道問題、人権問題にも対処しなければなりません。協議再開に当たって最も差し迫っている問題が核問題ではありますが、私たちは、常に、この問題を解決しようとする日本の意向を支持してきています。そして今後の北朝鮮との関係においては、さまざまな課題が解決されなければならない、という考えを明らかにしています。
念願かなって核問題が解決されたあかつきには、将来を、より幅広い視野で見ることができるようになる、と思います。
問 NHKの藤野と申します。幹事社を代表してお尋ねします。国連の安保理改革についてお尋ねします。まず町村大臣にG4の方では今月の20日前後に枠組み決議案の採決を目指すという方針ですけれども、今日あらためてライス長官から、安保理改革については、じっくりと時間をかけてというふうに言われたんですが、この方針について何か影響があるかということと、あと方針どおり採決を目指される場合、アメリカ側の理解を得られるのかということをお尋ねします。
それからライス長官に対しましては、G4の決議案をどのように評価されておられるか、それから早期採決について具体的に、早期採決をG4は求めていますけれど、それに対してアメリカ側はどいうふうに対応されて、実際に採決が行われた場合には、アメリカ政府としてどのような姿勢でのぞまれるのかというのをお尋ねします。すいません、質問が多くなりまして、もうひとつライス長官に、イラクの問題について先ほど会談でお話されたということですけれども、自衛隊の派遣延長の問題について、今日の会談では取り上げられたのでしょうか。12月で自衛隊の派遣の期限が来ますけれども、それ以降の日本の自衛隊に対する、貢献に対する期待をお聞かせください。
町村外相 時間が限られておりますから短くお答えいたしますけれども、17日の日曜日にニューヨークでG4の外相会談を開き、あるいは、そこにアフリカの代表の方も来られるのではないかと思います。そこで、今後の進め方について最終的な判断をしようかと思っておりますが、今のところは20日前後に、このフレームワーク決議というものの採決を求めていくというのが現時点での基本的な考え方であります。ただ、アフリカの決議も出され、コンセンサスグループの決議も出されるという状況でございますので、こうした状況、流動的な状況を踏まえて、よく日本はアメリカと協議をしていこうというのが基本的な態度であります。
ライス長官 はい。私も、これは確かに流動的な状況であるということを付け加えておきます。もちろん、私たちは、日本を支持し・・・日本の常任理事国入りを支持しており、また国連の拡大を支持することを表明してきました。しかし、私たちは、特により広範な国連改革に関して、まだ成すべき作業が多く残っていると考えており、従って、この問題に関しては、日本政府の方々と緊密な連絡を保っていくつもりです。これらの問題について話し合う機会、そしてそれを広範な国連改革の枠組みの中で考えることは、非常に重要な原則である、と私たちは考えています。
また、イラクに関しては、日本国民は、一貫してイラク国民を支援してきました。言うまでもなく、今後のさらなる貢献の可能性や予定は、日本政府が判断することです。
問 ロサンゼルスタイムズのソニー・エフロンです。日本から北朝鮮への送金制限の問題について、お2人にお伺いします。ライス長官、米国が拡散国に対して、金融制限も含めた制限の強化を求めているという背景において、日本政府が北朝鮮への送金を制限することを歓迎されますか。
また、町村外相への質問ですが、こうした背景において、もし拉致問題が日本政府の満足できる形で解決されなかった場合、日本政府は送金制限の実施を検討することになりますか。それとも、日本政府は、これを、6者協議の枠組み内で政治化されるべきではない人道問題であると見なしていますか。
どうもありがとうございます。
ライス長官 私は、本日、町村外相とこの問題について話し合ったと述べるにとどめておきます。ご質問の中で触れられた大統領命令は、拡散の取引を促進する組織や企業を対象とするものであり、現在私たちが目指しているのは、そうした取引を中断させることであると思います。私たちは、北朝鮮に拉致されている可能性のある日本国民の非常に困難な状況に対処するとともに、北朝鮮がもたらす安全保障問題に対処しようとする日本政府の努力に、全幅の信頼を置いています。従って、私は、日本が、安全保障に対する北朝鮮の脅威に対処するために、できる限りの手を尽くしていること、そして今後もそうする意志があることを確信しています。この問題について、私たちの間に意見の相違はありません。
町村外相 核兵器等の拡散を阻止するために、日本政府として、これまでもできる限りの措置は取ってまいりましたけれども、これからも米国等と一緒になって、この問題を共に取り組んでいこうという基本姿勢であります。最近、大統領令というものが出されたわけでありますが、その内容を私も必ずしも詳しく承知しておりませんので、そこを良く相談をして、中身を良く研究をいたしまして、その上で日本としてできることがあるかどうかですね、前向きに検討していきたいと考えております。
拉致問題との関係でこれをどう取り扱うかといのは、また別の問題であろうかと考えておりまして、今、拉致問題につきましては、小泉総理がいつも言っておりますように、対話と圧力という方針でのぞんでおりますので、そのポジションに変わりはございません。


駐日米国大使