
国務省 民主主義・人権・労働局
2004年9月15日発表
日本国憲法は信仰(信教)の自由を定めており、政府は実際に、この権利をおおむね尊重しているが、多少の制限があった。
当報告書の対象期間中に、信仰の自由尊重に関する状況の変化はなかった。
日本社会における一般的に友好的な各宗教間の関係が、信仰の自由に寄与している。
米国政府は、人権促進に向けた総合的政策の一環として、信仰の自由の問題に関して日本政府と話し合っている。
第1節 宗教に関する統計
日本の総面積は37万7887平方キロ、推定総人口は1億2700万人である。公式的な宗教の行事に国民が定期的に参加する割合は低い。
また、特定宗教における信者数の割合を正確に特定することは困難である。文化庁が2002年12月に発表した統計によると、国民の約49.9%が神道を、44.2%が仏教を、5%が「その他」宗教を、0.9%がキリスト教を信仰している。しかし、神道と仏教が相互排他的な宗教ではなく、大半が双方を信仰していると答えているため、この数字は信者の比率の実態を表していない。
「その他」宗教には、統一協会(統一教会)やサイエントロジー教会などの国際的宗教の日本支部、および天理教、生長の家、世界救世教、パーフェクトリバティー教団、立正佼成会などの日本で生まれた宗教が含まれる。正教会やユダヤ教あるいはイスラム教の礼拝に参加している信者の大半が外国生まれの居住者であり、それは人口の中の少数である。
1951年の宗教法人法に基づき政府が認めた仏教の宗派は28ある。主な仏教宗派には、天台宗、真言宗、浄土宗、禅宗、日蓮宗、奈良仏教がある。伝統的仏教に加えて、800万人を超える信者を有する創価学会などの仏教系新宗教団体が多数ある。神道の主要3派には、神社神道、教派神道、新教派がある。キリスト教では、カトリックとプロテスタントの教派が、少数ではあるが信者を集めている。
2001年4月の法務省の報告によると、1995年の東京の地下鉄サリン事件で宗教法人の資格を失ったオウム真理教は、その後アーレフに名称を変更した。
信者の数は、1995年の1万人から推定1650人に減少した。しかし、2002年10月に、オウム真理教(アーレフ)は、信者数は1208人に過ぎないと主張している。
第2節 信仰の自由の現状
法的・政策枠組み
日本国憲法は信教の自由を定めており、日本政府は実際に、この権利をおおむね尊重しているが、多少の制限はある。
1995年のオウム真理教によるテロ攻撃事件に対応して、1996年に宗教法人法が改正された。これにより、当局に宗教団体に対する監視を強化する権限が与えられ、宗教法人の金融資産の開示義務が拡大した。国会は、オウム真理教(アーレフ)の活動を規制する目的で、1999年に新たな2つの法律を制定した。
仏教の寺院や神道の神社の中には、国指定史跡や国指定文化財として公的支援を受けているところもある。最高裁は1997年に、寄付金が特定の宗教団体を支援、奨励、促進する場合には、都道府県庁は公的資金を特定の宗教団体に提供してはならないとの判決を下した。
しかし、宗教団体に関連する公的資金の使用を問う訴訟は1998年以降起こされていない。
日本政府は宗教団体に登録または認可を求めていない。しかし、税制面での優遇措置および他の利点を得る宗教団体として公式に認められるためには、「宗教法人」として登録をしなければならない。実際に、ほとんどの宗教団体が宗教法人登録を行っている。文化庁のリストによると、2002年12月現在で18万2634の宗教団体が登録されている。
改宗に関する制限の報告はない。
信仰の自由に対する制限
オウム真理教(アーレフ)は、同集団が社会にとり依然として危険な存在であり、さらに3年間政府の観察処分の対象にするべきであるとの2003年1月に公安審査委員会が下した決定の下にある。
統一協会とエホバの証人の信者は、強制的なディプログラミングを受けているとの申し立てに警察が対応していないと主張し続けた。彼らはまた、家族が被害者を監禁していることに対して、警察は誘拐に対する法の執行をせず、また統一協会の信者が長期にわたり監禁されても、警察は監禁した家族やディプログラマーに対して罪を問わない、と主張している。統一協会は、同協会の計算に基づき、誘拐やディプログラミングの件数が近年大幅に減少していると報告している。しかし、同協会は、家族やディプログラマーによる誘拐やディプログラミングを家族の問題であるとする当局の傾向には依然懸念を示している。
2002年8月、複数の裁判所は、エホバの証人の信者に関する訴訟で、「ディプログラミング」を違法とする判決を下した。しかし、2003年、最高裁判所は、統一協会が誘拐と「ディプログラミング」を行った被害者の家族と誘拐をした者を訴えた訴訟の上告を棄却した。この統一協会の訴訟で、最高裁は、上告の理由は憲法違反に該当しないと判断したのである。1月に横浜地裁は、2人の被害者が数カ所のアパートにほぼ5カ月の間誘拐監禁されていたと訴えた1997年の訴訟で、原告の請求を退ける判決を下した。地裁は、裁定の理由として、証拠が不十分であること、および監禁の状況が平穏であったことを挙げている。しかし、同じ1月に大阪地裁は、2001年に家族がディプログラマーの手を借りて、自分の意思に反して2カ月の間監禁されたと訴えた被害者に有利な判決を下している。原告の両親と1人のディプログラマーに対して、2000ドル(20万円)の支払いを命じた。
宗教を理由とする囚人や拘留者の報告はない。
強制改宗
未成年の米国市民が米国から拉致または違法に連れ去られた、あるいはそのような米国市民の米国への帰国が拒否されたとの報告を含む強制改宗の報告はない。
テロ組織による悪用
当報告書の対象期間中に、テロ組織が特定宗教を悪用したという報告はない。
第3節 社会の態度
日本社会における各宗教間の一般的な友好関係が、信仰の自由に寄与した。
第4節
米国政府の政策
米国政府は、国際的な信仰の自由の促進を含む人権促進に関する総合的な政策の一環として、日本政府と信仰の自由の問題に関して対話している。米国大使館は、宗教団体の代表と定期的な交流を保っている。


大使のスピーチ・寄稿