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*下記の日本語文書は参考のための仮翻訳で、正文は英文です。

牛海綿状脳症(BSE)に関する質問と答え


米国農務省(USDA)

2005年3月3日、同5月18日改訂(追加)

目次

<全般的BSE対策・ファイアーウオール>

 すべての牛に対してと畜前の検査が行われるのか。

 米国でUSDAが、すべてのと畜される牛の検査を行わない理由は。

 BSE陽性牛が今後も検出されると思うか。

<特定危険部位(SRM)>

 すべてのSRMの除去は適切に行われているのか。その方法は。SRM除去と2次汚染の予防の確保の方法は。

 先進的食肉回収システム(AMR)は現在も実施されているのか。

<飼料禁止措置>

 米国は、1997年以降、哺乳動物蛋白質飼料の牛への使用禁止を実施していると主張しているが、それは、いまだに主として反すう動物から反すう動物への飼料の禁止である。例えば、牛を原料とする家禽用飼料が牛の飼料と混合することをいかにして防ぐのか。

<順守状況>

 米国の飼料禁止措置の実施の初期段階における順守率はどうだったのか。
 

<A40に関して>

 成熟度とは。

 A40は、牛が21カ月齢未満であるということをどのように確証するのか。

 各検査官が正しく一貫性をもって成熟度の格付けを行うことをどのようにして確認するのか。検査官の正確性を確保するモニターシステムはあるのか。

<その他>

 変異型クロイツフェルト・ヤコブ病(vCJD)とは。米国で発見されたvCJDは何例あるか。ニュージャージー州の、そうではないかという症例については。

 米国とカナダの貿易に関連して、カナダで3件(ワシントン州で発見された1件を含めると4件)のBSEが発見されているが、米国・カナダ間の国境を開いた際に、米国は、BSE感染牛の侵入をいかにして確実に阻止するのか。

<追加=2005年5月18日>

 米国会計検査院(GAO)の最近の報告によると、飼料産業の19%が、過去5年間に再検査を受けていない。米食品医薬品局(FDA)は、日本国民に対して、米国産牛が肉骨粉を食べていないことをどのように保証できるのか。

 特定危険部位(SRM)の除去が不十分であるという、労働組合議長の申し立てについて。

 米農務省が牛海綿状脳症(BSE)陽性牛の発見を隠ぺいしたというメディアの報道は事実か。

 昨秋、日本へ輸出された豚肉に米国産牛肉が混じっていたと聞いている。どうしてそのような間違いが起きたのか。

 米国はなぜ日本の消費者に対して、A40を基準とする「あいまいな」月齢判別法を押し付けているのか。

 米国はなぜ家畜認識番号(ID)制度を導入していないのか。

 日本で2頭の若いBSE感染牛が発見されたことを日本の科学者が確認しているにもかかわらず、なぜ米国はこれを否定できるのか。

 米国はなぜ全頭検査に同意しないのか。

 欧州連合(EU)は、地理的BSEリスク(GBR)評価で米国をレベル3としたが、これに対する米国の反応は。


<全般的BSE対策・ファイアーウオール>

 すべての牛に対してと畜前の検査が行われるのか。

 米国における連邦政府の検査施設でと畜されるすべての牛は、米国農務省(USDA)の食品安全検査局(FSIS)検査官の検査の対象になる。中枢神経系の障害の疑いを含む疾病の兆候を特定するために、牛に対する慎重な検査が行われる。次に、疑いのある牛に対しては、FSISの獣医による再検査が行われ、と畜の可否が決定される。全身疾患の症状が見られる動物が人間の食料として供給されることは認められていない。

  米国における連邦政府の検査施設でと畜されるすべての牛は、検査の対象になる。FSIS検査官は、中枢神経系の障害の疑いを含む疾病の兆候を特定するために牛に対する検査を行う。

  疑いのある牛に対しては、FSISの獣医による検査が行われ、と畜の可否が決定される。全身疾患の症状が見られる動物は処分され、人間の食料として供給されることは認められていない。検査中に神経がおかされている症状を示している動物の脳は、USDAの全米獣医サービス研究所に検査・分析のために送られる。BSE検査の対象になった牛の枝肉と部位には、サンプルが陰性であるとの判定が出るまで検査マークは証印されない。検査結果が陰性である場合にのみ、牛の枝肉と部位に検査マークが証印され、流通システムに送られる。

  USDAおよび連邦政府機関は、1989年以来、米国の食料と食品に対するBSE汚染を防ぐための規制措置を継続している。ワシントン州の家畜群でカナダから輸入されたBSE陽性の牛が発見された後、USDAは、米国の食料供給へのBSE病原体の侵入のリスクの最小化をさらに進めるための追加セーフガードを含む新たな規制を発表した。詳細は、USDAのウェブサイトwww.usda.govを参照。

 同様に、食品医薬品局(FDA)は、栄養補助食品を含む人間の食品や化粧品にBSEが入り込むリスクが最も高い牛由来の物質の使用を禁止した。FDAの規制により人間の食品と化粧品への使用が禁止された牛由来の物質には、以下のものがある。

a. 歩行不能で、障害のある牛由来の物質

b. 感染性プリオンの発生の可能性が高い月齢30カ月以上の牛の臓器、およびすべての月齢の牛の扁桃と小腸の牛由来の物質

c. 機械的に分離された(MS)(牛肉)の牛由来の物質

d. 人間に供されるためのもので検査および通過をしなかった牛由来の物質

 FDAの規制はまた、これらの禁止規制の準拠に関連する既存の記録をFDAに提出することを食品、化粧品製造業者および加工業者に義務付けている。FDAはまた、禁止されている牛由来の物質が製品に混入されていないことを証明する記録を作成・維持することを、牛由来の物質を利用する製造・加工業者に義務付ける案を公表している。

 米国で農務省(USDA)が、すべてのと畜される牛の検査を行わない理由は。

 USDAのBSE検査は、食品安全検査ではない。これらの検査の具体的な目的は、米国の牛の個体群におけるBSEの存在を確認することで、存在する場合には、その程度を確認する。統計に準拠した監視システムの範囲で有効である。特定危険部位(SRM)の除去が、公衆保健のために取りうる唯一の最も重要な行動であるということに注目することが重要である。現行のBSE検査は、BSEの臨床的兆候が現れない動物に対しては不正確である。現行の検査方式では、臨床上正常な成牛が陰性であるという誤った結果を出す確率は、プリオン蓄積が検出限界以下のため92%であるとの推定がある。(つまり、臨床上は正常である間に、BSEに感染している100頭の成牛に対して検査した場合、92%が、実際には感染していたにもかかわらず陰性との結果が出るということ。)

 USDAの強化された監視プログラムの目標は、動物保健のさらなる確保を消費者・貿易相手国・産業に提供することで、具体的には米国の牛の個体群にBSEが存在するのかどうか、また存在する場合、その程度を確認することである。USDAは、病気を持っている可能性の高い動物に対する検査に重点を置いている。

 現行の検査方式は、動物に病状が現れ始める約3カ月前にBSEの陽性を発見することができる。BSEの潜伏期間、最初の感染時から臨床的兆候が現れるまでの期間は通常、平均4年とかなり長い。したがって、現行の方式による感染動物に対する検査の結果が陰性という誤った判定を出す可能性のある期間が長期にわたる。この可能性は、検査のためのサンプルの採取時に動物が臨床上正常である場合に高くなる。現行の検査方式では、臨床上正常な成牛が陰性であるという誤った結果を出す確率はプリオン蓄積が検出限界以下のため、92%に上る、との推定もある(つまり、臨床上は正常である間に、BSEに感染している100頭の成牛に対して検査した場合、92%が、実際には感染していたにもかかわらず陰性との結果が出るということ)。しかし、動物がBSEと見られるある種の臨床的兆候を見せている場合には、より意味のある検査を行うことができるし、また陰性であるという誤った結果を出す可能性も低くなる。現行の検査が症状の始まりと思われる時期の直前にBSEの存在を特定するため、と畜の場で正常に見える動物を検査することは、効果的な検査の利用ではなく、また食品安全の確保につながるものでもない。

 牛のBSEを発見する可能性は牛の個体群間で大幅に異なり、と畜時に健康な牛を検査することは、正しい結果を出す可能性は最も低いのである、と国際獣疫事務局(OIE)は、非常に明確に述べている。

 USDAのBSE検査は、食品安全検査ではない。統計に準拠した監視システムの範囲で有効である。特定危険部位(SRM)の除去が、公衆保健のために取り得る唯一の最も重要な行動であることに注目することが重要である。

 BSE陽性牛が今後も検出されると思うか。

 2004年6月1日以降、米国農務省(USDA)は20万頭を超える牛の検査を行ったが、現在までに陽性の牛を1頭も検出していない。これまで米国で発見されたBSE陽性牛は1頭のみであり、それも米国産ではない牛によるものである。強化された監視プログラムが開始してまだ数カ月が経過したばかりであり、BSE陽性牛は検出されていないが、USDAが今後BSE陽性牛を検出する可能性はある。

<特定危険部位(SRM)>

 すべての特定危険部位(SRM)の除去は適切に行われているのか。その方法は。SRM除去と交差汚染の予防の確保の方法は。

 米国農務省(USDA)の規則により、SRMが枝肉から完全に除去されること、食品から分離されること、そして危害分析重要管理点(HACCP)プランの下に適切な方法で処分されることにすべての事業者が責任を持つことで確保される。この規制はまた、SRMによる交差汚染を防ぐための工場内衛生手順を義務付けている。

 米国の規則により、と畜・加工事業者は、SRMの適切な除去・分離・処分を実証する書面による手順の作成・実施・維持が義務付けられている。食品安全検査局(FSIS)は、各事業者と緊密に協力して、事業所内でこの規則の義務を最善に達成するための具体的な手順の作成の確保に努めている。

 SRMが枝肉から完全に除去されること、食用部位から分離されること、そして適切な方法で処分されることの確保に各事業者が責任を持つ。各事業者は、自己のHACCPプラン、衛生基準操業手順、またはその他の必須プログラムに基づく管理手順に取り組まなければならない。この規制はまた、牛のと畜や枝肉などの加工を行う事業者がSRMの除去・分離・処分のための手順の実施と監視を実証する日報を保存すること、また要請があればFSIS職員にこれらの記録を提示することを事業者に義務付けている。SRMが食肉に混入しないことを確保するために、FSISの検査官は、事業者がこれらの組織を適切に除去していることを検証する。

 FSISはまた、SRMによる交差汚染を予防するための工場内衛生手順を義務付けている。事業者が、月齢30カ月以上の牛および月齢30カ月未満の牛をと畜または加工する場合には、監視プログラム担当者が、器具(つまり、のこぎりやナイフ)が枝肉と部位の間で適切な洗浄・消毒が行われていることを検証する。さらに、FSISは、先進的食肉回収システム(AMR)により生産される製品の厳格な規制検証・検査プログラムを維持して、脊髄、脳、三叉神経節、脊髄後根神経節が食肉と表示された製品に混入することのないように努めている。また、月齢30カ月以上の牛の脊柱と頭蓋骨は食用には適さないと見なされるため、AMRシステムは使用できない。

 先進的食肉回収システム(AMR)は現在も実施されているのか。

 AMRは、一定の条件下で実施されているだけで、実施される際には慎重な監視が行われる。AMRプロセスは、中枢神経系組織(脳、脊髄組織など)や、過剰な量の骨や骨髄が食用肉に混入して汚染するような方法で実施されることはありえない。

 AMRは、高圧の下で枝肉から筋肉組織を取り出す技術である。このプロセスは現在も実施されているが、一定の条件下で実施されているだけで、実施される際には慎重な監視が行われる。AMRプロセスは、中枢神経系組織(脳、三叉神経節、脊髄組織、脊髄後根神経節)や過剰な量の骨(カルシウムのレベルで測定される)や骨髄(鉄分のレベルで測定される)が混入するような方法で実施されることはありえない。2003年3月、食品安全検査局(FSIS)は定期的な規制サンプル調査プログラムを開始して、AMRシステムを利用している工場が食用肉への脊髄の混入を防ぐことを確保している。このサンプル調査プログラムは、その後拡大され、牛肉や豚肉への脊髄後根神経節の混入の検査も行うようになった。現在、AMRシステムを使って調製されている子羊の肉はない。

<飼料禁止措置>

 米国は、1997年以降、哺乳動物蛋白質飼料の牛への使用禁止を実施していると主張しているが、それは、いまだに主として反すう動物から反すう動物への飼料の禁止である。例えば、牛を原料とする家禽用飼料が牛の飼料と混合することをいかにして防ぐのか。

 哺乳動物由来の肉骨粉(MBM)をブタ、家禽、その他の非反すう動物に与えることによりBSEが感染することはあり得ないとの科学的なコンセンサスがある。しかし、反すう動物用飼料と非反すう動物用飼料を扱う企業ないし生産する企業には、機器や設備を別にするか、交差汚染防止のために適切な清掃プロセスを実行することが義務付けられている。

 哺乳動物蛋白質の使用に関する飼料禁止措置は、反すう動物用飼料としての使用に適用されるだけで、その他の種の動物用飼料には適用されない。したがって、哺乳動物の肉骨粉(MBM)は、ブタ、家禽、その他の非反すう動物用飼料に使用してもかまわない。しかし、反すう動物用には禁止されている(が、非反すう動物用には認められている)原料を扱い、かつ反すう動物用飼料を生産している企業には、別々の機器や施設を備えること、あるいは交差汚染を防ぐための適切な清掃手順を実施することが義務付けられている。この義務は、精製から農場での混合に至るあらゆるレベルの企業に適用される。これらの企業は、禁止されている原料に、反すう動物に与えてはならない旨を明示することが義務付けられている。交差汚染防止に関する指針は、食品医薬品局(FDA)の動物薬品センターのウェブサイトwww.fda.gov/cvm/index/bse/bse_guidance.htmに掲載されている。

<順守状況>

 米国の飼料禁止措置の実施の初期段階における順守率はどうだったのか。

 食品医薬品局(FDA)は、1997年8月に飼料禁止措置を開始した。最初の年の順守率は、新しいプログラムにしては予想より高いものだった。精製業者と飼料製造業者の規制のすべての部分に対する順守率は、50−58%であった。問題の大半は、単純な書類の要件の不順守に関した軽微なものであり、禁止原料の存在というような深刻な問題ではなかった。2004年7月においては、規制の罰則適用を要するような状況や慣行が発見されたのは、検査をされた施設の1%未満であった。検査の結果は、www.accessdata3.fda.gov/BSEInspectに掲載されている検索可能なオンラインデータベースで入手できる。2005年8月で米国が効果的な飼料禁止を8年間実施していることになり、これは、国内の家畜群におけるBSEの拡散または侵入を効果的に抑えるために要するとして国際獣疫事務局(OIE)が提言している期間に該当する。

 1997年8月、FDAは、飼料禁止措置の順守率が75%になると予測した。1997年10月から1998年9月までの実際の状況は、50%から85%の精製業者と飼料製造業者が規制を全面的に順守していた。規制の精製業者と飼料製造業者に対する個別義務に対する順守は、50%からほぼ100%と幅があった。製造業者の約95%は、施設内に禁止原料を持っていなかった。しかし、そのうちで規制の書類義務を順守していたのは約25%のみであった。

 FDAは、国内の飼料製造所、精製業者、蛋白質配合業者の順守状況を監視するための検査を引き続き行ってきた。FDAはまた、最初の検査の範囲を拡大して、運送業、牛の酪農家、動物飼料処分業者などの動物飼料の製造と利用に関わる他の部分も検査の対象にしてきた。米国の飼料製造所、精製業者、蛋白質配合業者の現在の飼料禁止措置に対する順守状況は良好である。2004年7月に、規制の罰則適用を要するような状況や活動が発見されたのは、検査された施設の1%未満であった。検査の結果は、www.accessdata3.fda.gov/BSEInspectに掲載されている検索可能なオンラインデータベースで入手できる。

 米国は、現在すべての動物飼料におけるすべての特定危険部位(SRM)の使用を禁止してはいないが、1997以降、反すう動物への反すう動物のSRM飼料の使用の禁止を継続してきた。これは、米国におけるBSEの拡散に対する大変効果的なファイアーウオールになってきた。このことは、進行中の強化された監視プログラムにより23万頭を超える動物が検査されたにもかかわらず、陽性が1件も出ていないという事実により証明される。ある国にとって適切な規制措置は、有病率に部分的にかかわっている。そして、すべての指標は、米国における有病率は極めて低いことを示している。

 米国は現在、飼料禁止措置に追加措置を講じることの是非を検討している。しかし、飼料禁止措置の強化に関連するいずれの行動も現行制度の有効性を反映するものではなく、また米国産の牛肉の安全性に直接影響を与えるものではないことを理解することが重要である。飼料禁止措置が総合的なBSE対策計画の非常に重要な構成要素であることに同意はするものの、輸出牛肉の安全性は、食料供給に入るすべての牛からSRM、つまりBSE病原体を含む危険性のある組織を除去することにより確保される。

<A40に関して>

 成熟度とは。

 成熟度は、動物の暦月齢ではなく、生理学的月齢を指すものである。暦月齢が不明の場合には、生理学的成熟度を用いることができる。生理学的成熟度の測定は、骨の特性、軟骨部の骨化、リブアイ部筋肉の色ときめにより行われる。月齢が進むと軟骨は骨になり、赤身の色は黒ずんできて、きめは粗くなる。赤身の色ときめは死後の他の要因の影響を受けるため、測定には軟骨と骨の成熟度がより重要になる。成熟度には、A(最も若い)からE(最も老いた)までの格付けが行われる。

  枝肉の生理学的成熟度の判定評価に使われる軟骨は、頚部(けいぶ)以外の背骨の脊椎部分である。すなわち、個々の仙骨と腰椎の脊椎の中間および後背面にある軟骨、および胸部の脊椎(ボタン)の椎骨の突起の後背面にある軟骨である。これらのすべての部分にある軟骨が、成熟度の判定の際に検討される。より若い枝肉においては、ボタンが最も突出しており、最も軟らかく、また骨化もすすんでいない。成熟度がAからEに進むにつれて、骨化がますます顕著になる。A成熟度の枝肉肋骨は、かなり丸味があり、赤い色をしているが、E成熟度の枝肉の肋骨は、広く平らである。C成熟度で暦月が進むにつれて、あばら肉の赤みは徐々に減少する。そして、赤血球の生産を止めてしまうため、色はおおむね白くなり、その後は白いままになる。最長筋(longissimus muscle)の色ときめは、これらの特性が正常なものと十分異なる場合に、枝肉の成熟度の判定に利用される。

  成熟度には、後部から前部への進行がある。すなわち、骨化は仙骨部分で始まり、月齢を経るにしたがって、腰椎部分に進み、やがては枝肉の胸部の部分(ボタン)で始まる。この骨化の後部から前部への進行により、若いA成熟度の枝肉でさえも、仙骨の軟骨にある程度の骨化が見られる。

 A40は、牛が21カ月齢未満であるということをどのように確証するのか。

 米国農務省(USDA)は、最近、日本政府の専門家と協議の上で、牛の生理学的月齢と暦月齢との関係を確認するために、現在米国で飼育されている牛の個体群に関する詳細調査を行った。調査の結果、この調査のデータがA40と同等あるいは未満と判定された枝肉のいずれもが17カ月齢を超える牛のものではないことを示していたことに全員が合意した。これにより、牛肉を格付けA40未満に制限することにより、21カ月齢以上の牛の日本への輸出を効果的に排除することができる。

 USDAは、牛の生理学的月齢と暦月齢との関係を確認するために、現在米国で飼育されている牛の個体群に関する詳細調査を行った。この調査の目的は、A成熟度格付けシステムを利用して、21カ月齢以上の牛の日本への輸出を排除する能力を検証することにある。歴月齢、性別、品種、出生記録などのファクターが、2004年11月にと畜された4000頭を超える牛に関して記録された。

 この調査のデータを分析してみると、21カ月齢以上の牛は、20カ月齢以下の牛よりも生理学的成熟度(P<0.05)が進んでいることが分かった。さらに、この調査のデータが、A40と同等あるいは未満と判定された枝肉のいずれもが17カ月齢を超える牛のものではないことを示していた。米国においてBSEの伝染を防ぐために備えられたファイアーウオールや国内産の牛の有病率がゼロに近いことを考慮すると、このデータ分析は大幅に控えめであり、このことは21カ月齢以上の牛由来の製品の日本への輸出を排除するための最高レベルの保証を提供する。

 各検査官が正しく一貫性をもって成熟度の格付けを行うことをどのようにして確認するのか。検査官の正確性を確保するモニターシステムはあるのか。

 米国では牛肉の格付けは、過去30年にわたり絶えず監視と改善をされてきたプログラムに基づき95%を超えると畜された牛に対して現在行われている。食肉格付け・認証(MGC)支部の職員(例えば格付け担当者)は、枝肉に対する米国農務省質・量等級を正確に判定する能力を絶えず評価・監視されている。格付け専門官には、4000時間を超える訓練を受けることが義務付けられており、毎月監督官による相関度テストと監査を受けている。日本に輸出する牛肉の適正認証要件の正確性と精度を確保するためには、追加措置が実施される。この追加措置には、USDA輸出証明(EV)プログラム指定牛肉製品要件(日本向け)の枝肉月齢判定を行う格付け専門官は、このプログラムの要件を満たすとともに、枝肉認証の資格に必要な実績要件を満たす必要がある、とするポリシーが含まれる。EVプログラムの生理学的成熟度要件に準拠した枝肉はすべて、判定、承認後、個別に識別され、証印を受ける。この識別証印は、加工処理と製品の完全性を確保するために、加工処理・パッケージ・保管・出荷を通じて消されることはない。

 食肉格付け・認証(MGC)支部の職員(例えば格付け担当者)は、枝肉に対する米国農務省質・量等級を正確に判定する能力を絶えず評価・監視されている。格付け担当者に対する評価を継続することは、消費者と業界の双方が望む高度な一貫性を保つために必須である。

 成熟度評価は、現在USDA 品質等級の判定を受けるすべての枝肉の品質評価のための必須要素である。成熟度評価は、食肉として均一の品質を持つグループに枝肉を分けるために用いる主要ファクターである。このファクター自体を別途に記録することはないが、特定等級の認定を受ける前に枝肉が満たす必要のある他の品質等級の予見ファクター(例えば、霜降り度)と総計して評価される。従って、格付け担当者は、個々の特性を評価した上で、その枝肉がどの品質等級に値するのかを判定する。

 格付け担当者の監督官は、格付けファクターの統一の取れた正確な評価を確実に行うために、格付け担当者と枝肉に関する相関度テストと協議を行う。監督官のレビューは、格付け担当者の能力が能力基準を満たしているかどうかの正しい評価を行うために、格付け作業が行われる現場で実施される。これらの相関度テストと協議の結果は書面に記録され、さらに個々の格付け担当者と協議される。

 格付け担当者の評定の中から、毎月ランダムに選定されたサンプルがある1人の監督官により評価され、その結果は正確性の評価をするために表にまとめられ、職員個人および複数の格付け担当者が配置されているところでは担当者のグループに対して意見が提出される。

 格付け専門官のレベルに到達するためには、職員は、まず4000時間以上の訓練を受けなければならない。枝肉格付け期間中、格付け担当者は、少なくとも月1回直属の監督官による相関度テストを受ける必要がある。相関度テストの目的は、格付けに関する監督官の評価に沿って統一性と正確性を確保することにある。相関度テストに加えて、監督官は、個々の格付け担当者に与えられた詳細な個別レビュー期間中に、ファクター評価に関連する職場での協議を行う。

 監督官はまた、月毎に国内各地域で部内の正確性監査を行う。この活動には、格付け担当者の評価の正確性をレビューする対象地域の指揮系統にない監督官が参加する。このレビューの結果は、書類にまとめられ、直接の指揮系統にある監督官と、MGC支部内の技術監督関係者に報告される。

さらに、格付けの正確性に関する個別の評価が、完全に独立しているレビューチームにより行われる。このチームは、家畜・種子プログラムの副局長に直接報告する。このレビューは予告なしに行われ、特定の工場を対象に1週間にわたり続けられる。

 過去30年の間、規格支部が食肉格付け・認証支部職員に対して、牛枝肉の格付けに関する米国の公式規格に基づく認証プログラムの作成に関する訓練の立案を行い、また訓練をしてきた。認証プログラムの例には、1)霜降り(スモール50)、2)霜降り(スライト40)、3)USDA 認証各種牛肉プログラムのためのこぶの高さ要件などのファクターに関する規格の作成が含まれる。

 米国には、日本に輸出する牛肉の適正認証要件の正確さと精度を確保するために、追加措置を実施する意向がある。この追加措置には、USDA輸出証明(EV)プログラム指定牛肉製品要件(日本向け)の枝肉月齢判定を行う格付け専門官は、このプログラムの要件を満たすとともに、枝肉認証の資格に必要な実績要件を満たす必要がある、とするポリシーが含まれる。

 EVプログラムの生理学的成熟度要件に準拠した枝肉はすべて、習熟度テストに合格した評価専門官により日本固有の要件を満たしたと判定され、承認された後に、個別に識別され、証印を受ける。この識別証印は、プロセスと製品の完全性を保証するために、加工処理、パッケージ、保管、出荷を通じて消されることはない。

<その他>

 変異型クロイツフェルト・ヤコブ病(vCJD)とは。米国で発見されたvCJDは何例あるか。ニュージャージー州の、そうではないかという症例については。

 vCJDは、クロイツフェルト・ヤコブ病(CJD)と呼ばれる、人体で発見された最も一般的な感染性海綿状脳症(TSE)の変異型である。この病気は、おそらく食物を通したBSE感染に強い関連がある。牛肉および牛肉製品を食べることによりvCJDに感染するリスクは、人間への感染の可能性を最小にする適切なすべての措置を完全に講じ、制御していれば、つまり特定危険部位(SRM)の除去を徹底していれば、大変低い。2003年12月1日現在、全世界で153例のvCJDが報告されている。内訳は、英国で143例、フランスで6例、米国、カナダ、アイルランド、イタリアでそれぞれ1例である。2004年に、CJDの疑いによる一連の死亡が、ニュージャージー州のチェリーヒルにあるガーデンステート・レーストラックのレストランでBSE病原体に汚染された牛肉を食べたことによるのではないかという懸念が報告された。調査の結果、レーストラックに関連する死亡がvCJDによるものだとする、またはBSEに汚染された牛肉を食べたことに起因するものだということを裏付ける証拠はないと断定された。

 人体で最も一般的な感染性海綿状脳症(TSE)は、クロイツフェルト・ヤコブ病(CJD)と呼ばれる。CJDは、世界的には発症率が100万人に1例というほど稀な病気である。1996年に英国で発見された変異型CJD(vCJD)は、これもTSEであるので、CJDと似ている。しかし、vCJDと従来のCJDには著しい違いがある。第1に、従来のCJDとは異なり、vCJDには若い人が感染する(CJDの感染者の平均年齢が65歳であるのに対してvCJDの場合は平均29歳である)。第2に、vCJDの罹病期間が比較的長期であることが挙げられる(CJDの平均4.5カ月に対して14カ月)。最後に、この病気は、おそらく食べ物を通したBSE感染に強い関連がある。CJDを含むその他の、人間のTSEは、食べ物による感染との関連はない。牛肉および牛肉製品を食べることによりvCJDに感染するリスクは、人間への感染の可能性を最小にする適切なすべての措置を完全に講じ、制御していれば、つまりSRMの除去を徹底していれば、大変低い。2003年12月1日現在、全世界で153例のvCJDが報告されている。内訳は、英国で143例、フランスで6例、米国、カナダ、アイルランド、イタリアでそれぞれ1例である。

 米国では、疾病管理予防センターが、vCJD監視システムを運用している。今までのところ、このシステムでは、英国に長期間居住や旅行をしたことのない米国の居住者からはvCJDは検知されていない。2002年、BSEが流行していた時期に英国に居住していたフロリダの住民1人にvCJDの疑いが報告された。疫学データは、この患者が、米国に移住する以前に英国でBSE病原体に感染していた可能性があることを示している。

 2004年に、CJDの疑いによる一連の死亡が、ニュージャージー州のチェリーヒルにあるガーデンステート・レーストラックのレストランでBSE病原体に汚染された牛肉を食べたものによるのではないかという懸念が報告された。調査の結果、レーストラックに関連する死亡がvCJDによるものだとする、またはBSEに汚染された牛肉を食べたことに起因するものだということを裏付ける証拠はないと断定された。

 米国とカナダの貿易に関連して、カナダで3件(ワシントン州で発見された1件を含めると4件)のBSEが発見されているが、米国・カナダ間の国境を開いた際に、米国は、BSE感染牛の侵入をいかにして確実に阻止するのか。

 2004年12月29日、米国農務省(USDA)は、米国にBSEが侵入するリスクが最小であると認められる地域を定める基準を確立する最終ルールを発表した。この基準により、カナダからの牛肉と生体牛の輸入を認可する要件が定められた。米国は、このルールが定める要件と、カナダがBSEの流行防止のために実施している動物・公衆衛生措置、そして米国の広範な食料安全・動物衛生規制制度の組み合わせにより、米国の消費者と家畜に高水準の保護を提供できると確信している。

 このルールは、カナダ産牛のと畜は若い月齢(30カ月齢未満)で行うべきことを定めている。さらに、これらの牛の扁桃と遠位回腸は、すべての月齢において特定危険部位(SRM)見なされるので、除去すると同時に人間の食用に供することを禁止している。これらの措置は、消費者保護に最も効果的な手段である。輸入直後にと畜されない牛については、慎重に監視を行う。

 2004年12月29日、USDAは、米国にBSEが侵入するリスクが最小であると認められる地域を定める基準を確立する最終ルールを発表した。この基準により、カナダは最小リスク地域となり、またカナダからの特定の反すう動物と反すう動物製品の輸入に際して満たさなければならない要件が明確に定められた。最小リスク地域には、BSE感染牛の診断が既になされたが、米国へのBSEの侵入の可能性を排除するに足るリスク軽減措置が講じられている地域を含むことができる。

 このルールにより、米国への牛のアクセスが禁止された2003年5月以来、初めてアクセスが可能になる。ただし、アクセスは、牛のと畜が30カ月齢未満で行われること、また輸入直後にと畜されない牛は、と畜前に単一の肥育場に移動させることが条件になる。このルールは、30カ月齢以上の牛肉の輸入も認める予定であったが、2005年2月9日に、ジョハンズ米国農務長官は、30カ月齢以上の牛肉の輸入許可の発効日を延期すると発表した。この決定は、最小リスクルールの中の、30カ月齢以上の牛肉のカナダからの輸入を認めながら、より月齢の高い生体牛を米国で処理することを目的とした輸入は認めないという部分に対する懸念に対処するものである。現在、30カ月齢未満の生体牛と30カ月齢未満の牛肉の輸入は、3月7日をもって認められる。(最近の進展については米国農務省のウェブサイトwww.usda.govでジョハンズ長官の2005年3月3日付けステートメント"Statement By Agriculture Secretary Mike Johanns Regarding The Passage Of S.J.Res. 4 By The United States Senate"をご覧ください。)

 米国は、このルールが定める要件と、カナダがBSEの蔓延防止のために実施している動物・公衆衛生措置、そして米国の広範な食料安全・動物衛生規制制度の組み合わせにより、米国の消費者と家畜に高水準の保護を提供できることを引き続き確信している。

 BSEの潜伏期間が大変長い(約5年)ために、この期間、BSE感染牛には一切症状を見ることができず、また、この期間の終わり近くになるまで、牛の組織に伝染性の物質は存在しない。このルールは、カナダ産の牛のと畜は若い月齢(30カ月齢未満)で行うべきことを定めている。さらに、これらの牛の扁桃と遠位回腸は、すべての月齢においてSRMと見なされるので、除去すると同時に人間の食用に供することを禁止している。これらの措置は、消費者保護に最も効果的な手段である。

用語解説

FSIS―食品安全検査局

HACCP―危害分析重要管理点


<追加=2005年5月18日>

 米国会計検査院(GAO)の最近の報告によると、飼料産業の19%が、過去5年間に再検査を受けていない。米食品医薬品局(FDA)は、日本国民に対して、米国産牛が肉骨粉を食べていないことをどのように保証できるのか。

 反すう動物飼料の禁止を最大限に施行するため、FDAは、より高リスクと見なされる企業(レンダラー、飼料工場など)の検査を、低リスク企業の検査より頻繁に行っている。高リスク企業とは、(非反すう動物用には認められているが、反すう動物には)禁止されている肉骨粉を含む飼料または飼料原料を製造または加工する企業である。高リスク企業に対する検査は、FDAの交差汚染防止義務に対するこれらの企業の遵守を確保するため、少なくとも年に1度実施される。

 低リスク企業とは、飼料または飼料原料を高リスク企業から購入するが、それをさらに加工または再製造しない企業のことである。こうした企業の大半は、ペットフードなどパッケージ済みの製品しか扱わないため、肉骨粉を商業的に扱うことはない。従って、畜牛がこれらの製品を食べる可能性は極めて低い。

 FDAの検査によって、こうした企業が肉骨粉入りの飼料の製造または加工を行っていないと判断された場合には、執行活動を高リスク企業に集中するため、これらの低リスク企業に対する再検査の頻度が減らされる。GAOの報告にある、飼料産業の19%の企業は、すべて低リスク企業である。

 特定危険部位(SRM)の除去が不十分であるという、労働組合議長の申し立てについて。

 米農務省(USDA)は、SRMの除去が食品安全確保のカギであることを認識しており、SRM除去プロセスに対する違反は許容しない。全米食品検査労働組合支部合同協議会の議長は、マスコミへの声明および書簡で、SRM除去に関して、根拠のない漠然とした申し立てをした。農務省への申し立てはすべて、積極的かつ徹底的に調査される。このケースでは、議長が、たび重なる要請にもかかわらず、そうした事件の発生した場所あるいは時期について詳しい情報を提供しようとしなかった。その後、農務省食品安全検査局(FSIS)が行ったSRM除去プロセスの再調査では、問題は発見されなかった。

 米農務省が牛海綿状脳症(BSE)陽性牛の発見を隠ぺいしたというメディアの報道は事実か。

 1997年に2頭の牛に対するBSE検査が正しく行われなかったとする最近のメディアの報道は間違っている。この2頭の牛は、いずれも、政府の実験室で何度も検査され、いずれの場合もBSEの可能性は確実に否定された。4月15日付のUPIの記事によると、農務省による隠ぺいを主張した人々は、あらゆる事実を入手する前に、こうした主張を発表したものであり、必要な情報を得た後では、これらの牛がBSEに感染していなかったことを納得した。

 昨秋、日本へ輸出された豚肉に米国産牛肉が混じっていたと聞いている。どうしてそのような間違いが起きたのか。

 日本へ輸出された豚肉に少量の牛肉が混じっていた事件については、調査が行われた。牛肉の混入は不注意によるものであり、その責任を有する2つの組織には、農務省食品安全検査局から警告状が送られた。

 米国はなぜ日本の消費者に対して、A40を基準とする「あいまいな」月齢判別法を押し付けているのか。

 米国は、月齢20カ月以下の牛の肉だけが日本へ輸出されるよう細心の注意を払っている。その確認には2つの方法がある。

 ひとつは、月齢の判明している肉牛を使うことである。現在、食肉処理可能な、月齢の判明している肉牛の供給数は限られている。しかし、2004年秋以降は、牛の出生年月日を記録する生産者が増えており、今後6〜12カ月間、月齢の判明している牛の頭数が増加を続ける。日本の市場が再開されるに伴い、月齢の判明している牛の需要が増え、その結果、こうした基準を満たすために必要な情報の記録を開始する家畜業者が増えると思われる。

 もうひとつの手段は、現行の格付け制度に基づく生理的な成熟度を利用することである。この制度は、月齢20カ月以下の牛だけが米国から日本へ輸出されるようにするための有効な手段として、日本の専門委員会が容認したものである。事実、われわれの調査では、この制度で生理的成熟度の限界をA40とした場合、成熟度A40の牛はすべて月齢17カ月以下であるため、3カ月の余裕が与えられることがわかっている。この格付けを行う判定者は、いずれも4000時間を超える訓練を受けた、経験豊富な専門家である。

 米国はなぜ家畜認識番号(ID)制度を導入していないのか。

 1940年代に、農務省動植物検査局(APHIS)の前身となった機関が、ブルセラ症の検査および予防接種を受けた畜牛を識別するための大規模な計画に着手した。ブルセラ症検査のため、牛に公式の札を付け、耳に入れ墨を入れることによって、米国では何十年にもわたり、極めて有効な家畜識別制度が実施されていた。しかし、米国ではブルセラ症がほぼ根絶されたため、この識別制度も急速に廃止されつつある。このほかにも、家畜識別の要素を含む家畜衛生制度がいくつかあり、家畜の種類によっては、州間で取引を行うためには識別が必要なものもある。また、品評会に出したり、競技場で競争させたりする前に識別が必要な動物もある。従って、さまざまな目的を持つ識別制度がいくつか存在するが、全国動物個体識別制度(NAIS)が導入されるまでは、あらゆる種類のあらゆる動物を対象とする全国的な動物識別制度は存在しなかった。

 2003年12月に米国でBSE感染牛が発見されたときには、すでにNAISの導入計画がかなり進んでいた。それを踏まえて、農務省は、BSE発見直後に、検証可能な全国動物識別制度の導入を急ぐことを発表した。NAISは、この数年間、各方面からのインプットを得て進化してきており、現在も微調整と改善が続けられている。

 農務省は、既存の識別制度をさらに発展させており、また現在使われている制度からの移行期間を設けている。

 日本で2頭の若いBSE感染牛が発見されたことを日本の科学者が確認しているにもかかわらず、なぜ米国はこれを否定できるのか。

 検査に関して入手可能な科学的情報を検討することが重要である。感染レベルが極めて高い場合を除き、異常プリオンタンパクが脳の検査部位に達するまでには30カ月以上かかる。これは飼育試験によって臨床的に証明されているほか、何百万頭もの家畜のBSE検査が行われているヨーロッパで実地に証明されている。 

 われわれは、日本で月齢21カ月と23カ月の牛がBSEに感染しているとされたことを知っている。しかし、われわれの理解するところでは、これらの牛の陽性検査結果は、日本国外の実験室で確認あるいは再現されてはいない。この重要な問題については、あらゆる諸国が協力し、知識を共有することが重要である。われわれは、日本が、感染物質のサンプルを世界のBSE研究者に提供し、また最終段階にあるとされる、感染性確認のためのマウス検定試験のデータを発表することを奨励する。

 米国はなぜ全頭検査に同意しないのか。

 畜牛のBSE検査は、疾病の監視のため、すなわち集団中にBSEが存在するかどうか、そして存在する場合は、どの程度存在しているのかを判断するためだけに行われるべきである。食品の安全保証に検査を利用することは適切ではない。その理由は、検査が陽性となった場合は家畜がBSEに感染していることを意味するが、陰性の場合は感染していないとは限らないからである。これは、BSEの潜伏期間(感染因子にさらされてから、検査によってその存在が検知できるようになるまでの期間)が最高4年と長いためである。従って、潜伏期間中に検査が行われた場合は、BSEに感染している家畜でも検査結果は陰性となる。食品安全について誤った安心感を与えるような方法を普及させれば、消費者は信頼を裏切られたと考える。食品安全を守るための最も重要な手段は、全頭検査ではなく、SRMの除去である。

 欧州連合(EU)は、地理的BSEリスク(GBR)評価で米国をレベル3としたが、これに対する米国の反応は。

 米国は、この判定に失望していることをEUに伝えた。この判定は、根拠のない仮定に基づくものであり、正当な理由なしに最悪のケースを想定している。米国は、過去15年間に、リスクの証明されているGBRレベル3の諸国(例えばヨーロッパ諸国)から多くの教訓を学んできたと考えている。われわれは、その知識を利用して、米国の消費者へのリスクがほとんどないことを確保する強力なBSEまん延防止制度を開発してきた。

 具体的には、われわれは、BSEの最初のケースがカナダで発見されるはるか以前に、輸入禁止や飼料禁止などのBSE防止措置を実施していた。その結果として、広範なサーベイランスが行われているにもかかわらず、米国で生まれた家畜にBSEが発見された例は1件もない。また、米国とカナダは両国とも、北米におけるBSEの拡大を防止するため、複数のBSE対策を実施している。その結果、米国内ではBSEは(カナダ産の牛1頭を除き)1件も発生しておらず、カナダでもわずか4件が狭い地域内で発生しているだけである。