
国務省民主主義・人権・労働局
2003年12月18日発表
日本国憲法は信仰(信教)の自由を定めており、政府は実際に、この権利をおおむね尊重しているが、いくつか問題があった。
当報告書の対象期間に、信仰の自由尊重に関する状況の変化はなかった。
社会における宗教間の概して平和的な関係が、信仰の自由を支えている。
米国政府は、人権促進に関する総合的な対話と政策の一環として、日本政府と信仰の自由の問題に関する協議を行っている。
第1節 宗教に関する統計
日本の総面積は37万7864平方キロ、推定総人口は1億2700万人である。宗教の公式行事に国民が常時参加する割合いは低い。また、特定宗教の信者数の割合を正確に測定するのは困難である。文化庁が3月に発表した最新の統計によると、国民の約49.7%が神道を、44.5%が仏教を、5%がいわゆる「新」宗教を、0.8%がキリスト教を信仰している。しかし、神道と仏教が相互排他的な宗教ではなく、大半が双方を信仰していると申告しているため、この数字は信者の比率の実態を表していない。神道と仏教とキリスト教以外のすべての宗教が、「新宗教」に分類される。「新宗教」には、統一協会(統一教会)、サイエントロジー教会などの国際的宗教の日本支部や、天理教、生長の家、世界救世教、パーフェクトリバティ教、立正佼成会など、日本で生まれた宗教が含まれる。人口の中の少数は、その大半が外国生まれの居住者であるが、正教会やユダヤ教あるいはイスラム教の礼拝に参加している。
1951年の宗教法人法に基づき政府が認めた仏教の宗派は28ある。主な仏教宗派には、天台宗、真言宗、浄土宗、禅宗、日蓮宗、奈良仏教がある。伝統的仏教に加えて、800万人を超える信者を有する創価学会などの仏教系新宗教団体が多数ある。神道の主要3派には、神社神道、教派神道、新教派がある。キリスト教では、カトリック教と多数のプロテスタント教派が、わずかながら信者を集めている。
2001年4月の法務省の報告によると、1995年の東京の地下鉄サリン事件で宗教法人の資格を失ったオウム真理教は、その後アーレフに名称を変更した。信者の数は、1995年の1万人から推定1650人に減少した。しかし、2002年5月に、オウム真理教(アーレフ)は、信者数は1187人に過ぎないと主張している。
第2節 信仰の自由の現状
法的・政策枠組み
日本国憲法は信教の自由を定めており、日本政府は実際に、この権利をおおむね尊重しているが、いくつか問題はあった。
1995年のオウム真理教によるテロ攻撃事件に対応して、1996年に宗教法人法が改正された。これにより、当局に宗教団体に対する監視を強化する権限が与えられ、宗教法人の金融資産の開示義務が拡大した。国会は、オウム真理教(アーレフ)の活動を規制する目的で、1999年に新たな2つの法律を制定した。
仏教の寺院や神道の神社の中には、国指定史跡や国指定文化財として公的支援を受けているところもある。最高裁は1997年に、寄付金が特定の宗教団体を支援、奨励、促進する場合には、都道府県庁は公的資金を特定の宗教団体に提供してはならないとの判決を下した。しかし、宗教団体に関連する公的資金の使用を問う訴訟は1998年以降起こされていない。
日本政府は宗教団体に登録または認可を求めない。しかし、税制面等での優遇措置を受けることのできる宗教団体として正式に認められるためには、宗教団体は「宗教法人」として登録しなければならない。実際に、ほとんどの宗教団体が宗教法人登録を行っている。文化庁のリストによると、2001年12月現在で18万2687の宗教団体が登録されている。しかし近年、文化庁は、この中の5000もの団体が休眠状態にあると推定しており、これらの団体を宗教法人登録から抹消するための訴訟を起こした。1998年以後、裁判所は、宗教法人法に基づき登録されながら休眠状態にある少なくとも3つの宗教団体に対する解散請求を文化庁から受理している。
改宗に関する制限の報告はない。
信仰の自由に対する制限
1995年の東京の地下鉄サリン事件後、宗教法人としての資格を失ったオウム真理教(アーレフと改称)は、依然として政府の監視の下に置かれた。
統一協会とエホバの証人は、信者が強制棄教の対象となっているとの申し立てに警察が対応していないという主張を引き続き行った。彼らはまた、家族が被害者を拘束している場合、警察は誘拐罪に関する法を執行しないと申し立てたり、統一協会の信者が長期にわたり監禁されても、警察は監禁したものを告発しない、と主張している。2002年8月、裁判所は、エホバの証人に関する訴訟で、「強制棄教」を違法とする判決を下した。しかし、同年、最高裁判所は、統一協会が誘拐と「信仰放棄活動」の嫌疑で協会信者の家族と友人を訴えた訴訟の上告を棄却した。この統一協会の訴訟では、最高裁判所は、上告の理由は憲法違反に関わる問題ではないと判断したのである。
宗教を理由とする囚人や拘留者の報告はない。
強制改宗
未成年の米国市民が米国から誘拐または違法に連れ去られとの報告や、あるいはそうした米国市民が米国へ戻るのを拒否されたとの報告を含み、強制改宗の報告はない。
第3節 社会の態度
日本社会における宗教間の概して友好的な関係が、信仰の自由に貢献している。2001年11月、富山地方裁判所は、イスラム教礼拝所から聖典を4冊盗み出した女性に懲役1年(執行猶予付き)の刑を言い渡した。2001年5月に、この女性はイスラム教徒の外国人居住者が営む店舗に破られたコーランを投げ捨てた。被告は、自分の家族に人前で恥をかかせ困らせるためにこのようなことをしたと申し立てた。
第4節 米国政府の政策
米国政府は、信仰の自由の国際的な促進を含む人権促進に関する総合的な対話と政策の一環として、日本政府と信仰の自由の問題に関する協議を行っている。米国大使館は、宗教団体の代表と定期的な接触を保っている。


大使のスピーチ・寄稿