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*下記の日本語文書は参考のための仮翻訳で、正文は英文です。

人身売買に赤信号を!

コリン・L・パウエル米国国務長官
2004年6月14日

 本日、私は、人身売買被害者保護法の規定に従い、国務省の2004年人身売買報告書を、大統領と連邦議会に提出した。議会が時として、行政機関が自らは実行しようとはしないであろうことを行政機関に実行させることはよく知られているが、この件に関しては、政府全体の意志が完全に一致している。

 ブッシュ大統領が昨年9月の国連総会における演説で強調したように、人身売買問題はブッシュ大統領にとって優先事項である。「最も純真で弱い者に対する虐待と搾取は、特別な邪悪である」と大統領は述べた。そして、私が委員長を務める省庁横断の人身売買(TIP)特別委員会を構成する諸機関もすべて、これに同意している。 

 外交用語を使うならば、われわれは真に「この問題に専心している」。その理由は明らかである。それは、こうした犯罪によって、最も純真で弱い者がいかに痛めつけられているかを知れば知るほど、この問題から目をそらすことができなくなるからである。女性や、最年少ではわずか6歳の少女たちが、売春のために売買されている。男性は売買され、強制労働をさせられている。戦地で少年兵として戦うために人身売買される子どもたちもいる。

 そして、その犠牲者の数は少なくない。われわれの推定では、毎年60万〜80万人の犠牲者が国境を越えて売買されている。この数字には、自国内で売買される犠牲者は含まれていない。国内外を問わず、人身売買の犠牲者の大半は、女性と子どもである。 

 このように大きな数字は、われわれの想像力をまひさせかねない。しかし、どのケースもそれぞれ異なり、どのケースも極悪非道である。その例をひとつだけ挙げる。ラオスの丘陵地帯に住む11歳の少女カーンは、東南アジアの人身売買業者によって、大都市の刺繍工場へ連れて行かれた。そこで他の子どもたちとともに1日14時間働かされ、衣食は与えられたが、給料は支払われなかった。これに抗議したカーンは殴打された。再び抗議すると、彼女は物置に閉じ込められ、工場主の息子が彼女の頬を空気銃で撃ち、工業用化学薬品をかけた。 

 こうした惨劇は何百回、何千回と繰り返されており、これが放置されたままであってはならない。ブッシュ大統領の指令の下で、われわれは、人身売買の問題に、かつてないほど人々の注目を集めている。2004年の報告書は、これまでの報告書と同様、実績の不足している諸国に圧力をかけている。われわれのTIP監視システムは、3段階の群を設定しており、実績に基づいて第3群に指定された国は、重大な制裁措置に直面する。第3群指定を避けるために行動を改善した国も数カ国あり、その結果として実際に救助された人々や、命を助けられた人々がいる。 

 われわれはまた、人身売買の被害者を助ける努力を、これまでにも増して強化している。国務省は、「エンジェル・コアリション」を支援している。エンジェル・コアリションは、ロシアの非政府機関を支援するとともに、人身売買組織に対する捜査を強化し、有罪判決を増やすために、国際ホットラインを設けている。米国国際開発庁(USAID)は、カンボジアで人身売買と戦う活動に従事する非政府機関、「インターナショナル・ジャスティス・ミッション」に資金を提供している。これらをはじめとする諸団体の活動は、勇気あるものであり、世界各地で人身売買との戦いに加わる人々がますます増えているという希望をわれわれに与えるものである。

 しかし、われわれはこうした前進に満足してはいない。わが国自体、人身売買被害者保護法の下で努力を増しているにもかかわらず、年間最高1万8000件に上る人身売買が起こっている。またわれわれは、国外における進展にも満足していない。人身売買は、極めて重大な他の問題とつながっているからである。 

 人身売買は、人だけでなく、麻薬、銃、および偽造文書を密売する国際犯罪組織につながっている。人身売買は、HIV/エイズ、およびその他の恐ろしい疾病のまん延を助長する、公衆衛生上の世界的な脅威である。また、人身売買による利益はさらなる犯罪と暴力の資金となるため、人身売買は安全保障上の世界的な脅威でもある。

 多くの国際的な盟約や国内法がすでに人身売買を非難し違法としており、それは好ましいことである。しかし、協定や法律が意味を持つためには、それらが公正に、かつ一貫して、尊重され施行されなければならない。過去に行われた、海賊行為やアフリカの奴隷貿易との戦いからわかるように、新しい規範は、法を執行する力に支えられたときに初めて定着するのである。

 その力が、米国だけの力であってはならない。人身売買は、多国間の協力を必要とする多国間の問題であるが、そうした協力がまだ不足している。われわれは、すべての国家が、人身売買のルートの閉鎖、人身売買業者の訴追と有罪宣告、そして被害者の保護と社会復帰のための努力をより強化し、相互の協力をより緊密化することを求める。

 また、どの国家も、人々が人身売買に誘い込まれること自体を防止する決意を、さらに強化しなければならない。われわれはその困難さを知らないわけではない。人身売買の根本的な原因は根深い。多くの社会では、いまだに女性に対する基本的な尊重と女性の経済的機会が不足している。国内の紛争や腐敗が、国民を絶望に追い込み、人身売買業者の手中に陥らせている。地域によっては、人種差別という要因も加わる。 

 こうした悪を一世代で根絶することはできない。あるいは、何世代かかっても完全に根絶することは不可能かもしれないが、減らし、防止することはできる。しかし、努力をしてみなければ、何が達成できるかはわからない。だから、われわれは努力をし、戦う。人間社会の他の野蛮な行為は、禁止され打破されてきた。合法的な奴隷制や海賊行為が、かつては一般的な慣習であった。小児まひや天然痘が人類を永久に苦しめると考える人々がいたように、こうした悪行をなくすことはできないと信じる人が多かった。 

 しかし、彼らは間違っていた。そして、彼らの運命論的な考え方自体が、問題の一端だった。ご存じのとおり、悪が勝利を収めるためには、善良な人々が何もしないだけで十分なのである。 われわれは、手をこまねいてはいない。人身売買という犯罪に関するわれわれの目標は、テロに関するわれわれの目標と同じである。それは、いずれに対しても、悪のらく印を押し、阻止することである。

 われわれは、人身売買の被害者、そして被害者となり得る人々のためだけでなく、われわれ自身のために戦っている。それは、他の人々の尊厳を擁護しなければ、自らの人間としての尊厳を十分に守ることはできないからである。われわれは、これを黄金律、大切な原則のひとつの形と考える。その黄金は、現在も、これまでと同じく明るく輝いている。それは、われわれの道を照らし、われわれはその道に従う。 

 2004年の報告書は、われわれの最終的な成功への1歩であり、その1歩1歩が意味を持つ。私は、皆さんが、国務省のウェブサイト(www.state.gov) に掲載されているこの報告書を読み、この課題に直面するわれわれの努力を支援するために、それぞれの地域社会でできることを実行されるよう促したい。われわれ米国政府関係者は、人身売買という犯罪に完全に終止符を打つまで努力をやめることはないが、その過程で皆さんからの協力を歓迎する。