
人身売買防止活動の成果
2004年5月12日
米国政府の推定では、毎年、世界各地で80万〜90万人の男女および子どもが、売春その他の目的で、国境を越えた人身売買の対象となっている。そのうちおよそ1万8000〜2万人が、米国へ人身売買される被害者である。
2003年に米国は、世界中の人身売買との戦いに7400万ドル近くを投入したが、米国は国内における人身売買との戦いにも同様に力を入れている。以下はファクトシートである。
米国の法律
現代の奴隷制である人身売買に対する米国政府の対応の要となっているのが、2000年10月に制定された人身売買被害者保護法(TVPA)である。人身売買との戦いを強化し、処罰を厳しくすることを目的とする同法は、連邦政府諸機関が国内で人身売買と戦い、諸外国と協力してこの問題に国際的に取り組むことを義務付けている。
ブッシュ大統領は、2003年12月に、人身売買被害者保護再承認法に署名し、この問題に対する現政権の責務を改めて明確にした。
TVPAは、人身売買を犯罪であると明言し、米国政府が人身売買業者を訴追し罰すること、その被害者を保護し社会復帰させること、そしてこうした犯罪行為を防止することを命じている。
人身売買の被害者は、人身売買の結果として米国内におり、人身売買行為の捜査または訴追への協力を求める妥当な要求に応じ、また米国から送還されればひどく過酷な危害を伴う極めて困難な状況に陥る場合には、Tビザを申請することができる。事件の訴追期間中、被害者には、プライバシーの確保、身体的保護、およびその他の支援を受ける資格がある。
2002年12月16日、ジョージ・W・ブッシュ大統領は、国家安全保障大統領令22に署名し、TVPAの目標を保証した。この大統領令でブッシュ大統領は、連邦政府諸機関に対し、「人身売買と戦う政策を支持するために、諸機関の結集した努力、能力、および連携を強化する」よう指示している。また、この大統領令は、売春が女性にとって本質的に有害であることを明記している。
買春旅行(特に児童を対象とする買春)の害悪に立ち向かうため、米国連邦議会は2003年に、児童保護法(PROTECT Act)を可決した。PROTECT法により、現在では、児童を性的に虐待する目的で米国に入国すること、あるいは米国民または合法的な米国永住者がそうした目的で外国へ行くことは、犯罪とされている。
省庁横断的な大統領特別委員会が、米国の人身売買対策とそのための制度を監督している。この特別委員会は国務長官を委員長とし、その指令を実行するのは、10の連邦政府省庁の高官から成る上級政策運営グループである。特別委員会と運営グループは、人身売買との戦いのあらゆる側面において、適切な政府機関による取り組みを確保する。
主要な役割を果たす米国政府機関
司法省、保健・福祉省、および国土安全保障省が、米国内での人身売買対策と被害者支援を担当している。
司法省: 司法省公民権局刑事課の主導で、同省の検事が、人身売買業者を訴追し、新しい人身売買対策法に関する研修を提供する。極度の強制労働や性的搾取の被害者を多数、救出するのに成功している。司法省の活動によって、人身売買業者が訴追され有罪宣告を受けている。
2004年1月、ジョン・アシュクロフト司法長官は、過去3会計年度の間に、米国内における人身売買業者の刑事訴追が急増した、と述べた。具体的には次の通り。
司法省は、人身売買業者111人を告発した。これは過去3年間で3倍増となっている。このうち79人は、性的搾取を目的とする人身売買の疑いによるものであり、これは過去最高の数字である。
司法省は、77人の被告について、有罪を宣告するか、有罪答弁を得た。これは過去3年間で50パーセントを上回る増加である。この77人のうち59人が、性的搾取を目的とする人身売買で有罪の判決を受けた。
司法省は、21件の捜査を新たに開始したが、これはそれまでの3年間に比べ2倍以上の件数である。2004年1月28日現在、公民権局刑事課は、人身売買の捜査を142件開始していた。これは、2001年1月時点で開始されていた捜査件数の2倍以上である。
司法省犯罪被害者局(OVC)は、被害者に対する支援、保護サービス、訴追・法執行戦略、および教育手段を、人身売買の被害者と被害者支援関係者に提供している。
保健・福祉省: 保健・福祉省は、ある個人が人身売買の被害者であることを認定し、その結果一時的な住居、法的支援、教育機会、精神衛生カウンセリング、里子支援制度、その他の給付を受ける資格があることを認定する。これらの制度は、各州および多数の非政府機関(NGO)が、保健・福祉省の援助を受けて実施している。法執行当局によって被害者の可能性があるとされていても、まだ保健・福祉省によって「認定」されていないケースもある。こうした人々を支援し、人身売買業者の訴追に際して彼らの支援を得るために、司法省は、法執行当局によって被害者とされているが、まだ認定されていない被害者に、同様の支援を提供するための助成金をNGOに提供している。
保健・福祉省は、人身売買防止に対する国民の意識を高める運動を開始した。この運動は、被害者が、保護を受けられること、そして支援制度が存在することを知った上で安心して名乗り出られる環境を作ること、また人身売買の被害者と接する可能性の高い人たちに接触し、被害者の解放と人身売買業者の取り締まり強化に際してそうした人たちの支援を得ること、の2点を目標としている。具体的には次の通り。
保健・福祉省は、人身売買の被害者と接した人たちにアドバイスを提供するため、また各地で利用できる被害者支援の手段を知らせるためのホットライン(888-373-7888、コベナント・ハウスが運営)に資金援助している。
人身売買とは何か、その犯罪のパターン、そしてすべての被害者が受けることのできる法的支援に関する詳しい情報が、保健・福祉省の新しいウェブサイトに掲載されている(http://www.acf.hhs.gov/trafficking/)。
全国的に人身売買に対する国民の意識を高め、ホットラインの存在を告知するために、保健・福祉省と国連が共同で公共テレビ公告を放送する。
国土安全保障省: 国土安全保障省の移民関税執行局(ICE)が、連邦移民法の執行、そして人身密輸、人身売買、および児童搾取といった犯罪の捜査を担当している。
ICEは、人身売買の捜査を強化している。1月には、強制売春組織のリーダーだったテキサス州マッカレン市の男性が、23年の禁固刑を言い渡された。また、ICEは昨年夏、ニュージャージー州で、メキシコ人少女の人身売買を行っていた売春組織を摘発した。この組織はメキシコ人の少女を米国に誘い、強制的に売春をさせていた。ニューヨーク市では、ホステスの仕事を約束して韓国人女性を募集し、売春を強制していた人身売買ネットワークを、ICEの捜査官らが摘発した。
2003年に国土安全保障省は、子どもをえじきにする者を対象とする「捕獲作戦」
(Operation Predator)を開始した。この計画は、開始後8カ月間に次のような成果を上げている。
子どもをえじきとする者および性犯罪者2000人以上を逮捕・拘束した。
インターネット・ポルノに対する過去最大規模の捜査を開始した。
未成年者との性行為を目的に外国へ行く米国人買春旅行客の史上初の逮捕につながった。
児童搾取の被害者を特定し、地方、州、連邦、および外国の法執行機関の活動を支援するデータベースの作成作業を行った。
国土安全保障省市民権・移民サービス局(USCIS)は、人身売買の被害者に、継続的滞在許可およびTビザを発行する。2002年にこの制度が開始されて以来、USCISは410人の被害者に継続的滞在を許可し、人身売買の被害者371人に非移民Tビザを発行してきた。
役に立つリンク
ホワイトハウス、人身売買に関するファクトシート、2004年3月
http://www.whitehouse.gov/news/releases/2004/03/20040318-8.html
ホワイトハウス、人身売買に関する国家安全保障大統領令、2003年2月
http://www.whitehouse.gov/news/releases/2003/02/20030225.html
米国司法省、人身売買に関する情報
http://www.usdoj.gov/trafficking.htm
米国保健・福祉省児童家庭局
http://www.acf.hhs.gov/trafficking/
米国国土安全保障省移民関税執行局
http://www.ice.gov/graphics/index.htm
米国国務省人身売買監視対策室
http://www.state.gov/g/tip/
米国国務省、人身売買と戦う米国の活動の評価
http://www.state.gov/g/tip/rls/rpt/23495.htm
米国国務省、国際情報プログラム、人身売買
http://usinfo.state.gov/gi/global_issues/human_trafficking.html


駐日米国大使