embassy seal
U.S. Dept. of State
flag graphic
 

*下記の日本語文書は参考のための仮翻訳で、正文は英文です。

J・B・ペン農務次官他農務省・食品医薬品局によるBSEに関するブリーフィング

2004年1月22日 米国大使館(東京)

報道官 皆さんこんにちは。私は米国大使館報道官のマイケル・ボイルと申します。本日は、牛肉の輸入と牛海綿状脳症(BSE)の問題について日本政府と協議するために米国から到着したチームによるオンレコのブリーフィングを行います。このブリーフィングの目的は、米国で1頭の牛にBSEが発見されたことに対する米国側の措置について、できる限り多くの情報を皆さんに提供することです。このチームが本日この場でメディアを通じて交渉を行う意志はないことを私からお伝えしておきます。従って、チームは明日の協議についてのコメントは控えることになると思いますが、明日の協議後に行われる記者会見で、そうした問題を取り上げることができます。それではここで、農務次官のJ・B・ペン博士に代わっていただきます。

ペン次官 皆さん、本日はお集まりいただきありがとうございます。米国で発見されたBSE感染牛1頭をめぐる状況について、またわれわれがそれに対して取った措置について、皆さんにさらに多くの情報を提供する機会をいただき、感謝しています。今のお話の通り、この代表団は、日本政府関係者との協議のために来日しました。具体的には、米国政府がカナダ由来の感染牛1頭の発見を昨年12月23日に発表した後に、日本政府は米国からの牛肉輸入を停止しましたが、これを再開することについての話し合いを目的としています。また、日本政府関係者に、この牛をめぐる調査について、また米国政府が米国産牛肉の安全性をさらに強化するために取った追加措置、すなわち12月30日に発表した追加措置について情報を提供することも目的としています。

 本日は、米国政府から私の同僚が出席しています。私の右側が、食品医薬品局副局長のレスター・クロフォード博士です。食品医薬品局(FDA)は、米国の家畜飼料を規制する機関です。その右側が、農務省食品安全担当副次官のマール・ピアソン博士。そして私の左側が、農務省マーケティング・規制担当副次官のチャック・ランバート博士です。ピアソン副次官は食品安全の責任者、ランバート副次官は動物衛生を担当する動植物検疫局(APHIS)の責任者です。従って本日ここには、BSEおよび牛肉の輸入再開に関連する主要分野の責任者が集まっていることになります。

 まず1人ずつ簡単な説明をした後、皆さんとの質疑応答に時間の大半を使いたいと考えています。報道官が説明した通り、皆さんの質問にはできる限りお応えします。われわれには、話し合いの中でお伝えしたい、極めて重要と思われるメッセージがいくつかあります。最初にお伝えしたいメッセージの1つで、私の責任範囲内にあるのは、言うまでもなく貿易の重要性、すなわち米国牛肉産業にとっての日本市場の重要性です。昨年の米国の対日牛肉輸出額はおよそ10億ドルでした。これは米国の牛肉輸出総額のほぼ3分の1に相当します。日本市場は重要な市場であり、大きな市場であり、米国が過去20年以上にわたり非常な努力を払って開拓してきた市場です。われわれは、それを日本の食品業界や外食産業と協力して実現してきたのであり、この市場における存在を維持すること、この市場で引き続き重要な存在となることを望んでいます。これまでのところ、日本の消費者が米国産牛肉の購入を続けていること、米国産牛肉を避ける傾向が見られないことを知って、嬉しく思います。われわれは、日本の消費者の支持に感謝しています。また、この供給停止が日本の輸入業者、小売店、食品産業を苦境に陥らせていることを認識し、まもなくこの状況を乗り越えられることを期待しています。われわれが日本市場を極めて大切だと考えていること、そしてできる限り早急にこの市場に復帰するための解決策を発見するべく、日本政府と協力し、食品業界の各方面と協力することを望んでいることを、改めて申し上げます。

 2番目の重要なメッセージは、米国産牛肉は安全である、ということです。米国の規制制度によって極めて安全な製品が生産されているという点を、日本の消費者に改めて保証したいと思います。米国の規制制度は、長年にわたって安全な製品を生んできたのであり、われわれはさらに制度の強化を続けています。今回の出来事については、事実を正しくとらえる必要があることを、念のためにもう1度申し上げたいと思います。この1頭の牛が発見されるまで、米国は、BSE暫定未発生国でした。この牛はカナダ由来であることが判明し、米国はその直後に、規制をさらに強化する措置を取りました。米国は12月30日に、6種類以上の大胆かつ積極的な措置を発表しました。これについては、ここにいる私の同僚が、詳しくご説明します。

 結論としては、米国の消費者は米国の食糧供給に対して、特に米国産牛肉の安全性に対して、強い信頼感を抱いています。何日か前に発表されたばかりの世論調査の結果によると、米国の消費者の97%がBSEについて知っています。これは極めて高い比率です。その同じ調査によると、米国の消費者の90%が、米国産牛肉と米国の規制制度を信頼している、と回答しています。従って、日本の消費者の考え方は、米国の消費者の考え方に非常に近く、日米両国で、消費者は引き続き米国の牛肉を消費しています。

 米国は何年も前からBSEを防止するための制度を導入しています。米国には1989年以来、家畜を対象とする監視制度および検査制度があります。1997年以降、畜牛に飼料として肉骨粉を与えることは禁止されています。これはすでに7年近く実施されており、ご存じの通り、BSEは、知られている唯一の感染経路が家畜用飼料であるため、この規則は動物間のBSE感染を防ぐ強固なファイアーウォール(侵入阻止策)となります。

 そして3番目のメッセージです。これは、すべての規制プログラム、そして特にわれわれの通商措置は、健全な科学を基盤とすることを要求されている、という点です。米国の規制制度は、科学に基づいています。われわれは、それがあらゆる強力な規制制度の基盤であると考え、またそれによって、常に不足している資源を最大の効果を上げられる分野に集中して投入することが可能になる、と考えます。これは、われわれが通商関係の管理においても採用したいと考える手段であり、日本の政府関係者との協議における議題の1つとなります。これは、国際獣疫事務局(OIE)のような国際基準設定機関の役割を認識するものであると同時に、世界中の誰もが認める確固たる根拠に基づく通商規則の基盤となるものでもあります。

 従って、繰り返しますと、われわれの3つの主要なメッセージの第1は、日本市場が米国にとって極めて重要であり、米国は日本市場における存在の維持を望んでいるということです。われわれはできる限り早急に貿易を再開するために協力して作業を進めることを望んでいます。第2のメッセージは、米国産牛肉は安全であるということです。米国の消費者と日本の消費者の行動が、これを証明しています。そして第3のメッセージは、規制および貿易制度は健全な科学に基づくものでなければならない、ということです。以上で私の話は終わりにして、クロフォード副局長に説明をお願いします。

クロフォード副局長  ペン次官、ありがとう。 本日は、このBSE防御システムのうちFDAの責任範囲である部分について、皆さんにお話できることを嬉しく思います。この事態に関するわれわれの主な仕事は、動物用飼料を介した汚染を防ぐことです。FDAは、1906年の発足以来、飼料を介して感染する細菌、ウィルス、汚染物などについて危惧しており、飼料汚染に関するFDAの防御システムは当時から存在しています。1989年にBSEが国際的に知られるようになり、ある程度特徴付けられるようになったとき、われわれは、後に規制化されるいくつかの措置を開始しました。1997年には、肉骨粉や反すう動物(特に畜牛)由来の動物タンパク質を反すう動物に飼料として与えることを禁止する規則を実施しました。これは、徹底的な規制プログラムの対象となっており、われわれは、米国でカナダ産の感染牛1頭が発見された後、このプログラムの評価を行いました。その結果、この禁止措置の順守率は99%となっています。これは、統計的なリスク解析の数値です。規制に従っていない飼料は事実上存在しないことを意味します。この規制導入の初期、1997年には、この状況に対応するために十分な人員を配置することが難しく、規制が100%順守されていないという好ましくない報告がありました。しかし、2001年以降は、大多数が順守し、現在では完全な順守を達成したことをご報告できます。FDAが実施しているプログラムの中でも、これ以上順守率の高いものはありません。こうしたデータは、視察の回数や順守しない企業に対して取った措置なども含め、一般に公開されています。また、FDAのウェブサイトでデータの概要を見ることもできます。これは、開かれた、透明性のある公衆衛生監視手段であり、正しく機能しています。米国では、食品医薬品法が、われわれにこうした禁止措置を実施するための強い法的執行力を与えてくれています。何度も違反をしていることが判明したある企業に対しては、米国の法律に基づき是正措置が取られています。われわれは、違反1件につき最高200万ドルの罰金を科すことができます。状況によっては、企業が順守を実行するまで、1日200万ドルの罰金が科される可能性もあります。また、違反1件につき5〜10年間の懲役刑を科すこともでき、実際に毎年そうした例があります。先に申し上げたように、このプログラムは完全順守を達成しており、ペン次官が述べた通り、米国の畜牛の感染経路としては飼料が最も可能性が高いため、われわれは自信を持って、米国の 畜牛は感染していない、と言うことができます。なぜなら、これまで判明したところでは、すべての問題の原因となった2件は、いずれもカナダの事例だからです。しかし、われわれは今後も禁止措置の正しい利用を望んでおり、そのためには禁止措置を正しく実施することが大切です。われわれは、規制を正しく機能させるために、十分な人員を配置し、十分な資源、資金、さらに法による規制を用いることができます。従って、私は、動物飼料禁止措置は機能している、と自信を持って言うことができます。これ以上規制がうまく機能している国はほかにありません。これ以上長期間にわたって、また高い実効性を伴って規制が機能している国はほかにありません。これについては、喜んでご質問にお答えします。過去2〜3年間、飼料給与禁止措置に関して多少の誤解があるようですが、ここでご質問に答え、われわれが何をしているのかを詳しくお話ししたいと思います。

ペン次官 次にランバート副次官、お願いします。

ランバート副次官 ありがとうございます。本日は、農務省動植物検疫局(APHIS)が、州政府およびカナダ政府と協力して今回の出来事の調査を行い、この牛がカナダ産であることをつきとめる調査を行う上で、どのような役割を果たしたかを説明します。この履歴追跡調査では、販売記録などの各種書類をたどった後に、この牛が生まれた群れの、記録されている雄親にさかのぼって、DNA検査を実施し確認しました。

 APHISおよびカナダの同様の機関は、他の牛も調べ、この感染がどのように発生したのかを明らかにするため、引き続き活発な調査を行っています。この牛の年齢がおよそ6歳半であるという事実は重要です。この牛は、飼料禁止措置が実施される前にカナダで生まれ、2001年8月、4歳半前後で米国に輸入されました。われわれは、81頭の集団としてこの牛とともにカナダから米国に輸出された他の牛を探すと同時に、カナダに残った他の牛を追跡する調査も、懸命に続けています。また、これより若い牛17頭の追跡調査も行っています。この17頭は、今回のカナダ牛と同じ群れの末経産牛で、この牛より後に米国へ輸出されたものです。この感染牛を含む当該群から出た129頭は、殺処分。これらの動物は皆、BSE検査結果は、予備検査、確認検査ともに陰性でした。従って、この129頭はBSE陰性が確認されています。さらに、ワシントン州の別の牛群からも39頭を処分しました。これらもすべてBSE予備検査の結果は陰性であり、今週末までには確認検査の結果が出る予定です。

 現在、BSE専門家の国際調査団が米国に来ています。この調査団は、われわれの調査の査定を行っており、2月4日までに最終報告書を提言とともに発表する予定です。科学に基づくリスク評価という原則に従い、農務省は、ペン次官の話のように1989年以降、最もリスクの高い集団を対象に検査を実施しており、過去2年間で、OIEのガイドラインで推奨されている検査水準の47倍という水準で、この高リスク集団を検査しています。12月23日にBSEが発見されると、米国内で他のBSE発生例があるかどうかを調べるために監視検査の強化が指示されました。そこで農務省は、その時点で検査件数をさらにそれまでの2倍に増やすことを発表しました。この措置は、BSEの初発例が確認された場合、リスクのある集団または高リスク集団における当該疾患の逡巡状況を明らかにするために監視を強化する、という他の諸国の措置と一致します。

 皆さんの説明の後でご質問にお答えしたいと思います。

ペン次官 では、次はピアソン副次官です。

ピアソン副次官 私は、農務省食品安全検査局(FSIS)を代表しています。FSISの任務は、米国で生産される、または米国へ輸入される、あらゆる肉、鶏肉、および卵製品の安全性を保証することです。この中には、毎年米国で処理される3500万頭の畜牛が含まれます。 FSISでは、7600人の検査官を毎日、すべての食肉・鶏肉加工工場に配置しています。FSIS検査官は、これらの工場で処理される動物をすべて検査します。処理される畜牛はすべてFSIS検査官によって検査されます。われわれの食品安全制度の基盤は、食品安全の問題発生の防止と加工工程管理の検証を通じて公衆衛生を保護することです。その実現を保証するのは、FSIS検査官の義務です。米国の牛肉供給の安全性をさらに確実にするため、米国農務省のベネマン長官は12月30日に、米国の肉牛加工業者が実行しなければならない追加的な措置を発表しました。そのうちのいくつかについて、簡単に説明します。

 最初の措置は、歩行困難な畜牛はすべて、人間の食料供給における使用を直ちに禁止するというものでした。確信を持って申しますが、この発表が行われる以前から、われわれの獣医の検査によって、病気であること、またはその他、人間の食用として加工するには安全でない疾病を持っていることが判明した動物は、加工が許可されていませんでした。2番目の措置は、食肉処理工場でBSEの検査を受けた畜牛の死がいは、検査結果が得られるまで保存することを義務付け、陰性の検査結果が証明された場合にのみ放出を許可する、というものでした。3番目の措置は、いわゆる「特定危険部位」に関するものです。科学調査によると、BSEの原因となるプリオンに感染した畜牛において、特定の細胞組織の感染は年齢依存性であり、月齢30カ月以上の畜牛で、プリオンは脳、脊髄、その他関連する細胞組織に存在する可能性があります。月齢30カ月未満の畜牛では、小腸の一部である回腸遠位部に見られます。われわれは、これらの特定危険部位を人間の食用に使うことを禁止する規則を実施しました。4番目の措置は、いわゆる「先進的食肉回収システム」に関連します。私の理解するところでは、現在このシステムを使った製品は日本へ輸出されていません。米国で生産されているが、日本へは輸出されていません。従って、同システムについて詳しい説明はしません。私は、これらの規則が極めて厳密に施行されていることを、確信を持って申し上げます。われわれにはそのための権限があります。規則に従わない企業の製品は、回収その他の措置の対象となり、さらにわれわれが検査を撤回することさえできます。そうなれば、その企業は営業ができません。われわれは、引き続き米国の食肉供給の安全性を確信していること、そして公衆衛生の確保に極めて真剣に取り組んでいることを、保証いたします。

ペン次官 これで、われわれのメッセージ、そして調査の内容をお聞きいただけたと思います。われわれが取った特別な措置についてお聞きいただきました。また、米国の飼料産業がどのように規制されているかについてもお話ししました。そこで、次は皆さんのご質問を受け、できる限りお答えします。私が、ご質問を適切な担当者に振り分ける交通整理の役目を果たさせていただきます。

報道官 私から記者の皆さんに念のために申しますが、ご質問の際には、名前、所属組織を述べてください。また通訳者に聞こえるようにマイクを通してお話しください。

質問 朝日新聞の山本です。日本語で話させていただきます。明日何が起きるかを簡単に教えてください。もう1つの質問は、今月米国とカナダを訪れた調査団についてです。これについてご意見はありますか。この調査団は、今後感染牛が発見される危険性に触れています。

ペン次官 まず、われわれは明日、日本政府の関係者と徹底的かつ広範な協議を行う機会に期待しています。このブリーフィングの初めに述べられたように、われわれは協議の結果を予断することは避けたく、またメディアを通じて交渉を行う意志もありません。明日、1日の終わりに、協議が終わった後に行われる予定の記者会見で、協議の内容について、はるかに詳しい説明をいたします。

 2つ目のご質問は、米国とカナダを訪れた日本の調査団に関するものですね。これについてわれわれは、ニュース報道を一部見ているだけです。調査団自体の報告書は見ていません。 ニュース報道を一部見ただけなので、調査結果を十分知らずに意見を述べるのは困難です。当然、われわれは、問題の動物をめぐる調査に関して、この調査団に情報を提供する努力をしています。ピアソン副次官たちが説明した新たな措置について、またそれらの措置がさまざまな加工工場でどのように実施されているかについて、この調査団に情報を提供する努力をしました。要するに、われわれは、米国のシステムが極めて健全であり、極めて安全な製品を生産していることを、この調査団が観察することを期待していた、ということです。

質問 ペン次官にお聞きします。日本政府は、米国産の牛肉輸入再開について、消費者の信頼が回復することが大事だと述べています。その考え方を共有されますか。また、明日の政府間協議に先立ち、われわれにこういう機会を与えていただいのは、米国政府当局として、日本の消費者に直接、米国産牛肉の安全性を伝えたかったからでしょうか。

ペン次官 ええ、確かにそれは目的の1つです。皆さんには、米国産牛肉の安全性について日本の消費者にお伝えいただきたいと思います。このブリーフィングでは、皆さんが良心に恥じることなく、米国産牛肉が安全であることを日本の消費者に伝えられるよう、十分な証拠を皆さんに提供することも目的の1つです。われわれは、問題のカナダ産の動物1頭が発見された後の経過と特別な措置について、またこうした諸措置が、すでに健全と考えられる規制制度をさらに強化している状況について、説明することを目指しています。

 クロフォード副局長、いかがでしょうか。

クロフォード副局長 私は、消費者の信頼は微妙なバランスの問題であると思います。米国の消費者は、食品の安全性について大きな懸念と関心を抱いています。米国民以上に、関心、関与、懸念の度合いの高い国民はいないと思われます。しかし、ペン次官のお話の通り、米国の消費者は、われわれが公衆衛生保護とBSEへの対応のために取っているこれらの措置を信頼しています。米国で消費者の信頼が依然として高い理由の1つは、米国におけるBSEについて、極めて迅速に情報が提供されたことであると思います。この事例の確認と同時に、各長官が情報を発表しました。もう1つは、これが開放された透明なプロセスであり、連日説明会が行われている、という点だと思います。例えば、われわれは引き続き飼料給与禁止措置に関するコメントを受け付けています。引き続き質問や手紙にも返答しています。そして、ここで日本の消費者の不安に対応できることを嬉しく思っています。しかし私は、日本の消費者の不安が米国の消費者の不安より大きいとは考えていません。重要なのは、開放性と関与です。消費者に対して、食品が安全であると一方的に伝え、それに同意させることは誰にもできません。われわれにできるのは、われわれが何をしているのかについてオープンな対話をすることであり、われわれが今ここにいるのも、そのためです。

質問 日本農業新聞の山田です。クロフォード副局長に質問があります。飼料給与禁止措置について、米国の制度は世界で最も安全であると話されました。しかし、日本の技術検討調査団の報告によると、必ずしもそういう内容ではないと私は理解しています。例えば、飼料給与禁止措置の規制は、大手中心で中小のところにはあまりいっていない。あるいは、最近米国のメディアの報道で、ニワトリに与えた餌の食べ残しが地域によっては牛に与えられている事実がある、という話も聞いております。このあたり、日本政府が受け止めている飼料禁止措置の実態と、クロフォード副局長がおっしゃった米国の飼料禁止措置は世界一という発言のギャップが大きいと思いますが。

クロフォード副局長 質問に含まれるいくつかの問題ついて、質問の内容に沿って答えます。まず、日本の調査団の報告についてですが、われわれはその報告を見ていません。 われわれが見たのは、報告の概要か、報道で小さく取り上げられた内容だけです。従って、明日、日本側の代表者とその報告について話し合うことに期待しています。米国の制度を改善するためにできることをこの調査団が発見したのであれば、ぜひそれをお聞きしたいと思います。われわれは日本政府の担当者に深い敬意を払っており、彼らの結論には大きな関心を抱いています。

 しかし、中小企業の問題については、具体的に説明します。米国では、飼料の98%以上が大企業によって製造されています。ここで取り上げられている中小企業とは、1頭か2頭の動物に飼料を提供するような小企業のことです。米国のプロセスの現実についていくつかの点を指摘しますと、まず、こうした小規模な飼料会社は、通常、自社で飼料を製造することはありません。重要な要因となるだけの規模を持つ企業なら、FDAの規制の対象となります。どんなに大規模な企業でも、FDAによる訪問・検査を受けなければなりません。

 もう1つは、実際に非常に小規模な企業の場合は、飼料の原料を米国外から輸入している可能性はほとんどなく、それは事実上不可能だという点です。こうした企業が米国内で飼料の原料を調達しているとすれば、飼料にBSEプリオンが含まれている可能性は、全くありません。従って、リスクがあるとは考えていません。

 最後に、これらの飼料工場に関して、訪問・検査の対象とその頻度を決める方法は、リスク評価に基づいて決めています。われわれは、リスクを計算します。米国の飼料供給の1%を生産している企業、あるいは10%でも0.5%でも生産している企業でも、問題発生の可能性が高いなら、頻繁な訪問の対象となります。企業が何らかの形で、例えば交差汚染などで、違反を犯した場合は、その問題を是正するまで、ほぼ毎週、訪問を受けることになります。是正できなければ、その企業は米国で飼料を販売する権利を失います。われわれはそうした処置をためらいません。従って、中小企業は規制されていない、というのは事実ではありません。米国でFDAの規制を逃れる企業はありません。

 もう1つ誤解されていると思われるのは、米国の飼料供給における小企業の役割です。それは極めて小さいものです。しかし、先に申し上げたように、私は報告書を見ていません。われわれは、報告書を一字一句読んだ上で、その結論について報告書の作成者と話し合うことに期待しています。

質問 先ほど質問した、ニワトリの餌の食べ残しを牛に与えているという問題についてはいかがでしょうか。これは、米国のメディアでもかなり取り上げられている事態だと思います。

クロフォード副局長 ご存じのように、ニワトリは、他の一部の動物と同様、BSEに感染せず、従って米国では畜牛からのタンパク質をニワトリに与える可能性はあります。2つの点で問題が提起されています。1つは、ニワトリが飼料を全部食べず、一部がこぼれ、これが再び畜牛に与えられるかもしれないという問題。もう1つは、ニワトリのフンまたは消化管廃棄物にプリオンが存在し、疾病の原因となり得る、という問題です。この2番目の点は、科学的に証明することはできません。最初の点、すなわち食べ残しの問題と、畜牛に餌として再び与えているのではないかという問題については、われわれは極めて重要視しており、現在調査を行っています。われわれは、米国ではこれが問題の原因であることは全くないと考えています。畜牛の飼料にこの種の原料が使用されることは非常に少ないからです。しかしながら、われわれは監視を続けています。これは提起すべき問題であり、われわれは、これがリスクの発生源とならないようにします。この問題に関するわれわれのリスク分析によると、懸念すべきレベルには達していません。米国の飼料供給はすでに安全であるため、この問題に関連して安全度をあまり高めることはできません。 われわれは、米国内で検査される動物の頭数、および飼料給与禁止措置の順守、という2つの側面から、監視を続けていきます。

質問 NHKの三田村です。質問が2つあります。お答えはどなたでも結構です。明日の協議の詳細に触れていただく必要はありませんが、米国は12月30日に新たな対策を打ち出されて、それに加えて、さらに新しい対策を明日提案する可能性はありますか。もう1つの質問は、今回の問題の牛についてですが、この牛はカナダで生まれ、カナダから米国に輸入されたということで、そういう意味で米国内の牛はBSEに感染していない、と考えていらっしゃるのでしょうか。この点を確認させていただきます。

ペン次官 最初の質問に答えます。2番目の質問には、ランバート副次官にお願いします。私が先に述べたように、米国は12月30日に6種類の新たな規制措置を発表しました。われわれの考えでは、これらの規制は、すでに強力な規制制度をさらに大幅に強化するものであり、また日本の制度で行われていることに相当する措置も多いと思います。従って、明日の予定の1つは、これらの措置とその科学的根拠について、またこれらの措置が日本の政府関係者が協議してきたこととどのように一致しているかについて、日本側の関係者に、より詳細な情報を提供することです。

ランバート副次官 BSEが確認された雌牛については、この牛は、カナダの飼料禁止措置が発効する前に、カナダのアルバータ州の酪農用畜牛の群れで生まれています。そして、米国とカナダ両国の政府関係者によって、販売記録とDNA検査に基づいて、カナダの当該牛群で使われた雄親までさかのぼって確認されています。この群れは分散されました。所有者が引退する年齢だったため、この群れを分散し、そのうち82頭あるいは81頭が、最初に米国に輸出されました。従って、われわれは、問題の牛がカナダ産であると断定しました。それでも、われわれは、米国内での他の事例発生の可能性をさらに確認するために、米国における高リスク集団の監視テストを強化しており、今後も科学的なリスク評価に基づく監視を実施していきます。

質問 テレビ東京の石原です。消費者の信頼は、微妙なバランスの問題との認識でしたが、日本の消費者に、先ほどのお話のように米国の牛肉は科学的根拠に基づいて安全であるとの説明で、日本国内の消費者の信頼を勝ち取れると思われているのか、それとも、科学的な根拠以上のものを何か打ち出すことで信頼を勝ち取れるとお考えなのでしょうか。

クロフォード副局長 先ほど申し上げたように、消費者の信頼は微妙な問題です。消費者に対し、「信頼しなければいけない」と言うことは誰にもできません。信頼するかどうかは、消費者自身が決めなければなりません。しかし、われわれには、政府の人間として、また米国政府の代表として、消費者と話し合うための材料がなければならないと考えます。われわれは、心理学者ではありません。消費者に話をするためのテーマが必要です。そして、そのテーマとして最善なのが、リスクの内容、そしてそのリスクの大きさに関する情報です。われわれは、リスクのない世界に生きているわけではありません。国民には自らが消費する食品について知る権利があることを、われわれは認識しています。国民には、どのようなことでも質問をする権利があります。そして、何よりも、答えを得る権利があります。われわれが与える答えは、公衆衛生に対する脅威に関する評価やリスク評価に基づいていなければなりません。そして、消費者がその答えに反論したり、答えを拒否したり、あるいは、さらに質問をして、「恐らくあなた方は間違っている。米国政府だからといって正しいとは限らない」と言うことができるように、透明かつ理解可能な形で答えを提供しなければなりません。国民は、さらに質問を重ね、実際に行われる以上の調査を提案することもできます。ご存知とは思いますが、FDAでは、コメント受付期間と呼ばれる制度があり、われわれの活動すべてに対して国民がコメントをすることができます。1つの提案に対して2万件のコメントが寄せられることもあり、われわれはその1つ1つに対処しなければなりません。これらのコメントのうち1万9000件が同じコメントであっても、コメントをした個人1人1人に対し、コメントの内容を整理した上で回答することが、法律で義務付けられています。回答がコメントをした人の希望に添わない可能性もありますが、ただ「心配はいらない」というより、「われわれの実施しているリスク評価に基づき、信頼していただくべきだと思う」あるいは「信頼すべきではない」と伝える方が好ましいと思います。今日、リスク評価という言葉は科学用語となっています。科学という言葉に最も近い同義語は、知識であり、何かが「科学的根拠に基づいている」と言っても効果がありません。しかし、「リスク評価に基づいている」と言えば、意味は同じですが、誰もが理解し、議論し、話題にして、反論ができます。これは消費者擁護の主張を有益な対話の方向へと導くものです。これに対して過去においては、すなわち1960年代、70年代、そして80年代には、皆が議論し合う状況がよく見られ、しかもその議論は必ずしも建設的ではないようでした。リスク評価は、こうした議論を建設的なものにする機会を提供します。

ピアソン副次官 今のお話に追加すると、例えば1月9日にベネマン長官が発表し、1月12日に施行された規則についてですが、これらの規則はすべて、パブリック・コメントの対象となっています。各規則について、90日間のコメント受付期間が設けられています。現在すでに施行されている規則であっても、科学団体、消費者グループ、個人がそれらの規則に対するコメントを寄せることが可能であり、その規則の実効性や目的達成の可能性についての意見を寄せることができます。

 これは国際的なものでもあり、規則に対する国外からのコメントも受け付けています。

質問 西日本新聞の神屋です。ペン次官に質問があります。日本で行なわれている全頭検査というBSE対策についてどうご覧になっているのか。ご意見があればお聞かせください。

ペン次官 先ほど同僚が述べたことの繰り返しになりますが、同じ結果を達成するための同等な手段がいくつか存在するとわれわれは考えます。全頭検査の目的が、消費者に信頼を与えることであれば、われわれもその目的を達成するための同等のシステムを持っていると思います。単にアプローチの仕方が異なるだけです。全頭検査を実施していないのは、われわれの資源が例にもれず常に限られており、その資源を最も効率的に利用し、資金を最も有効に使うべきだと考えるからです。この病気、動物に発生するこの特定の病気は、月齢30カ月未満の動物には見られない、というのは多くの科学者の同意するところです。従って、この月齢未満の動物の検査は、結果が常に陰性となるため、あまり有用ではありません。そこで、危険性の高い集団、すなわち感染の可能性の高い動物の検査をする方が効果的だとわれわれは考えています。それは、月齢の高い動物、または中枢神経にある種の異常の見られる動物です。従って、われわれは、検査対象を最も危険性の高い集団に絞っています。そして、万一本当に米国の牛群にBSEが発生したとしたら、この方法により病気を発見する可能性は非常に高いと考えます。しかし私は検査の専門家ではありませんので、同僚に、付け加えることがあれば説明をお願いしたいと思います。

ランバート副次官 米国の生産体制、つまり牛肉が生産されるシステムの特徴を理解することが重要だと思います。米国内でと畜される動物全体の大部分、すなわち約87%は、と畜時の月齢が14カ月から20カ月、平均18カ月で、この月齢の牛がBSE陽性の徴候を示さないことは、ほぼどのような定義に従っても明らかです。ペン次官の話のように、それほど多くのゼロや陰性の結果を得る可能性が非常に高いと分かっていながら、その87%を検査するために資源を使うことが効率的とは思われません。そこで、繰り返しますと、感染の広がる危険性の高い集団に集中して資源を投入することにしたのです。この1頭のBSE感染牛が発見された後、その高リスク集団における感染の可能性をさらに評価するため、この集団に対する検査を強化しました。

質問 ジャパン・タイムズの根岸です。2、3の基本的な点について確認させていただきます。日本のような全頭検査システムを実施した場合の追加コストはどの程度と推定されますか。また、リスクのない世界に生きているわけではないとおっしゃいましたが、全頭検査、すなわち日本型のシステムに、考えられる欠点はありますか。

ペン次官 この検査の問題は、われわれの協議の中でも極めて重要な部分であり、日本市場再開に関する協議の重要な部分となることは明らかです。従って、ここでもできれば少し時間を取って、この問題について十分説明したいと思います。まず、ランバート副次官にコメントをいただき、続いて他の同僚にも追加のコメントをいただきたいと思います。検査の問題に対するわれわれの考え方を、皆さんに十分ご理解いただきたいからです。

ランバート副次官 私は、検査に対するアプローチには、2つの異なる考え方があると思います。われわれのアプローチは、科学的根拠に基づく監視であり、感染の有無を判断し、わが国の牛群に感染があるか、またあるとすればどの程度かを評価するものです。そしてもう1つのアプローチは、食品安全の立場からのものです。このアプローチでは、動物を検査し、その動物が実際に感染していないことを何らかの形で保証します。しかしその場合でも、検査は、その製品の安全性を100%保証する指標とはなりません。従って、これはアプローチの問題です。先ほどから話に出ているように、われわれは、製品の安全性を保証するためには、同等の手段が複数存在すると考えています。すでに実施されていた措置に加えて導入された追加措置は、安全性に関して同等の結果を得るためのものです。そして、これらについては、明日引き続き協議する予定です。

ペン次官 コストについて、簡単にお話しいただけますか。

ランバート副次官 業界の試算によると、検査コストだけでなく、輸送費ならびに臨床検査の費用も含めた予想コストは、1頭当たりおよそ50ドルです。先ほど申し上げた通り、われわれは3000万頭近い若齢牛を処理するため、これらの検査を実施した場合、ほとんどすべてに陰性の結果が出る可能性が極めて高い状況で、年間15億ドルのコストを業界が負担するという予想になります。繰り返しますが、これは、信頼性の向上、あるいは、すでに極めて安全な製品の安全性をさらに高めることなど、他の方向に向ければはるかに良い結果をもたらす資源の消費である、とわれわれは考えています。

ピアソン副次官 ランバート副次官の話のように、検査は監視の目的で行われています。動物の健康状態を判断するために使われています。先ほど説明した通り、公衆衛生の保護は予防システムによって実現します。そして、そうした予防システムには、例えば、危険性が高いと考えられる部位の人間の食料への使用禁止が含まれます。こうした措置が、確実に食品供給から危険な部位を除去するために効果的であるとわれわれは信じています。また、そのためにわれわれは有効な対処や措置を実行してきたと信じています。このほかにも、安全を守るために現在実施されているファイアーウォールが多数あります。これらについてはクロフォード副局長に説明をお願いできますか。

クロフォード副局長 ええ。真に問われるべきことは、全頭検査によって保護レベルが高められるのか、という点です。どの国でも、疾病予防や公衆衛生プログラムのために使える資源、つまり資金と人材の量は限られています。われわれは、わが国のシステムにおいては、検査を行い、その結果を待つより、総合的な予防プログラムを実施する方がはるかに優れているとの結論に達しました。従って、効果的かつ強力な飼料給与禁止措置を実行し、私の同僚が述べたような、またベネマン農務長官が発表したようなその他の措置を実施し、そしてそれらの措置が100%効果的であるよう、または可能な限りそれに近づけるようにするならば、われわれのシステムにおいては、全頭検査の必要はありません。この問題については、われわれは日本政府関係者と話し合う意志が十分にあります。ここでも、われわれは、お互いに学ぶことができます。私はこれまで、食品安全に関する問題を多数扱ってきましたが、今回と非常に似た事例が2、3あり、その場合も、われわれは協力し、科学的知識を交換し、多くのことを学びました。しかし、今回のような問題に対する保護の新しい形は、何が危険であるかを認識し、その発生を予防するという、システムに基づくアプローチです。動物がと畜に入ろうとする時点まで待って検査を行うとすれば、正しい予防ができない可能性があります。発見しても遅すぎる、ということです。

もう1つの問題は、全頭検査については、もっとよく理解しなければならないということです。例えば、月齢30カ月未満の動物の場合、われわれが国際市場に輸出する動物の大半は、ランバート副次官のお話のように、月齢18カ月の動物です。私には全頭検査の有用性がよく分かりません。なぜかというと、ご存じのように検査は脳組織を採取して行われます。そしてBSE感染の過程において、その月齢で何かが起きているとしても、この月齢では、脳組織でBSEは検出されないため、もし検出されるとすれば、おそらく扁桃か、小腸ということになります。 神経系で検出される可能性は低いのです。従って、繰り返しますが、このやり方では見逃す可能性があり、この段階まで待って全頭検査で感染を突き止めようとするより、感染を予防する方がはるかに有効であると、私は思います。

質問 朝日新聞の山本です。2つ質問があります。ペン次官にお答えいただきたいと思います。1つは、カナダとの関係です。今回の問題の牛はカナダ産であるというとらえ方ともう1つは、カナダとの市場の統合・一体性を両国が強調されていると理解しています。その兼ね合いについて、つまり、先ほど申し上げた日本の農水省の専門家調査団による報告書でも触れられているのですが、今回の牛に与えられていた肉骨粉が米国にも輸出されていた可能性がある、ということを1つの根拠にしています。米国とカナダの市場の統一性と米国とカナダは安全性の上で区別する、という点をどういうふう理解すべきか。次に、WTOも含めて通商問題全般に、今回の問題が何か影響を与える可能性はないでしょうか。つまり、今回の問題がなるべく早く解決することを望みますが、長引いた場合、何らかの日米間の通商問題になる可能性はないでしょうか。その場合、どういう解決方法があるでしょうか。

ペン次官 まず、北米の畜産牛肉市場は統合されているというご意見には私も同意します。確かに、国境を越えた投資、国どうしの産品の流通および畜牛の流通があります。しかし、検査によって2頭の動物のBSE感染が明らかにされた後の、わが国の取った処置とカナダ政府の取った処置はほぼ同じです。従って、システム強化のために講じられた改善措置、是正措置はほとんど同一です。これには先に実施された飼料禁止措置も含まれます。カナダでは、米国とほぼ同じ時期に、反すう動物飼料の禁止を実施しました。また、カナダで製造された問題の飼料の一部が米国に輸出された可能性があるという報告については、そういうことはないと考えています。いずれにしても、飼料禁止措置の実施以降は、規制が行われていたはずで、従って飼料に混入があったはずはありません。次に、通商関係およびWTOで現在行われている協議という、より広範な問題についてですが、答えは「ノー」です。われわれは、このBSEの問題が、他の分野における現在の協力関係の障壁となることは望んでいません。貿易分野だけではなく、他のあらゆる分野に関しても同様です。そして、クロフォード副局長の先ほどの話のように、日米間にはこれまで常に強固な関係があり、両国の善意の人々が協力して共通の問題に取り組めば、通常は解決策を見出すことができると思います。従って、WTO協議のドーハ・ラウンドでは、多くの重要な作業があります。われわれは、これらの協議を今年中に成功裡に進め、早急に完了するために、日本からの協力を得ることを期待しています。従ってこの問題が日米関係における大きな刺激材料となることは望んでいませんし、そうなる理由もないと思います。繰り返しますが、われわれは協議の場で、両国ともに満足できる実質的な解決策を見出すことができると考えます。

質問 私の先ほどの質問についてですが、日本が要求しているような全頭検査を実施することは実行不可能だということですか。

ペン次官 これは、単に資源をどこに投入するかという問題です。つまり、リスク評価を行った場合に、飼料給与禁止措置のような予防措置に資源を向ける方がいいのか、あるいは検査に資源を使うのか、という問題です。たいていの場合、リスク評価を行えば、どの国でも予防措置を講じる方が好ましいことが明らかになると思います。両方の措置を実施するには多大な費用がかかります。そこで再び、これが資源の最良の使い方か、そして最終結果はどうなるのか、という点を問わなければなりません。全頭検査によって、より大きな保護が得られるのかどうか、ということです。消費者団体などが全頭検査を要求しているならば、そして彼らが求める保護を提供する、より有効な方法があるならば、方針を決定する立場にあるわれわれ、米国政府や他の政府には、リスク評価に従って、それを説明する義務がある、と思います。

クロフォード副局長  私はもう1度、同等という考えについて付け加えたいと思います。同じ結果を得るために、また同じ解決法を達成するために、時として多くの異なる方法が存在する場合があります。そして、われわれは皆、安全な食品を消費者に供給することを目的としています。われわれは、その目的を実現するとそれぞれが考える、異なる規則や規制を実施しています。日本のシステムは若干異なるし、他の国々もそれぞれ若干異なるシステムを持っています。しかし、これらのシステムは、ここでも科学を利用して、異なる方法を用いながらも同じ結果、すなわち消費者に対する非常に安全な牛肉の供給を実現できるという意味で、同等だと言えます。

ペン次官 そろそろ時間です。

質問  時事通信社の福田です。全頭検査について、ペン次官に質問があります。米国内で全頭検査を実施することができないということであれば、日本向けに輸出される牛に限って、全頭検査、あるいはそれに近い追加措置を講じることはありえるのでしょうか。

ペン次官  繰り返しますが、問題は単に可能かどうかということではないと考えています。そうした措置を講ずることは可能だと思いますが、問題はそれが実際的であるか否か、また限られた資源の最良の利用法かどうかということです。もちろん、わが国の業界が懸念する問題の1つに、2重構造のシステムを作ることがあります。すなわち、特定の市場に対する一連の基準や義務と、国内市場に対する基準・義務が異なるシステムです。そうした2つの市場に製品を供給するには、非常に多くのコストがかかります。別々のシステムを作らなければならないため、業界もこうした2重構造システムには賛成しません。しかし、製品を特定市場向けに異なる形で供給するための手順がないわけではありません。実際に、消費者や顧客市場によって製品仕様が異なる事例はたくさんあります。異なる製品を要求したり、他の市場向けのものとは少し違う方法で作られた製品を希望したりすることがあります。従って、科学とマーケティングの境界があいまいになってきます。この2つの区別がつかなくなってきます。そこで、再度申し上げますが、最善の方法は何か、そしてそのために2重構造システムを設けずにすむ同等のやり方があるか、ということを吟味するという問題なのです。

大使館職員 大使館の報道室の者です。通訳の中に間違いがありました。と畜される牛の87%の月齢が、平均28カ月と訳されましたが、実際には18カ月となります。

ペン次官 それでは、もう1度申し上げますと、と畜される畜牛は年間で約3500万頭ですが、そのうち87%は月齢30カ月以下の牛です。

質問 産経新聞の村山です。日米両国政府の科学的見解の相違ではなくて、日本の市場・消費者には、全頭検査しないと米国産牛肉は受け入れられない、そういう状況にあると思います。たとえ日米の政府間である程度の妥協ができて、米国産の牛肉が日本に入っても、市場に受け入れられない可能性があると思うのですが。その点、特別な対応が必要と思われませんか。

ペン次官 再度申し上げますが、メディアを通じて交渉を行うことは避けたいと思います。しかし、最初に申し上げたように、われわれは広範な話し合いをするためにここへ来ました。日本市場はわれわれにとって重要な市場です。従って、協議を行うに当たっては、極めて同等な立場で、協力的雰囲気の中で行いたいと願っています。われわれは問題の解決者となることを望んでいます。直面する問題の解決策を見つける努力をしたいと願っています。そして、先に述べた通り、誠意ある善意の人々が集まり、問題解決を望めば、解決策を見出すことができると思います。それでは、最後の質問をお願いします。

質問 先ほどの質問に関連して再びお聞きします。カナダと同一の対策を取られたり、協力をしていく可能性はあるのでしょうか。例えば、同等の措置をカナダと行うなど。

ペン次官 先ほどお答えしたと思いますが、確かに北米市場は統合された市場であり、カナダでBSE感染例が1件あり、今度はワシントン州で検査によって1頭の感染牛が、もともとはカナダ産であったにしろ見つかったことから、われわれは懸命に両国の規制の調和に努めています。つまり、これまでに取ってきた是正措置において、対処方法の調和を目指してきたという意味です。そして、その大部分、98%というような数字までは挙げられませんが、その大部分で、米国の規制はカナダとほぼ同一であり、検査制度も同等の結果を得るようなものになる予定です。従って、ご質問に対する答えは「イエス」です。われわれはカナダと協力しています。システムが同一または非常に似通ったものであるために、どちらの国で生産された食肉製品も同様に保証される、という状態になるよう努力しています。

報道官 ありがとうございました。

ペン次官 本日はお集まりいただきまして、ありがとうございました。