
Aggregate Measure of Support 農業保護相当額(AMS)
特定分野への政府助成の金額的価値を測る指標。農業に関して、AMSは、予算的支出および市場価格を上げる政策の結果として消費者から生産者に移転される収入の双方を含む。貿易を歪める助成を削減するため、AMSの上限がウルグアイ・ラウンド交渉で多くの国について設定された。日本は、許容されたAMSの20%未満しか使っていないため、ドーハ交渉において提案されているAMSの削減は、日本の現行プログラムに影響を及ぼさない。
Blue box policies ブルーボックス(青の政策)
余剰生産を回避するため農産物の生産量を制限する政策。農業に関するウルグアイ・ラウンドの合意では、ブルーボックス支払いは、AMSの対象とならない。
Bound tariff rates 譲許関税率
WTO加盟国が他の加盟国からの輸入に課税できる上限関税率。WTOへ新しい国が加盟する際には、個々の関税カテゴリーについて上限関税率を交渉する。その後、WTO加盟国はWTO交渉の際、譲許関税率のさらなる削減を交渉する。譲許率を超えて課税する場合、この上昇により影響を受ける貿易相手国は、補償を受けるか、または相手国の輸出に対し被害相殺額の報復措置をとる権利を有する。
Cairns Group ケアンズグループ
農産物を輸出し、貿易障壁と農産物貿易に影響を与える補助金を撤廃しようとする国々のグループ。メンバーは、先進国と途上国の双方を含む。アルゼンチン、オーストラリア、ボリビア、ブラジル、カナダ、チリ、コロンビア、コスタリカ、フィージー、グアテマラ、インドネシア、マレーシア、ニュージーランド、パラグアイ、フィリピン、南アフリカ、タイ、ウルグアイ。
Cancun Trade Ministerial カンクン閣僚会議
カンクン閣僚会議は、ドーハ交渉の中間点である。WTO加盟諸国の貿易大臣が、ドーハ交渉の進捗状況を評価し、包括合意目標期限の2005年1月1日に向けてどのように進むかについてそれぞれの交渉担当者に指示を出すために、一堂に会す。
Country Schedules 国別譲許表
補助金レベルと関税率に関し、個々のGATT加盟国によってなされるコミットメントの公式リスト。
Decoupling デカップリング
現在の生産に関わる決定とリンクしない、農家への支払い方法。支払いのデカップリング(切り離し)がなされた場合、農家は生産量の多少にかかわらず支払いを受け取れる。デカップルされた支払いは、貿易を歪める生産を助長しないことから、価格支持よりも好ましい。日本は現在、デカップルされた支払いをあまり利用していない。
De minimis rule デミニミス条項
デミニミス条項により、各国はAMSの上限を算出する際に小規模のプログラムを除外できる。ウルグアイ・ラウンド農業合意では、助成額が特定産品総生産額の5%以下の場合に除外することができる。また非特定産品の助成規模が、農業総生産額の5%以下の場合には、AMSの上限から除外されうる。現在の5%のデミニミス・レベルを削減するための様々な提案も提出されている。5%レベルが下がれば、AMSの上限から除外されるプログラムは少なくなる。日本にとって、このデミニミス条項で影響を受ける助成は多くない。
Doha Development Agenda ドーハ開発アジェンダ
WTO加盟国は2001年11月に開催されたドーハ貿易相会議で、貿易の促進と経済成長の助長に向け貿易障壁を削減するため野心的な交渉を行うことに合意した。特に途上国が競争力を持つ分野での関税削減や農業分野等、途上国にとって関心の高い事項に焦点を当てることで合意した。
Export subsidies 輸出補助金
現金の支払い等、輸出を促進するため政府が提供する特別なインセンティブ。輸出補助金は、国内価格が国際市場価格を超えて人為的に引き上げられた時に頻繁に用いられる。開発途上国は、先進国からの補助金を受けた輸出品との競争に厳しい状況にあるため、特に農産物への輸出補助金に懸念を抱いている。米国は、農産物の輸出補助金の撤廃を提案している。日本は輸出補助金を使っていないため、この提案による影響はない。
Formula-based tariff reductions フォーミュラに基づいた関税削減
協定を締結した全加盟国によって合意されたフォーミュラによる関税率削減の方法。ウルグアイ・ラウンドにおいて合意された関税率削減方法は、フォーミュラに基づいている。
Geographic Indications(GI) 地理的表示
GIとは、地名のようにある製品が国や地域といったある地理的領域に由来することを表示することで、その製品の品質、名声、特徴がその地の独自のものであることと関連付けるものである。シャンパン、パルメザン・チーズ等が例に挙げられる。ドーハ交渉では、ワイン・スピリッツに関する多国間のGI登録の創造と、GIによる保護水準をワイン・スピリッツを超え他の製品へ広げるというEU提案の、2つの案件が協議されている。後者の件は、カマンベール・チーズ、Mt. Ranier コーヒー、ジャワ・カレー、ガーナ・チョコレート、ブルガリア・ヨーグルトといった製品を製造する日本のメーカーにとってマイナスの影響を与える可能性がある。
Green box policies グリーンボックス(緑の政策)
貿易に最小限の影響しか与えない国産農作物に対する支持政策。そのためウルグアイ・ラウンド農業合意では、削減の対象外である。例えば、調査・開発プログラム、食糧安全保障を維持するためのコスト、災害への支払い、構造調整プログラム等がある。日本の補助金の約75%がグリーンボックス政策。
Market access 市場アクセス
一国が受け入れる輸入程度。各種関税・非関税障壁が、外国製品参入を制限するのに用いられる。
Most-favored-nation (MFN) status 最恵国待遇
他のどの国にも与える貿易待遇と同じ待遇を互いに与える取り決め。最恵国待遇合意のもとでは、例えば、どの第三国にも適用する最低関税率を貿易相手国に提供する。ただし、当該両国が共にWTO加盟国でない場合、または当該両国間の合意にMFNが明記されていない場合には、MFNを適用する義務はない。
Non-Agricultural Market Access negotiations 非農産物市場アクセス交渉
米国は、ドーハ閣僚会議の参加国が、すべての工業製品の関税を低水準まで引き下げるか、もしくは完全に撤廃するよう野心的な提案をしている。自動車、電子製品、ITといった日本の多くの産業界は、包括的な関税削減により恩恵を受ける。日本政府は、たとえ他国が日本の輸出企業が関心を抱く品目の関税率を削減しないことを意味しても、特定の製品に対して高い関税を維持することに焦点を置く立場を取っている。
Nontariff trade barriers (NTB) 非関税障壁
輸出入を制限するために政府が用いる規制で、輸出入の禁止、輸入数量割当、技術的障害(TBT)を含む。農産物の分野でよくみられる非関税障壁には、必要以上に厳格な食品衛生や動・植物検疫規制がある。
Over-quota tariff 枠外税率
輸入割当数量を超えて輸入された製品に適用される関税率。税率は、割当数量内の関税率よりも高くなる。
Production control 生産制限
生産を制限する目的を持つあらゆる政府プログラムまたは政策。作付け割り当て、減反、休耕、転作が含まれる。
Sanitary and phytosanitary (SPS) measures 衛生および動植物検疫措置
人間の健康の保護、動植物の害虫および疾病の管理を目的とした科学的見地に基づく技術的措置。WTOは最近、りんごの火傷病に関する日本の輸入要件は、WTOの植物検疫規定に合致していないとの裁定を下した。
Safeguard provisions セーフガード措置
WTOのプロセスは、輸入割当に替えて関税を課す方法で、輸入制度の「関税化」を奨励している。ウルグアイ・ラウンド農業合意には、関税化の対象となった品目を、輸入量の急増や価格の大幅下落から保護することを認める特別条項がある。日本への主要牛肉輸出国は、日本が今年牛肉についてセーフガードを発動したのは適切ではなかったと異議を唱えたが、それは日本の生産者価格は昨年来上昇し、牛肉輸入数量が今年上昇したのはBSEによる消費の落ち込みからの回復であり、実際には輸入の急増ではないからである。
Special and differential treatment 特別かつ異なる待遇
途上国が貿易障壁やその他の貿易を歪める政策を、先進国よりも低水準で削減することを認める原則。ウルグアイ・ラウンドでは、開発途上国や後発開発途上国に適用された規律は、先進国へのそれよりも軽減されている。
Special Treatment Clause 特別待遇条項
ウルグアイ・ラウンド農業合意の条項。消費量の3〜5%という通常の水準を超えてミニマム・アクセス数量を引き上げる代わりに、その農産物の関税化を見送るオプションを与えた。日本と韓国はコメ産業を守るため、この規定を使った。
Swiss formula スイス・フォーミュラ
東京ラウンドで採用された関税率削減方式。関税率のハーモナイゼーションを達成するために、高関税率品目ほど低関税率のものより速いペースで税率が削減された。日本はこの方式に強く抵抗している。
Tariff-rate quota (TRQ) 関税割当数量
低い関税率で輸入できる輸入数量枠。数量枠を超えて輸入された製品は、より高い関税率が適用される。例えば、日本は大麦に関税割当を適用しており、国内の牛生産者や食品メーカー向けに、毎年約150万トンの大麦が無税で割り当てられている。関税割当を超えた輸入大麦は、1キロ当たり39円の関税が課されている。2002年の平均輸入価格に基づけば220%の関税率に相当する。貿易交渉では、関税率の削減とともに、関税割当数量の撤廃または拡大の交渉が行なわれる。
Technical Barriers to Trade (TBT) 貿易の技術的障壁
貿易への障壁となりうる規制、基準(包装、標示、表示義務等)、検査、認証手続き、その他の非関税障壁を指す。技術的障壁に関するウルグアイ・ラウンド合意(貿易の技術的障壁に関する協定、TBT協定)のもとで、WTO加盟国は、工業製品および農産物の双方に適用するこうした措置の利用についての規律に合意した。
Trade liberalization 貿易自由化
貿易に悪影響を与える政府の政策や補助金を全廃または部分的に撤廃すること。貿易を歪める政策の撤廃は、一国(一方的に)または多くの国(多国間で)でできる。


大使のスピーチ・寄稿