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日本政府の「線路敷設権」関係省庁検討会議が取りまとめた報告書に対する意見書

1999年1月28日

1.米国政府は、日本政府の「線路敷設権」関係省庁検討会議が、日本において電気通信設備を敷設する際に不可欠な線路敷設権へのアクセスの向上を目指していることを賞賛し、また本検討会議が12月25日に発表した報告書に対して意見を述べる機会が与えられたことに感謝しています。特に、米国政府は、電気通信ならびにケーブルテレビ・ネットワーク構築のための線路敷設権へのアクセスを容易にすることが、できるだけ安価で多様なサービスへの公正かつ妥当なアクセスを日本国民に保証するために不可欠であり、ひいてはこれが、日本にとって21世紀の高度情報化社会に積極的に参加するための準備になると、日本がはっきりと認識していることがわかり喜んでいます。

2.しかし、電気通信の分野で線路敷設権へのアクセスを容易にすれば公共の利益になるというこのようにはっきりした認識があるにもかかわらず、検討会議がこの機会を捉えて、このようなアクセスが透明で迅速、非差別的で費用に基づく方法で確かに提供されるようにするために、日本が明確な規則を策定すべきだという結論を出さなかったことに米国政府は失望しました。検討会議の報告書に概括された改善措置は、主として、自主的な情報公開によって透明性を高めることに終始していますが、米国政府の考えでは、このような措置では、米国政府が提起した幅広い問題点の解決には不十分であり、公正、妥当、かつ無理のない料金での線路敷設権へのアクセスを促進するものでも、これを確保するものでもありません。

3.米国政府は検討会議の報告書について、いくつか一般的な意見を述べさせていただき、その後で具体的な分野での改善策についての意見を申し上げます。

● 一般的な意見

◯ 透明性ばかりを議論して、線路敷設権へのアクセスに関連するほかの問題が無視されている

4.日本における電柱、とう道、管路、および線路敷設権へのアクセスに関連する最も重要な問題は、このようなアクセスを獲得するときの手続きや条件に透明性が欠けていることだと、検討会議の報告書は示唆しています。透明性は確かに解決する必要がある重要な課題ですが、米国政府が懸念するその他の問題には、線路敷設権を所有もしくは管理している事業者が新規参入事業者に高い料金と面倒な条件を課すこと、迅速なアクセスができないこと、差別的な待遇が行われていると懸念されること、そしてアクセスが拒否されることなどがあります。これらの重大な問題に対処する措置は何も書かれていません。

5.米国市場では、料金ならびに条件に対する苦情を裁定し、解決するために設けられた手続きが、電気事業者その他の公益事業者による、電柱、とう道、管路、および線路敷設権などの不可欠設備の独占所有や管理に対抗して電気通信およびケーブル産業が発展するために必須のものでした。

◯ 手続きの自主的公表だけでは、公正なアクセスを保証するのに十分ではない

6.米国政府は、線路敷設権へのアクセスを向上させるために政府の規則を制定する必要はないという検討会議の結論には同意できません。線路敷設権を所有または管理する事業者が、線路敷設権へのアクセスを提供する手続きを明確にする措置を自主的に取るようにするという検討会議の提案は、手続きの透明性を高める上では非常に有効な方法です。しかし、前述のように、提案されたこのような措置では、新規参入事業者に課せられる高い料金、わずらわしい条件、差別的な待遇といったその他の問題を解決するものではありません。これらの問題の多くは、日本での線路敷設権の交渉過程が本来的に不平等であることに根差しています。日本では、その交渉過程において、線路敷設権を所有もしくは管理する企業が、このような稀少資源へのアクセスを持たない企業に対して、条件を押し付けることができるからです。これは、1978年以前の米国の状況に酷似しています。1978年に、米国では、新興のケーブルテレビ産業を支援するために、新しい手続きが作られました。1996年には、この手続きが電気通信サービスへの新規参入事業者に拡大されました。

7.これに加えて、NTT、電気事業者、鉄道事業者のような事業者は、電気通信事業に利害関係があるため、競争事業者の参入を遅らせたり、そのコストを高くしたりする強いインセンティブがあります。したがって、線路敷設権を管理するものとこれを必要とするものの交渉力を等しいものにするには、このような資源への透明で迅速、非差別的かつ費用に基づくアクセスを義務づけ、これを実施する明確な規則を政府が制定し、このようなアクセスが公正かつ妥当な料金と条件で確実に提供されるようにする権限を中立的な仲裁者としての政府に与えるのが唯一の方法です。

8.道路管理者、地下鉄事業者、その他の電気通信産業に資本上の利害関係がない事業者については、透明性、迅速さ、非差別性、そして費用に基づくアプローチといった一般的な原則に基づいて、これらの事業者が線路敷設権へのアクセスを提供する自主的な方針を作成し、公表することを認めることも容認できるかもしれません。しかし、NTTや電気事業者、鉄道事業者といった通信事業に利害を持つ事業者については、政府が明確なアクセスの規則を策定し、政府が紛争処理に積極的に関与することが絶対に必要です。

9.参考までに、これらの問題に関連する米国の法律は、1996年電気通信法が修正した47USC§224です。この米国法のセクション(47CFR§§1.1401−1.1416)によって、連邦通信委員会(FCC)には、電柱共架の料金と条件を規制し、この料金と条件が確実に公正で妥当であるようにし、苦情処理手続きをとる権限が与えられています。また、この規則によって、「公正で妥当な」料金を計算する方法が規定されています。さらに、線路敷設権を所有もしくは管理する事業者には、このようなアクセスを制限する手段がいくつもあることを認識した上で、FCCはFCC命令で、一連のさらに詳しいガイドラインを公表しました。このガイドラインでは、たとえば公益事業者に対して、通信もしくは映像プログラムサービスの提供に関して、他社よりも自社を優遇しないことが義務づけられ、アクセスの要望に応じるために、土地収用権を行使して私有財産に対する既存の線路敷設権を拡大することが期待され、共架申請者に対して、公益事業者が雇用しているもしくは指定した職員を使うように要求することが禁止され、そして将来の拡張のために空きスペースを確保しておける条件が制限されています。米国政府は、線路敷設権へアクセスする環境を改善するためには、このように規則を明確にかつ詳細にすることが欠かせない要素であると考えます。

◯ 民間所有建物、地下鉄へのアクセス、ならびにケーブルテレビ事業者の権利について取り上げられていない

10.米国政府は、民間所有建物や地下鉄へのアクセスの向上、もしくはケーブルテレビ事業者に第一種電気通信事業者と同等の権利を持たせるための改善措置が検討会議の報告書に盛られていないことに失望しています。ケーブルテレビ事業者の権利に関して、米国政府は、道路への設備の設置に当たって、ケーブルテレビ事業者を第一種電気通信事業者と同様に扱うよう、建設省が指導していることを知り、喜んでいます。米国政府は、NTT、電気事業者、および鉄道事業者を含む、その他の主な線路敷設権所有者へのアクセスについても、ケーブルテレビ事業者が第一種電気通信事業者と同等の取り扱いを受けられるような規則を日本が制定すべきだと考えています。

11.地下鉄に関しては、現時点では具体的な規則は必要ではないかもしれませんが、地下鉄事業者の手続きの透明性を高めるために、設備を設置する際に満たさなければならない安全基準をはっきり示すことを含めて、地下鉄を利用するときの条件や料金を公表するように地下鉄事業者を奨励すること米国政府は提案します。

12.民間所有建物へのアクセスを容易にすることに関しては、政府として、現状を改善する措置を何もとることができないという検討会議の考えに対して、米国政府は失望を覚えています。米国では、集合住宅における問題に対して、次のようなふたつの方法で取り組みました。ひとつは、米国の多くの州法が、建物の所有者に対して、占有者が望む場合にはアクセスを提供するという義務を課しました。もうひとつは、連邦政府の規則で、電話会社の設備と加入者宅の設備の「分界点」を明確に定めました。ふたつめの方法について、新規参入事業者が建物内に追加もしくは重複した設備を設置する必要がない、または内部設備の利用に関して使用料もしくは管理費を既存事業者から請求されることがないようにするために日本政府が何らかの措置をとれば、新規事業者が所有者と交渉するときの立場が強まり、市場参入コストが縮小されるでしょう。

◯ 今回の改善措置には、恒久かつ効果的な苦情処理メカニズムが規定されていない

13.米国政府は、線路敷設権へのアクセスに関して個々の事業者から申し立てられる苦情について、1999年度も継続して受け付け、調査を行い、その結果を申し立て人へ回答するという検討会議の提案を支持しています。しかし、このような暫定的なレビュー委員会では、問題を裁定する明確な義務と規範を持ち、決定を執行する権限を持った恒久的な苦情処理メカニズムに取って代わることできません。米国政府が見たところ、今回の改善策には、線路敷設を許可する際に指標となる明確な方針が含まれていません。したがって、線路敷設の申請を処理するに当たって、ある事業者の対応が適切だったか不適切だったかを検討会議が判断するときに使うことができる規範がないことになります。

14.米国政府は、問題を裁定するに当たっての明確な義務と詳細に定められた方針・規範を持ち、決定を執行する権限を備えた恒久的な苦情処理制度を日本は作るべきだと考えます。線路敷設を許可・承認する際に基本となる方針は、透明、迅速、非差別的、そして費用に基づくアクセスとなるべきです。上で唱えた明確な規則の制定によって、この裁定プロセスが容易になるでしょう。

● 事業者ごとの改善策に対する意見

◯ 第一種電気通信事業者

15.前述のように、米国政府は、電気通信事業者が所有もしくは管理する電柱、とう道、及び管路への線路敷設に関し、料金ならびに条件の透明性を高めようとする検討会議の努力を賞賛します。しかし、残念なことに、日本はこの機会を捉えて、NTTが自社設備への線路敷設に応じるときにNTTを規制する明確な規則を制定しませんでした。手続きが迅速さ、非差別的、費用に基づく価格設定といった基準に基づくようにしなければならないという義務を課さずに、NTTにその手続きを公表するように要請するだけでは、米国政府その他が示した重大な問題の解決にはなりません。この重大な問題の中には、線路敷設するために、高い賃貸、設置、保守費用を支払わなければならないこと、設備を敷設するときにはNTTの社員を使ったり、NTTが使用しているものと同様のケーブルを使ったりすることを要求されるといった、わずらわしい条件を課されるこが含まれます。米国市場では、手続きの公表を求めるだけでは、サービスを促進し、市場参入を促すために必要な設備を迅速かつ効果的に設置する助けにはならないでしょう。

16.したがって、米国政府は、NTTが所有もしくは管理する電柱、とう道、ならびに管路への透明で迅速、非差別的かつ費用に基づく線路敷設を義務づける規則を日本が制定するよう要望します。この規則は、線路敷設にかかる料金及び条件が公正で適切、かつ非差別的であることを保証し、改修に関する規則を明確に掲げ、さらに迅速な紛争処理手続きを確立する内容であるべきです。暫定的な措置として、日本はNTTに対して、接続義務が及ぶ範囲内のネットワークのとう道と管路について設定した料金と条件を、ネットワーク全体に拡大するように義務づけることを検討すべきです。また、日本は、FCCが行ったように、NTT網や空きスペースを使用する際に課される受け入れ難い反競争的な条件などの問題について指導することも検討すべきです。このような指導をすれば、NTTがその方針を作成したり、政府の苦情処理機関が苦情を裁定するときに助けになるでしょう。

17.このセクションで日本は、非常に限られた設備しか持たず、線路敷設権に対する管理も最小限しか及ばない非支配的事業者に対して、日本の電気通信関連の電柱、とう道、管路、及び線路敷設権の大多数を支配するNTTに対するのと同じ改善策を提案していますが、これには米国政府は失望しました。NTTが不可欠な線路敷設権資源を管理していることを考えると、日本はその規制による監視をNTTにのみ向けるべきで、非支配的事業者に義務を課すべきではないというのが米国政府の考えです。たとえば、米国では、法律も政策も、支配的事業者と非支配的事業者を明確に区別しています。

◯ 電気事業者

18.前述のように、米国政府は、電力会社が所有もしくは支配する電柱、とう道、及び管路への線路敷設に関し、料金ならびに条件の透明性を高めようとする検討会議の努力を賞賛します。しかし、残念なことに、日本はこの機会を捉えて、電気事業者が自社設備への線路敷設に応じるときに電気事業者を規制する明確な規則を制定しませんでした。手続きが迅速さ、非差別的、費用に基づく価格設定といった基準に基づくようにしなければならないという義務を課さずに、電気事業者にその手続きを公表するように要請するだけでは、米国政府その他が示した重大な問題の解決にはなりません。これらの問題には、電柱の改修ならびに保守に高い料金を支払わなければならないこと、この料金の元になる基本コストについて透明性が欠けていること、電柱の使用者に対する待遇が差別的であるという懸念があること、そしてネットワークの構築に重大な遅れが出ることが含まれます。

19.米国政府は、電気事業者が所有もしくは管理する電柱、とう道、管路への透明で非差別的、迅速、かつ費用に基づいた線路敷設を義務づける規則を日本が作るべきだと考えます。この規則は、線路敷設にかかる料金及び条件が公正で適切、かつ非差別的であることを保証し、設備の改修に関する規則も明確に掲げ、さらに、迅速な紛争処理手続きを確立する内容にすべきです。

◯ 道路

20.米国政府は、道路管理者が、道路の占用及び使用の許可申請手続きを効率化し、道路占用許可手続きの電子化に関する研究を実施し、共同溝の整備の推進努力を継続し、KDD以外の事業者が高速道路に設備を敷設することが可能になるような手続きを検討するといった計画を述べたことを賞賛します。このような改善策は、米国政府や業界が提示した、日本の道路に設備を敷設するプロセスは非常にお金と時間がかかるという懸念に対処するための建設的な措置です。米国政府は、検討会議及び道路管理者が今後も継続して、透明性を高め、コストを引き下げ、日本の道路の掘削時間を短くするための具体的な措置を取ることを望んでいます。特に、米国政府は、検討会議が最終報告で、何ヶ月かに及ぶ道路の掘削の禁止を撤回する提案をすることを望んでいます。

◯ 鉄道

21.日本の鉄道事業者の中には電気通信産業に資本的な利害関係がある事業者もいることを考えると、日本がこの機会を捉えて、鉄道事業者が自社設備へ線路敷設に応じるときに鉄道事業者を規制する明確な規則を制定しなかったのは遺憾なことです。米国政府が懸念しているのは、鉄道事業者に対する検討会議の提案には、電気通信事業者や電気事業者に対して提案したように、鉄道事この改善策では、透明性、迅速さ、非差別性、そして費用に基づく料金体系を促進する役にはほとんどたっていません。したがって、米国政府は、電気通信及びケーブルテレビのインフラ構築を進めるために、日本が、電気通信産業に資本的な利害関係がある鉄道事業者に対して、これらの鉄道事業者が所有もしくは管理する設備や線路敷設権へのアクセスを透明で非差別的、迅速、かつ費用に基づく方法で提供するように義務づける規則を制定し、苦情処理メカニズムを作ることを要望します。米国の規則には、反競争的な線路敷設権へのアクセスの拒否を回避するためのこのような規則が含まれています。

◯ 結論

22.米国政府は、検討会議が、線路敷設権へのアクセスを改善するという目的を明示したこと、またこのような改善が行われれば日本のエンドユーザーが安価で多様な革新的サービスを受けられるようになるので、利益をもたらすと認識したことを評価しています。しかし、米国政府は、検討会議の報告書が概括した改善策は、必要なインフラや線路敷設権への公正で妥当なアクセスの確保や、日本の企業や社会への電気通信及びケーブルテレビサービスを迅速に提供する助けとなるという目的のためには十分ではないと考えています。公正で費用効率の高いアクセスを提供しなければ、新しい競争事業者の参入と経営が阻害され、新しい通信及びケーブルテレビのインフラ構築が制限されます。このようなインフラの構築は、日本社会にとって長期的な利益をもたらすだけでなく、日本経済への大規模な投資を促進するという短期的な利益にもなります。

23.米国政府は、線路敷設権問題への対処は非常に難しいものになりうると認識していますから、次年度もこの問題を継続してレビューしていくという検討会議の決定を喜ばしく思います。しかし、米国政府は、検討会議が1998年度末までに予定されている最終報告の公表の機会を使って、以下のような措置を迅速にとる提案をすべきだと考えます。これら全ては、日本政府の権限の範囲内で可能です。

-- NTT、電気事業者、鉄道、ならびに電気通信産業に明確な資本的利害関係を持つ事業者が所有もしくは管理する電柱、とう道、管路、及び線路敷設権への透明で非差別的、迅速、かつ費用に基づくアクセスを義務づける規則を制定すること。この規則は、線路敷設にかかる料金及び条件が公正で適切、かつ非差別的であることを保証し、改修に関する規則を明確に掲げ、かつ迅速な紛争処理手続きを確立する内容であるべき。

-- 地下鉄その他の線路敷設権を所有もしくは管理しているが、電気通信事業に直接の利害関係のない事業者による、透明性の向上を助けること。

-- 民間所有建物へのアクセスを容易にする規則を制定すること。

-- 何ヶ月かに及ぶ道路の掘削の禁止を撤回すること。

-- ケーブルテレビ事業者が、第一種電気通信事業者と同等の設備敷設権を与えられるようにする規則を制定すること。