embassy seal
U.S. Dept. of State
flag graphic
 

日本の写真フィルム・印画紙市場へのアクセス

− WTOにおける日本の事実表明の実施状況に関する報告−
米国通商代表部・米国商務省

Access to Japan's Photographic Film and Paper Market: Report on Japan's Implementation of its WTO Representations

1999年6月9日

 これは、複数省庁から成る日本写真フィルム・印画紙監視執行委員会の第2回報告書である。この委員会は、日本がその写真フィルム・印画紙輸入市場の開放に関して世界貿易機関(WTO)に対して正式に明らかにした事実表明の実施状況を評価するため、1998年2月3日に設立された。

 本委員会が、過去6カ月間にわたり日本の写真フィルム・印画紙市場のデータと情報を分析した結果によると、外国フィルムメーカーは依然として日本市場における障壁に直面しており、日本政府は、この分野で市場アクセスを改善し、競争拡大を刺激するため、追加的な措置をとる必要がある。われわれは、米国が指摘した具体的な問題の多くに対する日本の対応を歓迎する一方、日本政府は、公正取引委員会(公取委)に対して苦情調査のための十分な資源を与え、日本のWTOへの事実表明に沿ってこの部門で不当に取引を制約する商慣行に対処し、日本の流通制度を輸入に対して開放し、また大規模店舗の出店を妨げる慣行を禁止するためさらに大幅な措置をとる必要がある。

 本報告書の対象期間である1998年9月から1999年4月までの間に、日本政府は、生性向上と日本の長期的な成長見通し改善のため、日本経済のリストラ計画作成を開始した。日本の流通網や輸送・情報技術インフラの改善をはじめとするこれらの措置は、国内および国外のメーカーにとって、日本市場における事業環境を改善する役割を果たしうる。しかし、これらの計画の中に、独占禁止法(独禁法)の執行改善と、強力な競争政策の促進のための措置が提案されていないことは注目に値する。そうした一連の措置が実行されない限り、写真フィルム・印画紙を含む日本市場への外国メーカーのアクセスは引き続き制約され、また日本政府が経済リストラ計画を通じて追求している経済の活性化は完全に実現できない。

 ここ数カ月の間に米国政府当局者はこうした懸念を日本側に伝え、日本政府が、写真フィルム・印画紙分野を含む日本市場を完全に開放し、競争拡大を促進するための措置をとることを強く促してきた。われわれは、日本市場における米国フィルムメーカーの市場アクセス改善に向け今後も努力を継続する決意であり、日本政府が本報告書に述べられた具体的な市場アクセスおよび競争政策措置をとるよう、これからも引き続き日本政府に強く要求していく。

情報源

 本報告書は、多数のフィルム卸売業者・小売業者との面談や、公取委その他の日本政府機関との意見交換など各種の情報源から得た情報の詳細にわたる収集・分析に基づくものである。また本委員会は、コダック社が東京、大阪、京都、千葉で委託実施した日本の小売業者を対象としたアンケート調査の結果も検討した。さらに、フィルムメーカー、日本の写真業界出版物、およびその他の日米政府や業界からもデータ・情報を入手した。1999年末に公表予定の次回報告書では、第1回監視報告書で取り上げた外国製フィルムの入手可能性に関する最新の調査結果を報告する。独禁法の執行と競争政策の促進

 日本政府のWTOに対する正式な事実表明によれば、日本政府は、メーカーによる流通経路の支配を禁止するためフィルム業界を積極的に点検し、競争を促進し、また供給業者が写真フィルム・印画紙分野における取引を不当に制約する商慣行を採用することを禁止するために独禁法を執行している。公取委は、当該報告期間中に、この分野で独禁法を執行し、関連法規の適用における透明性向上のために、ある程度の措置をとっているが、われわれの分析によれば、日本政府は、公取委によるこの分野の問題ある商慣行の調査と積極的な競争促進の実行を確実にするために、さらに多くの資源を公取委に向けるべきである。

 本報告書の対象期間中、公取委は、米国の政府・業界が提起した、競争政策に関する具体的な問題への取り組みに向けて、2つの重要な措置をとった。まず、公取委は、日本の写真フィルム・印画紙メーカー4社からなる写真感光材料工業会に対し、公式に警告を行った。具体的には、公取委は、工業会による生産・販売・在庫情報の交換が日本の独禁法に違反する可能性があると指摘し、工業会と加盟企業にそうした情報交換を中止するよう命じた。われわれは、公取委が、メーカー4社がこの公式の警告に対応し問題のある活動を中止したことを確認するため、適切な事後調査を行うことを強く求める。

 公取委はまた、フィルムに関するWTOの審理に沿って、委員会による景品表示法適用の透明性向上のため、具体的な変更を行った。この変更により、同法が小売競争の制約に使われれることにはならないはずである。公取委は、報告の頻度を年に1度から半年に1度に増やすとともに、事例の公表件数を増やした。しかしながら、われわれは、同法に関連する非公式の注意や指示(これらが同法の下でとられる措置の大半を占める)は公表されない場合が多く、そのため日本政府による措置の根拠や範囲・内容を完全に評価することが難しい点を引き続き懸念している。公取委の措置に加えて、日本の写真業界団体である公正取引推進協議会は、米国政府による「法的上訴」を理由に、活られた。われわれは第1回報告書で、公取委が、写真の焼き付け・現像サービスの価格競争を制限しようとする全日本写真材料組合連合会のあらゆる試みに反対しているように見受けられることに言及した。公取委は引き続きこの姿勢を維持しているようであるが、この点は、コダック社がスーパーマーケット、薬局、そしてサービスステーション内の「マイクロラボ」のマーケティングを強化することにより焼き付け・現像サービスのプレゼンスを拡大する上で、極めて重要となる。(マイクロラボは従来のラボより約3割小さく、オンラインで管理できる。)われわれは公取委の措置を歓迎し、引き続き状況を詳細に監視していく。

 こうした前向きな変化もあるが、われわれは問題のある商慣行の具体例に関する報告を引き続き受けている。具体的な申し立ての例としては、卸売業者が市場管理の一形態として富士フイルム社の製品・サービスの配送を遅らせ、制限し、あるいは停止していること、そして卸売業者が富士フイルム製フィルムの排他的販売を条件に卸売価格を下げていることなどがある。

 こうした具体的な申し立てに対しては、公取委によるさらなる事後調査が必要となる。公取委による調査活動を支援するため、監視執行委員会は、企業が、正当な調査および執行措置の対象となる問題のある商慣行すべてを公取委に報告することを強く促し、また米国政府は、申し立て者が商業上の報復行為を受けることのないよう公取委が適切な措置をとることを促す。この種の苦情を十分に調査し、取引を不当に制約する商慣行をすべて排除するため、日本政府は優先事項として、強力な競争政策の枠組みを確立するべきである。この枠組みのもとで、公取委による積極的な独禁法の執行および競争政策の支持(例えば、公取委による「流通・取引慣行に関する独占禁止法上の指針」を幅広く配布することや、民間部門向けセミナーの開催する)のために必要な資源を、公取委に提供すべきである。

米国が昨年の第1回報告書で提言したように、日本政府は、公取委が反競争的慣行の申し立てを調査するための資源を大幅に増やすべきである。加えて、日本政府は、日米の「規制緩和および競争政策に関する強化されたイニシアティブ」に基づく第2回共同現状報告で日本政府が合意した内容も含め、積極的な競争政策支持活動を実行すべきである。1999年度予算では、公取委の職員数は前年度に比べわずか9名しか増えておらず、公取委の予算総額は前年度に比べ2.8%増加したにすぎなかった。われわれは、公取委が、日本市場全般、そして特に写真材料分野で活発な競争を確保するために必要な積極的な執行あるいは支持活動を行うには、この人員・予算配分が大幅に拡大されなければならないと考える。

 2001年1月に行われる予定の行政改革(省庁改編)では、公取委は「総務省」の1部門となることが想定されているが、この改革が、公取委の地位の低下を招いたり、競争政策とその執行の優先順位が低いとのメッセージを送るものとならないことも確保すべきである。そのためには、日本政府が、強化されたイニシアティブの下で日本が合意したように、特に人事・政策決定に関する公取委の独立性の確保に必要なすべての措置をとることが求められる。

流通制度の開放性

 日本政府は、WTOパネルへの事実表明で、日本の流通制度は開放されており、通産省が1990年に策定した「商慣行改善指針」を積極的に推進することにより流通分野の近代化を促進している、と述べた。この指針は、外国企業も含めて事業の透明性、効率性、そして開放性を高めるために、リベート、取引条件、メーカーの参照小売価格等の商慣行改正に関する手引きとなっている。しかしながら、通産省が、流通制度の開放性を確保したり、日本の卸売・小売業者に「商慣行改善指針」を周知させるためにとった措置は、ごく限られたものに過ぎない。通産省は、業界誌を通じてこの指針をさらに積極的に推進するとともに、その遵守を強く奨励すべきである。

 通産省は1999年8月、流通に係る商慣行に関する調査を実施する予定である。この調査はメーカーと小売業者を対象とし、物流の効率化を阻む可能性のある商慣行の改善を目的とする。われわれは、日本が卸売業者もこの調査の対象とし、効率化だけでなく競争を阻む商慣行も明らかにすることを促す。さらに、日本政府は、この調査の結果を公表し、またその結果に関連して出されるあらゆる指示も公表すべきである。

 通産省はまた、今後2年間に、日本の流通制度の質と効率を高めるために各種の措置を講じることを検討している。そうしたものには、国際流通センターの設置、道路・空港・港湾の改善、そしてトラック輸送・倉庫業務に関する規制削減のための措置等がある。これらは、国内のメーカーだけでなく外国のメーカーにも恩恵をもたらす可能性がある。また通産省は、供給網におけるメーカー、卸売業者、小売業者の連携を構築・強化し、全国各地の卸売施設をつなぐ流通情報ネットワークを開発するため、政府補助金を使用する計画を立てている。われわれは、こうした連携が、日本の流通制度全般そして特に写真フィルム・印画紙部門への外国企業のアクセスを阻むものにならないよう、そうした措置の展開と実施を詳細に監視していく。

大規模店舗関連の慣行

 日本政府は、WTOパネルへの事実表明で、日本政府が大規模店舗の出店を阻む慣行を禁止していると述べた。大規模店舗は、フィルムメーカーも含め外国企業にとって主要な、拡大しつつある販路である。監視執行委員会の第1回報告によると、スーパーマーケット、デパート、コンビニエンスストアなど写真専門店以外の「従来型ではない」小売店では、外国製フィルムの入手可能性が過去3年間で倍増しているが、従来の写真専門店では、外国製フィルムの入手可能性がわずかに低下している。

 全体として、米国政府は、WTOへの事実表明とは裏腹に大規模店舗より中小店舗の市場力を維持しようとする日本政府の措置に引き続き懸念を抱いている。こうした措置には、小売分野の規制、中小店舗に対する補助金・助成金、そして写真フィルムを含む特定分野における「過当」競争を防止する措置等がある。こうした施策は、既存の排他的な流通構造を維持し、小売分野の最適な構造の決定を市場にゆだねた場合に実現する効率化を遅らせるものであり、われわれは日本がこうした施策を放棄することを促す。

 流通分野を合理化・開放し、より効率的な大規模店舗の発展を可能にするため、米国政府は、WTOのフィルム紛争や強化されたイニシアチブ等を通じて、長年にわたり、日本が大規模小売店舗法を廃止することを促してきた。1998年5月、日本政府は、2000年6月1日をもって大規模小売店舗法を廃止し、需要・供給調整メカニズムの採用を禁止する大規模小売店舗立地法を施行する法案を可決した。日本政府は、「大規模小売店舗を設置する者が考慮すべき事項に関する指針」を準備しており、この指針は、地方自治体に対し、意見や提言提出について全国共通のひな型となる詳細な基準を定めるものである。指針は、騒音、駐車、交通、ゴミ処理を対象としている。

 通産省が1999年4月、指針案に対するパブリック・コメントを求めたのに対し、米国政府は5月20日、広範にわたるコメントを通産省に提出した。米国は、指針案が、新規小売店の開発を複雑化、あるいは困難にするとともに、大規模小売店舗法に基づく現行の制度よりさらに煩雑な規制環境を作り出す可能性があるとの懸念を表明した。具体的には、米国は指針案に対して、以下の懸念を指摘した。(1)指針は、事後の検証ではなく事前の評価に依存しているようであるが、これは日本の規制撤廃の動きに反するものである。(2)指針は、店舗を設置する者に対して、現行の法的要件を超える義務を課しているが、これらの義務は、既存の店舗やその他の商業事業には課されないものである。(3)指針は、極めてあいまいな条件や基準を多数用いており、これは、店舗を設置する者に対して、店舗の設立・拡張のための精密な計画の実行に必要な確実性と予測可能性を与えないものであり、店舗を設置する者と地方自治体や地元住民との間の紛争につながる可能性がある。(4)指針は、店舗を設置する者に対して、その経営権に干渉するような過剰に規定的な基準を課している。さらに、米国は、騒音、駐車、交通に関する具体的なコメントを出したほか、指針に必要な修正を挙げた。また米国は、新しい大規模小売店舗立地法の施行の基本原則を指針に盛り込むことを要請した(この原則は、法的拘束力を持たない、別の「解説書」に記載されている)。

 米国は、日本政府が最近採用したパブリック・コメント手続が効果を発揮するには、通産省および産業構造審議会流通部会・中小企業政策審議会流通小委員会合同会議が、一般のコメントに対応して指針に対し必要な調整を行うことが不可欠であることを強調した。また米国は、通産省によるパブリック・コメント手続の活用については、受け取ったコメントを通産省がどの程度真剣に考慮するか、そしてコメントによって指摘された欠陥その他の問題に対応して最終的な指針をどの程度修正するかによって評価されることを強調した。

 しかしながら、通産省によるコメントの処理状況を見るかぎり、パブリック・コメント手続の信頼性に疑問を抱かざるをえない。通産省と合同会議は、詳細なコメントが100件以上提出されたにもかかわらず、パブリック・コメント期間終了後11日以内に指針最終案を決定した。さらに重要な点として、通産省は、米国政府による指針改善の提案を事実上すべて却下した。その結果、米国は、指針が新規の大規模小売店舗に課する新たな制約により、日本の小売分野がより高コストで非競争的なものになることを非常に懸念する。米国政府は、高官レベルで日本政府にこうした懸念と、われわれのコメントに対する日本の対応に失望していることを伝えた。米国は、この問題についてこれからも引き続き日本に対して強く要求し、また、通産省による大規模小売店舗立地法の施行に必要な省令の作成を詳細に監視していく。

 1998年11月20日に改正都市計画法が発効した。改正により、地方自治体は、「中小規模店舗地区」のような新しい種類の「特別用途地区」を指定できる。米国政府は、地方自治体が、同法の改正によって与えられた地区指定の権限を利用して、大規模小売店舗法の下で行われたのと同様に、大規模小売店舗の立地を不当に制約することを懸念している。日米の強化されたイニシアティブの下での第2回共同現状報告で、日本は、地方自治体には、特別用途地区指定案に関する公開審査を行い、公聴会を開催し、関係者が意見を述べることを認めること、また、都市計画地方審議会には客観的で透明なコメント審査することを義務付けることに合意した。米国政府は引き続きこの問題を詳細に監視していく。

米国の監視活動の継続

 米国政府は今後も引き続き、写真フィルム・印画紙市場における日本の措置を積極的に監視し、日本が同分野を完全に開放するよう強く働きかけていく。われわれは、米国による詳細な監視が、写真フィルム・印画紙分野において、市場アクセスおよび競争状況のいくらかの改善につながったと考えている。しかし日本は、その措置がWTOでの日本の事実表明に完全に沿ったものとなるよう、さらなる措置をとる必要がある。監視執行委員会は、引き続き定期的に情報・データを収集し、日本がWTOでの事実表明に沿った措置を完全に実行しているかどうかを評価し、その結果を半年に1度報告する。