embassy seal
U.S. Dept. of State
flag graphic
 


米国の大統領選挙 2004
はじめに

2004年大統領選挙の日程

米国における政党

大統領候補者指名と米国の民主主義

米国選挙手続き

トーマス・マンとのインタビュー: 2004年選挙戦

連邦議員選挙

世論調査、専門家、そして2004年選挙

選挙資金の現状

* 予備選挙と党員集会

* 大統領候補を選出する2大政党の全国大会

* メディアと2004年選挙

* 若い有権者は経済、国家安全保障に関心

* 若い有権者の動員 NGO その他の組織の役割

米国の選挙人団 (州別選挙人数)

* 選挙人団に関するFAQ

* 選挙資金についての基礎知識

選挙関連用語集

歴代大統領のポートレート

参考文献・ウエブサイト

* 印のものは国務省ウェブサイト「U.S. Elections 2004」 掲載の記事ではありません

選挙資金についての基礎知識

 連邦選挙資金法は米国大統領、副大統領、連邦議会議員選挙に適用される。(注:州の選挙にはそれぞれの州法が適用される)。1971年連邦選挙運動法(Federal Election Campaign Act of 1971: FECA)とその修正条項には、大きく分けて、連邦選挙を左右する資金の収支についての情報公開、献金や出費に関する規制、大統領選挙における公的資金、の3つの項目が盛り込まれている。

  FECAはすべての候補者、政党委員会、また政治活動委員会(PAC)が連邦選挙委員会(FEC)に対し、選挙資金について定期的に報告を行うよう定めている。例えば、候補者は献金を受けたすべての政党委員会とPACを明らかにしなければならず、1年間のうちに200ドルを上回る献金を受けたすべての個人を明示しなくてはならない。また、個人や業者に対し1年あたり200ドルを超える支払いをした場合についても開示するよう定めている。

 連邦選挙資金法は、個人や団体による候補者や政党およびPACへの献金について制限を設けている。個人は、選挙ごとに候補者に2000ドルを(この額は後述の2002年マケイン・ファインゴールド法により従来の1000ドルから引き上げられた)、1暦年に全国党委員会に2万5000ドルを(同じく2万ドルより改定)、1暦年にその他の政治委員会に5000ドルまでを献金することが認められている。個人が1年間で献金できる総額はこれまで2万5000ドルであったが、この総額規制もマケイン・ファインゴールド法により、2年間で総額9万5000ドルまでと改められた。選挙運動に対する団体の献金についても、その団体の性格によって特定の制限が課せられている。また、政党の州と地方の委員会に、年間1人1万ドルまで献金できる。

 FECAは、法人や労働団体、連邦政府の契約者、および外国籍を持つ者が選挙運動のために献金したり、連邦選挙に影響を与えることを目的として直接出費をすること(例えば広告を出すこと)を禁じている。ただし、法人や労働組合が、連邦選挙の候補者および政党委員会のために資金を集め、支援する目的で独自のPACを設立することは許可している。

  資格を認められた大統領候補者は、財務省の管理する特別基金から選挙活動のために公的資金を得ることができる。この基金は、年間連邦所得税から、3ドルを献金することを申し出た納税者の任意献金だけで成り立っている。候補者はこの公的資金援助を、予備選挙と一般選挙のどちらか一方、または両方のために受けることができるが、その場合FECの定める支出制限やその他の規制に従わなくてはならない。

 大統領候補指名にむけての予備選挙期間中に、候補者は個人から受けた献金に相当する額の公的資金を得ることができる。「マッチングファンド」というこのシステムには、団体からの献金は含まれず、また献金者1人につき250ドルまでという制限が設けられている。従って、ある人から2000ドルの献金を受けたとしても、最初の250ドルだけが「マッチ」するので、それに対応する250ドルだけを補助金として得ることができる。この特別基金からの補助を受けるには、候補者は20の異なる州のそれぞれから5000ドルずつの「マッチ」可能な献金を集めなくてはならない。

 民主党と共和党の大統領指名候補は、それぞれ一般選挙に向けての運動に使うすべての経費を補助金としてFECから受け取る資格があるが、その補助金の額を超える支出をしてはならないことになっている。ちなみに1996年の選挙では、補助金の額は1候補あたり6182万ドルであり、2000年は6760万ドルであった。この金額は2004年の大統領選挙では大体7000万ドルになると予想されている。第3政党の候補者は、もし一般投票で少なくとも5%の票を獲得すれば、選挙後に補助金を一部受け取る権利が与えられる。

 ここ25年来、政府補助金を受け取ることの価値が、候補者が個人的に集める献金額と較べて相対的に低下してきた。今回の選挙では、初めて、多くの候補者が公的資金を辞退している。ジョージ・W・ブッシュは2000年の選挙において、2大政党の大統領候補者としては初めて予備選挙で公的資金を受けず、個人的に集めた献金で選挙費用をまかなった。今回2004年の選挙でブッシュ大統領は再び予備選挙での公的資金を辞退し、ケリー候補も受け取らないことを決めた。公的資金を受けなければ、結果としてFECの定める支出の制約を受けなくて済み、集めた資金すべてを使うことができるからである。

 2大政党はまた、全国党大会の経費をまかなうための公的資金も得ることができる。2大政党のそれぞれが1996年には1236万ドル、2000年には1322万ドルの補助を受けた。その他の政党も所属の候補者がその前の選挙で5%以上得票していれば、全国党大会にかかった費用の一部を公的資金から受け取ることができる。

 2002年3月27日、ブッシュ大統領の署名により成立した「2002年超党派選挙改革法(The Bipartisan Campaign Reform Act of 2002:BCRA)(PL107-155)」は、法案の提出者である2人の上院議員の名前をとって「マケイン・ファインゴールド法」と呼ばれ、従来の連邦選挙資金法に多くの重要かつ技術的な修正を加えた。マケイン・ファインゴールド法は、これまで連邦選挙資金法で規制されていなかったために、抜け穴となって拡大してきた政治資金獲得活動の分野を規制することに焦点が置かれている。

 マケイン・ファインゴールド法には、2つの大きな特徴がある。1つは政党に対する「ソフトマネー」献金を禁じていること、もう1つは「意見広告」の制限である。

 ソフトマネーとは、ハードマネーが選挙運動のために直接献金され、連邦選挙資金法により規制されてきた資金であるのに対し、直接選挙には使わないとの名目で集められ、選挙以外の政党活動全般に使用されてきた資金のことである。ソフトマネーはこれまで規制の枠外にあったため、各政党は多額の政治資金をソフトマネーとして集めるようになり、このソフトマネーが少なくとも間接的に連邦選挙に多大な影響を及ぼすようになった。マケイン・ファインゴールド法はこの点を規制しようとするものであり、政党と連邦選挙候補者、そして公職者がソフトマネーを集めたり、支出することを禁じる法律である。州や地方の政党団体が、連邦の選挙活動とみなされる活動にソフトマネーを使うことも禁止している。ちなみに2000年の大統領選挙で集められたソフトマネーは約5億ドルにのぼり、共和党と民主党がそれぞれ2億5000万ドルずつを受け取っている。

 マケイン・ファインゴールド法のもう1つの特徴はいわゆる「意見広告」の制限である。予備選挙の30日前から、または一般選挙の60日前から放送される政治広告で、連邦政府の公職にある候補者を示唆しているものについては情報開示を義務づけ、また労働組合や法人の資金による広告の提供を禁止している。「選挙運動のためのコミュニケーション」("electioneering communication")ともいわれるこの手法は、FEC規則の定義によると、明確に認識できる候補者を含む広告を、上記期間内に当該選挙区の有権者に放送を通じて流すコミュニケーション手段のことである。FECに登録している政治委員会以外の個人や団体はこの限りではないが、企業(認定された非営利事業を除く)や労働団体がこの選挙運動コミュニケーション広告のために資金を提供することを禁止している。またこの広告を行った者も、総額が1万ドル以上ならば、特別な報告義務を負うことになっている。

下記の表は2003‐2004年の「献金制限」を示す。
(出典:連邦選挙委員会「献金」より)

  各候補者または所属政党へ

選挙ごとに

全国党委員会へ  

1暦年に

州・選挙区・地方の党委員会へ  

1暦年に

その他の政治委員会へ

  1暦年に

特別制限

個人からの献金

2000ドル* 2万5000ドル* 1万ドル
総額制限
5000ドル 9万5000ドル*
2年間の総額規制

3万7500ドルまでをすべての候補者に

5万7500ドルまでをすべてのPACと政党に

全国党委員会から

5000ドル 制限なし

制限なし

5000ドル 3万5000ドル*を上院議員候補者へ
選挙ごとに

州・選挙区・地方の党委員会から

5000ドル
総額制限
制限なし

制限なし

5000ドル
総額制限
制限なし

政治活動委員会(PAC) (候補者が複数の場合) から

5000ドル 1万5000ドル 5000ドル
総額制限
5000ドル 制限なし

政治活動委員会(PAC) (候補者が1人の場合) から

2000ドル* 2万5000ドル* 10,000ドル
総額制限
5000ドル 制限なし

*これらの献金制限はインフレ調整される。

 

本稿は米国国務省国際情報プログラム室が2000年に作成した A Primer on Campaign Finance を基に、2002年の法改正については連邦選挙委員会の資料および国務省フォーリン・プレスセンターの資料 Campaign Finance Reform を一部追加・編集したものの仮訳です。